知的財産権(特許、商標等)に関してアドバイスする専門家
安武健司
Mybestpro Interview
知的財産権(特許、商標等)に関してアドバイスする専門家
安武健司
#chapter1
特許、実用新案、商標等の「知的財産」って、少し敷居が高くて難しいものだと思いがち。そんな企業人や個人に対し、技術者としての経験を生かし、ノウハウをアドバイスできるのが安武健司さんです。
シャープ(株)で専門的な技術開発に従事し、実験技術者、設計技術者としても十分な実績を持っています。2012年に退社し、2013年に現在のアステロイドリサーチ(株)を設立し、コンサルタント業務にあたっていますが、シャープ在任中から数々の特許を出願、取得。海外での審査請求中の特許も数多くあります。
身近なものでいうと、スマートフォンの画面に使われる液晶です。安武さんは液晶の製造装置に関する特許も持っていて、15年以上の間は毎年、その特許収入が入るそうです。
では、一般人が特許を取得するにはどうすればいいか。安武さんはこう言います。
「専業主婦の方でも、特許を取得して高収入を得ることは十分に可能です。たとえば、マンションのベランダでよく見られる『布団ばさみ』。また、洗濯機で出た糸くずを取る器械。これらは専業主婦ならではの発明です」
このように日常生活で不便だから改善できないか、と思ったアイデアが、成功につながるケースもあるのです。
どうですか。特許というものの本質が、少し見えてきたような気がしませんか。
#chapter2
ここで、特許の出願から取得までの流れを説明しましょう。
まず、ある企業や個人が技術的に新しい発明したとします。特許を取るには、まず最初に「出願書類(願書、明細書、図面等)」を作成し、特許庁に提出します。これが「出願」です。この段階で弁理士と共同で作業することが多いです。
出願された内容は、出願日から1年半後に「公開」され、特許庁のホームページから誰でも出願内容を閲覧できるようになります。
次はいよいよ「審査請求」に移ります。出願日から3年以内に発明者が特許庁に特許内容の審査を請求するのです。
「ここで特許庁に発明内容を『拒絶』されることが多いのですが、大概の人は拒絶理由通知を見てあきらめてしまうのです」と安武さん。
それではどういう手段があるのか。拒絶されても「意見書」あるいは「手続補正所」という文書を特許庁の審査官に再提出するのです。意見書、手続補正所の提出は1回限り。ワンチャンスを生かすことができた時こそ、初めて特許を取得できるのです。
ごく簡単に説明しますと、「発明」→「出願書類作成」→「出願」→「公開」→「審査請求」→(「拒絶」→「意見書提出」)→「登録」――という流れです。
#chapter3
特許取得のポイントについて、安武さんは「『新規性』と『進歩性』の両方を満たしているかどうか。これが経験のない人には難しい。だから、ここで我々のノウハウが役に立つのだと思います。意見書では、他の出願内容との違いや進歩性を論理的に強調するのです」と話します。専門家の知識を有効に活用し、知恵を借りながら練っていけば、道は開けるかもしれません。がんばって特許が取れれば、その商品の売り上げによって相応のお金を手にすることもできるのです。
会社を設立して2年以上がたちました。「これまでは企業、特に一部上場の製造業の技術者へのアドバイスが主な業務でした。技術者と弁理士との間をコーディネートする役割でしたが、これからは個人企業家で特許や商標登録を目指している人にも助言していきたい」と安武さん。
実際に女性起業家から「商標を取得したいのですが……」といった相談があるそうです。特に女性の場合、どこから手をつけたらいいのかわからない、どれぐらいの期間とお金がかかるのかわからない、そんな人が多いようです。
「実は私は好奇心が旺盛で、アロマ、ハーブ、エステ、耳ツボジュエリーなど、女性が興味を持ちそうな分野が、けっこう好きなのです。“『女子力』が高い知財コンサルタント”として、商標登録の相談にもどんどん乗りますよ」
今後も技術者へのコンサルタント業務を継続しながら、セミナーや講座を積極的に開催し、垣根の高い知財への知識をよりわかりやすく解説していくそうです。そのための第1段として、“女性起業家のための超わかりやすい「商標」入門“という題名の電子書籍を2016年3月末にAmazonから出版予定です。引き続いて、特許の専門書の執筆も企画しています。安武さんが培った各種ノウハウの広がりに期待したいですね。
(取材年月:2019年1月)
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Profile
知的財産権(特許、商標等)に関してアドバイスする専門家
安武健司プロ
アステロイドリサーチ株式会社
特許、商標を登録・活用するには? 会社、個人を問わず、難しいものだと思い込んでしまいがち。数々の特許および商標の登録に関する自らの経験を生かし、ノウハウをアドバイスします
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