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ゲーム、アニメ、映画などの映像作品に音響効果を加え、臨場感やインパクトを演出

映像作品に臨場感やインパクトを与える音響効果の制作者

梶野俊夫

梶野俊夫 かじのとしお
梶野俊夫 かじのとしお

#chapter1

自社での制作活動に加えスタジオにも所属し、ミキサー、声優、作曲家などとも連携

 「30年以上にわたり培ってきた音響効果のノウハウをもとに、視聴者に伝わる映像づくりを、音の面からサポートするのが私の役目です」

 そう語るのは、「audio studio響」代表の梶野俊夫さん。映画、アニメ、テレビやラジオのCM、企業のプロモーション映像に効果音・選曲やナレーションを付けるほか、ゲームや玩具に欠かせないSE(効果音)などを制作しています。

 「得意としているのは、立体音響、ヘッドフォンで聴けるバイノーラルやアンビソニックなど、または、スピーカーから聴けるサラウンドなど。いわば音の3D体験で、あたかもその場に居合わせているような臨場感を得ることができます」

 映像に合わせた生活音や動作音などを録音する「フォーリー」では、かつて所属した会社で身に付けた技法を駆使。迫りくる足音や人物の動きを描写する衣擦れ、人と人がぶつかり合う激しい乱闘音などで作品にインパクトを与えています。

 梶野さんは、自社以外にも、東京・月島の「スタジオワンダーウォール」に所属し、多彩な案件で手腕を振るいます。
 「最近では、『マ・マー』ブランドで知られる日清製粉ウェルナのパスタのCMや、『LIXIL不動産』、『ベンザブロックYASUMO』など数多くの企業広告案件の音響制作に携わっております。その他、東京・有明にあるミニチュアミュージアム『スモールワールズTOKYO』の展示エリアの音声ドラマおよび音響制作を担当しました。スタジオでは、クライアントさまのお顔が見えるので反応がよく分かり、手応えややりがいを感じますね」

 ミキサー、声優、ナレーターなど、スタジオを介して得た人脈も豊富で、依頼を受ければワンストップで対応。また、教え子の作曲家が立ち上げた音楽事務所「グリスハーモ」とも提携しており、曲作りにも強みを持ちます。

#chapter2

格闘ゲームや中国のアニメ、ミステリー映画のほかプラネタリウムや知育玩具も担当

 創業する前は、ゲーム会社・カプコンに勤めていた梶野さん。格闘ゲームの「スーパーストリートファイターII」、「ヴァンパイア」や、アクション系のゲームボーイ「ロックマンXサイバーミッション」など、1990年代に一世を風靡したこれらシリーズのサウンドデザインに従事。「キャラクターの必殺技『波動拳』の音は、実は私が作ったんですよ」と明かします。

 「独立後も、シューティングゲームの『零・超兄貴』や、女性に人気の恋愛アドベンチャーゲーム『VitaminX』などを手掛けました。パチンコの効果音といったオファーもあって、ゲーム以上に工数がかかりましたが、その分達成感がありましたね」

 また、テレビ番組、CMの音響効果でも実績を重ねてきました。
 「当方が選曲、効果音、ミックスを担当したアニメ『ほら、耳がみえてるよ!』は中国の漫画が原作で、日本の地上波テレビ局でも放映されました。変わったところでは、関東地方の観光地を案内する、ミャンマー向けの旅番組の制作にも加わりました。CMはテレビ、ラジオとも経験がありますが、特に音のみで情報を伝えるラジオCMは、神経を使いますね」

 他にも、作家・中山七里さんの推理小説を映画化した「さよならドビュッシー」(東京テアトル配給)、プラネタリウムや観光物産館の映像、音声ペンを用いた知育玩具などの音響効果を担当。さまざまな芸術作品や商品に“音”というスパイスを加え、感動やリアリティー、利便性を創出しています。

梶野俊夫 かじのとしお

#chapter3

ゲーム会社などで経験を積み、独立後は専門学校の講師として後進を指導

 梶野さんは大阪府大東市生まれ。小学3年生の時に聞いた、「Y.M.O(イエロー・マジック・オーケストラ)」のシンセサイザー音に衝撃を受けたと言います。
 「中学時代にはドラマのロケで音声さんの仕事ぶりを見て興味を持ち、音の道に進む決意を固めました」

 高校卒業後は大阪スクールオブミュージックに進学し、収録作業などを行うMAスタジオでもアルバイト。
 カプコンに就職してからは、スーパーファミコンソフト「ファイナルファイト」での着想が認められ、効果音制作のリーダーを任されました。
 「ファミコンでは、今までなかった掛け声・倒れる音・殴る音などの衝撃音をメインにしたことが評価されました」

 その後、元上司の誘いで映画の音響制作会社に転職し、外国仕込みの技術を習得。幅広い分野で本分を発揮したいと、2006年に起業しました。

 これまでのキャリアを生かすべく、東京・中目黒の専門学校「バンタンゲームアカデミー」で講師も務め、若い人たちに音響効果について教えています。
 「音をつくる実技指導にとどまらず、現場の雰囲気を体感してもらうため、スタジオワンダーウォールも見学してもらっています。グリスハーモを立ち上げた作曲家など、この業界で活躍する人も多いですよ」

 今後は、全国に活動の場を広げていくことが梶野さんの目標。「実務者としてクライアントさまに貢献するとともに、後進の育成にも力を入れていきたいですね」と展望を語ります。

(取材年月:2023年3月)

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専門家プロフィール

梶野俊夫

映像作品に臨場感やインパクトを与える音響効果の制作者

梶野俊夫プロ

音響効果制作(効果音制作・選曲)

有限会社audio studio響

ゲームメーカー、音響制作会社に所属し、映画、アニメの効果音の実績も多数。自社以外にもスタジオに所属し、多種多様な作品を手掛けます。ミキサー、声優、ナレーター、作曲家などとも連携します。

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