防災のためのインフラをトータルにコンサルティング
茶橋昭夫
Mybestpro Interview
防災のためのインフラをトータルにコンサルティング
茶橋昭夫
#chapter1
病院やホテルに老人ホーム、事務所用ビル、商業施設といった大勢の人々が利用する施設の運営管理担当者の方は自治体や消防署から「建築基準法第12条に基づく定期報告書の提出について」といった内容の郵便が着いて戸惑った経験はないでしょうか。
これはなんだろうと思いつつ、放置しておくと「可及的速やかに報告を実施せよ」との督促状が届くこともあります。場合によっては営業停止や罰金が課せられることもあります。そんなときに頼りになるのが、防災という観点から消防設備点検や建築設備定期報告を実施するエキスパートである茶橋 昭夫さんです。
「消防設備点検は各消防署、定期報告は市町村などの自治体の管轄で実施を義務付けられています。とりわけ定期報告は各自治体によって報告対象となる建物の基準や報告書様式についてもバラバラなのが実態なんです。わかりやすいガイドラインがある訳ではないんですね」と語る茶橋さん。
多くの建築物での検査実績、全国各地の消防署や自治体に向けて提出した報告書の数々。プロフィールページを確認していただければわかるように、医療機関や介護施設、ホテル、学校に官公庁、事業所、商業施設と、この分野での茶橋さんの経験と実績は多彩の一言に尽きます。
#chapter2
消防点検は所轄の消防署に対して、建築物の定期報告は市町村など自治体に対して報告書を提出します。この2つは同じ防災という観点から行われている検査制度ゆえ、重なり合っている部分もありますので、詳しい説明が必要です。
消防法に基づく法令点検には大きく3つのカテゴリーがあります。1つ目が消防設備点検で、スプリンクラーや自動火災報知機といった火災発生時に欠かせない設備の動作を確認するもの。2つ目が防火対象物点検で不特定の人が出入りする建物で、構造上避難困難が想定される建物に行われるもの。3つ目は防災管理点検で、火災以外の地震やテロの災害を想定した防災計画が適切に管理されているかをチェックするもの。
定期報告は建築防災の観点から行う義務があるもので、昇降機以外に大きく分けて3つのカテゴリーがあります。1つ目は換気設備や機械排煙、非常照明といった設備の作動を確認する建築設備定期検査。2つ目が不特定多数の人々が利用する商業施設やホテルなどに義務づけられている特定建築物定期調査。3つ目が消防点検と重なる部分のある防火戸や防火シャッター等の作動を確認する防火設備検査です。
「他にも非常用発電機の負荷運転や貯水槽のメンテナンスなど病院や老人ホーム、ホテルといった施設に義務づけられている検査は多岐に渡るうえに、安全に関する専門的な知識が求められ、とても複雑なんです」という茶橋さんの言葉に頷かざるを得ません。
#chapter3
現在のように防火設備の定期報告の実施が厳格化されたのは、2013年に福岡市内の診療所で発生した悲劇的な火災事故がきっかけです。火災発生時に自動閉鎖するはずの防火扉が正常に作動しなかったがために多くの犠牲者が出ました。
いつ訪れるかわからないのが地震や台風、火災といった災害です。そういった非常時にさまざまな設備が正常に機能するよう設備のメンテナンスを万全にすることは必要不可欠。多くの人々が利用する建物は必然的に多くの人々の安全に責任を持つことになるのですから。
「消防点検や建築の定期報告は安全を確実に担保するため重複する部分も多いんですね。だから、私達は建築物の安全を総合的にコンサルティングすることを重視しています。実は2013年の福岡の火災事故でも消防点検は実施されていたんです。でも、総合的に建物の安全を守るという視点が欠けていたために悲劇的な事件になってしまったのだと思います」と語る茶橋さん。
「総合的に建築物の安全を守る」という視点を持って消防点検や定期報告を担う茶橋さん。その言葉の端々に人間らしさとあたたかみを感じる「守りたい」という気持ちが感じられた取材でした。
(取材年月:2019年10月)
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Profile
防災のためのインフラをトータルにコンサルティング
茶橋昭夫プロ
防災コンサルタント
株式会社テックビルケア
建物の消防設備点検や定期報告、貯水槽維持管理、非常用発電機の負荷運転までトータルにコンサルティング。各自治体により異なる手続きや書類作成、申請までをきめ細やかにワンストップでサポートする。
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