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創業100年の歴史を礎に地域貢献にも力を入れ、より良いまちづくりを

土木・解体・建築・産業廃棄物処理・便利屋でまちを支えるプロ

井口智幸

井口智幸 いぐちともゆき
井口智幸 いぐちともゆき

#chapter1

建設業や産業廃棄物処理業、解体業のほか「まちの便利屋さん」としてサービスを展開

 「地域の皆さんのおかげで、2021年に創業100周年を迎えることができました」と語るのは、島根県大田市で建設業を営む「山﨑組」で工務部長を務める井口智幸さん。1921年に初代が個人で営業を始め、主に島根県内で道路や河川の整備、土地の造成などに携わってきました。

 「土木工事は、地図に残る仕事であることが大きなやりがいです。従業員が休みの日に家族でドライブをしながら、『ここはお父さんが作った道路なんだよ』といった会話をしていると聞きます」

 いずれの案件でもコンプライアンス(法令順守)を重視し、近年頻発する自然災害への対応にも尽力していることから、行政からも厚い信頼を得ています。
 「要請があれば、迅速に出動できるよう体制を整えております。社員もみな、自分たちのまちを守りたいという気持ちでいることがうれしいですね」

 災害復旧の視点からも地域のインフラを支え、がれきなどを適切に処分する産業廃棄物処理業や、住宅、ビル、施設などの解体業にも事業を拡大。2013年頃からは「まちの便利屋さん」も開始しました。

 「解体業で民間からの依頼を多く手掛けるようになって、地域の方々がいろんな困りごとを抱えていることが分かりました。私どもがお役に立てればと始めたサービスです」

 害虫の駆除や草刈り、遺品整理などを請け負い、墓じまいでは、納骨・閉眼法要・寺院への送迎まで手配。業務以外にも、イベントに協賛したり、敷地内の畑に子どもたちを招いて芋堀り体験を催したり、地域に貢献に力を入れています。

#chapter2

若手の採用や人材育成に力を入れ、資格や免許の取得をバックアップ

 井口さんは、2006年に山﨑組に入社。施工管理のキャリアを積み、現在は工務部長として積算や工事の段取り、受注先との打ち合わせなどを統括しています。

 「土木工事は天候や地形など自然条件に左右されることが多いため、決められた工期通りに工程が進み、実行予算内に収められると達成感がありますね」

 現場で働く従業員たちを束ねる立場として意識しているのは、上から一方的に指示するのではなく、それぞれが能力を発揮し、さらにステップアップできるようアドバイスをすること。実務に就く中で提案が上がれば、できるだけ尊重し、まずは任せてみることを心掛けているとか。

 「自分で考えて実践することが本人にとって大きな学びとなり、職務への自覚が芽生えます。自信と責任感を持って社員が成長していく姿を見るとうれしくなります」

 近年は新卒採用も活発で、若い世代が増えてきたという同社。和気あいあいとした雰囲気でありながら、資格や免許を取るため、勉強に励む社員が集まっています。

 井口さん自身も、2019年に「特定建築物石綿含有建材調査者」の試験に合格。2022年からは、建物の解体や改修を行う際、建材に石綿が含まれていないか事前に調査し、その結果を報告することが義務付けられました。石綿対策が不可欠になったことから、講師を頼まれることも。
 「2023年10月からは、調査報告を行えるのは有資格者のみとなるため、これまで以上に資格取得をバックアップしていきたいですね」と意欲を見せます。

#chapter3

ICTを搭載した重機や遠隔操作を活用した施工で、働きやすい環境づくりを推進

 創立100周年となる節目の2021年に、3代目社長に山﨑宏隆さんが就任し、株式会社に組織変更。2022年には新社屋が完成しました。

 「山﨑社長の先を見据えて決断していくところを、本当に尊敬しています。当社では、ICT(情報通信技術)を搭載した建機を取り入れ、工期や従業員の労働時間の短縮を図ると共に、熟練オペレーターでなくても精度の高い作業をかなえています。本当に便利だと、ベテランスタッフからも喜ばれています」と井口さん。

 遠隔操作ができる重機の導入も予定しています。室内からでも指令を出せるため、安全性に配慮できる上、快適な環境に身を置けるのがメリットだと言います。
 「例えば、妊娠をしても現場の仕事を続けられますし、障がいがあっても機器をコントロールしたいという希望に応えることもできます」
 女性や障がい者の雇用にも積極的で、一人一人の「挑戦したい」という思いを大切にしています。

 今後は、BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)の活用も推進していきたいそうです。
 「コンピューター上に建築物の立体モデルを構築し、設計や施工、維持管理に関する情報を集約するシステムです。情報共有がスムーズになり、生産性の向上につながることから、建設業界で注目されています」

 次々と新しい取り組みに着手しながら大事にしているのは、先代たちが積み上げてきた地域住民との信頼関係を受け継いでいくこと。次の100年に向けて、山﨑組は新たなスタートを切っています。

(取材年月:2023年3月)

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専門家プロフィール

井口智幸

土木・解体・建築・産業廃棄物処理・便利屋でまちを支えるプロ

井口智幸プロ

土木工事

株式会社 山﨑組

1921年に創業し、地域を支えて100年以上。「土木工事」「解体工事」「建築工事」「産業廃棄物処理」「まちの便利屋さん」を展開。新しい技術を取り入れ、精度の高い施工と快適な職場環境作りを行っています。

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