中小企業の持続可能な経営を導くプロ安井尚之

中小企業の持続可能な経営を導くプロ

安井尚之

時代の変化に不安を感じる経営者に、収益改善をはじめ、幅広いサポートを提供

　人口減少や技術革新の速さなど、不確実性が高まる時代において、経営の意思決定は、ますます難しくなっています。
　「ほとんどの中小企業では経営参謀的な人材がいないため、今後の方向性に悩んでいる経営者は多いです。複雑化する外部・内部環境やマーケットの変化に応じて事業のアップデートを図りましょう」

　こう呼びかけるのは、「大田企業経営コンサルティング」の安井尚之さん。地元信用金庫の経営計画策定や事業会社の監査役など、さまざまな経験をもとに、幅広くコンサルティングを提供。中でも収益や資金繰りの改善を得意とします。
　「よくあるのは、〝原料費の高騰を製品価格に転嫁できず資金不足に陥った〟〝AIなど製品の高機能化が進み、従来の技術では対応できない〟といった悩みです。市場の変化をとらえなければ、事業価値を生み出しにくくなります」

　安井さんは、ヒアリングに重点を置き、財務資料などをもとに数字の裏側を読み解きます。
　「今は具体的な症状が出ていなくても、資金繰りが回らないなど問題の予兆は、業績の数値を見ればすぐにわかるものです。価格の見直しなら、商品ごと・部門ごとにどれだけ利益に貢献したかを示す〝貢献利益〟まで算出。〝本質は細部に宿る〟をモットーに、細かい判断材料を示し、問題の本質を突き止めます」

　改善の道筋を描いたシナリオは必ず複数用意。事業計画に全社で取り組む体制づくりも後押しします。
　「経営者は過去の成功体験を引きずりがちですが、チャレンジしないと答えは見えてきません。小さな成功体験を重ねて、発展につなげます」

金融機関の融資審査や事業会社の経営管理など、豊富な経験知を発揮

　安井さんは、大学卒業後、県内の信用金庫で40年以上勤めました。融資担当として地元企業から相談を受ける中、専門知識を得ようと中小企業診断士や社会保険労務士の資格を取得したといいます。
　「単なる御用聞きではなく、サービスの付加価値として、経営に役立つ知識を伝えたいと思ったことがきっかけです。資金を援助するだけにとどまらず、改善できるところはアドバイスし、借り入れの金利以上に儲けてほしいという思いがありました」

　その後、審査部の課長、経営企画部の部長などを経て、役員に。金融機関の経営の中枢を経験するとともに、県外で親族が経営する事業会社の相談にも応じてきました。
　「事業会社では、従業員の交通事故や退職金をはじめとした労務管理や経営管理を実践しました。融資をする側も、経営者側もどちらの視点もあわせ持つ点は強みです」

信用金庫を退職後、2022年に大田市でコンサルティング会社を立ち上げました。県内の商工団体での経営支援業務にも従事し、製造や建設、流通、サービス業などさまざまな業種に対応。これまで、設備投資の診断や補助金・助成金申請でも数々のサポート実績があります。
　「ドローンの活用やDXなどの相談も増えてきていますが、これらへの投資を考える際は、作業の安全性向上や効率化など、従業員の働きやすさに貢献するかがポイントです。また、創業から撤退まで企業の成長ステージごとの課題にも精通し、個人事業主の法人化から事業承継での分社化、企業再生まで経験の幅は広いです」

中小企業の強みを引き出し、持続可能なビジネスの実現を後押し

　数々の中小企業をサポートしてきた安井さんの印象に残っているのは、約3年かけて黒字化を導いたある建設・製造業の経営支援だそう。
　「〝のれん〟を守ってきたものの長年の赤字体質で、財務体力が尽きる前に何とかしたいという相談でした。手広く展開していた事業を、手間のかかる補修工事など付加価値の高い得意分野に絞り、収益の仕組みを見直しました。『見違えるほど社内が変わった』と経営者から感謝され、『ここまで一緒に取り組んできてよかった』と達成感がありました」

　今の時代は、従来のやり方を守るだけでは、いずれ伸び悩むと安井さんは強調します。
　「マーケットや環境の変化に応じて、常に軌道修正をしていく必要があります。例えば、地方では高齢化に伴う移動困難者の問題があり、自動運転のモビリティサービスなど新たなビジネスチャンスも生まれています。大手と同じ土俵で戦えば負けてしまいますが、小回りや柔軟性、技術力など、自社ならではの強みを発揮できる分野を見極めましょう。共に知恵を出し合えば、事業の持続可能性を高められます」

　経営の知識がないことで廃業してしまう企業を減らしたいとも話します。
　「経営者は、目の前の業務に追われ、これまでを振り返る余裕がないものです。改善のきっかけさえあれば、コンパクトな中小企業こそ方向転換しやすいといえます。経営を複眼的にとらえ客観的に分析することは、第三者の専門家にお任せいただき、本業に専念できる体制をつくりましょう」

（取材年月：2024年3月）

中小企業の〝経営参謀〟として、複雑化する課題への意思決定を支える

時代の変化に不安を感じる経営者に、収益改善をはじめ、幅広いサポートを提供

金融機関の融資審査や事業会社の経営管理など、豊富な経験知を発揮

中小企業の強みを引き出し、持続可能なビジネスの実現を後押し

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