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「珈琲でみんなを幸せに」をテーマに、陽気な焙煎士があなたのもとへ

ミャンマーの珈琲で幸せを広げる陽気な焙煎士

亀田寛

亀田寛 かめだひろし
亀田寛 かめだひろし

#chapter1

お湯さえあれば珈琲を淹れに行く、豊中の“熱湯くださいおじさん”

 阪急服部天神駅から徒歩20分余り、豊中市利倉にある「亀田珈琲焙煎所」は完全予約制のプライベートサロン。決まったメニューや営業時間などはありません。
 
 「来てくださる方とお話ししながら、一人一人に向けた珈琲を淹(い)れたいと考えたら、この形になりました。生豆から一緒に焙煎(ばいせん)して、色や香りの変化を楽しみ、その場で味わっていただく。効率的なやり方ではないかもしれませんが」と話すのは、“陽気な焙煎士”こと店主の亀田寛さんです。

 キッチンカーでイベント会場やオフィスをはじめリクエストのあった場所へ駆けつけ、自家焙煎珈琲を提供。自ら企画した感謝祭や交流会なども開いています。
 SNSのInstagramには、珈琲を囲む老若男女の笑顔が数多くあふれますが、「聞いたお話、お会いした方の全てを投稿しきれてはいません」と言い、精力的に活動している様子が見て取れます。

 日々の原動力は珈琲。自身にとって大切ななりわいであると同時に、人とつながるツールでもあります。「お前が淹れる1杯を飲みたいねん」「お前の豆がいいねん」と、足を運んでもらうのが何よりの喜びだとか。
 「単なる“お客さま”以上の存在、いわばお店の“ファン”になってくださる方とのご縁を大事に育てていきたいと思っています。100人にご賞味いただいて、一人か二人でもうちのファンになってくれたらうれしい。私は、お湯だけご用意いただいたらどこでも珈琲を淹れに行く“熱湯くださいおじさん”。どうぞお気軽にご連絡ください」と朗らかに呼び掛けます。

#chapter2

49歳で退職し自転車で一人旅。沖縄で“恩師”と出会い焙煎士の道へ

 豊中市で代々続く農家に生まれた亀田さん。食への関心が高く市内の食品メーカーに就職します。26年間勤めましたが、「人生の後半をどう生きるか」を考えた結果、49歳で退職。“自分探し自転車一人旅”と銘打って、着の身着のままで旅に出ました。
 
 広島からしまなみ海道を抜けて四国へ渡り、九州入りすると雨続き。鹿児島からフェリーで沖縄へ。ふと珈琲が飲みたくなり、検索して見つけた喫茶店に入ります。
 「メニューは珈琲のホットとアイスだけ。新聞や雑誌を取って席に座った人の前に勝手に出てくるんです」

 豆の種類、焙煎の深さやひき目、抽出の濃さ、量も違う。店主に聞いたら「それぞれの好みに合わせています。お客さまを見ながら1杯1杯淹れるのが幸せ。お客さまがそうさせてくれるんです」と返ってきました。
 「香り豊かで何ともおいしい。でもそれ以上に、店主に人が集まってるんやな、珈琲で来る人を幸せにしているんやな、というのが見ていて分かって。『この人になりたい!』と思いました」

 30年以上続く「珈琲専門店 原点」の店主・外間也蔵さんが亀田さんの“恩師”になった瞬間です。その場で大阪行きの航空券を予約。翌日はレンタカーで沖縄各地を回り、旅先で出会った人々に「珈琲焙煎士になる」と決意を伝えて豊中に戻りました。

 帰宅後は経営と焙煎を半年間かけて学び、授業で煎った豆を持ち帰っては友人・知人に飲んでもらう日々。“熱湯くださいおじさん”の誕生です。

亀田寛 かめだひろし

#chapter3

生産者支援プロジェクトや常設店舗で、もっとみんなを珈琲で幸せに

 亀田さんが扱う豆はアジア産がメイン。中でもミャンマー・レーカイン村のものが“看板豆”です。
 「珈琲の果実をタンクや容器などに詰めて空気を抜き、酸素をなくした状態で発酵させる『アナエロビック・ファーメンテーション』により、独特なフレーバーや甘みが生まれます。焙煎の仕方でいろいろな風味を堪能できるのが魅力です」

 「珈琲でみんなを幸せにしたい」と願う亀田さんは、「ミャンマーマイクロミルプロジェクト」にも参加。資金を募って収穫から加工まで行える環境を整え、生産者の収入と品質の向上を目指しています。
 「お客さまに豆の説明をするのがますます楽しく、誇らしくなりました。農家さんと共同していく一体感も込め、オリジナルTシャツも作ったんですよ。現地の情勢が安定したら、このTシャツをみんなに着てもらい一緒に作業をし、私の淹れるミャンマーの美味しい珈琲でみんなと一服するのが夢です」

 近い将来かなえたいことがもう一つ。
 「お客さまから『お前の珈琲どこで買えんねん』とよく聞かれまして。現在のインターネット販売のほかに、豆が購入できて珈琲も飲める常設店舗を考えています。思いを共有できるスタッフを迎え入れ、集まった人と心温まるひと時を分かち合えたらいいですね」

 実は結婚当初から、退職後は夫婦で喫茶店を開く展望があったとか。「最終的には妻とカウンターに立ちたいとも思いますが、今はまだ、自分からたくさんの人に会いに行きたいんです。珈琲を淹れる旅は続きそうです」と笑います。

(取材年月:2023年10月)

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亀田寛

ミャンマーの珈琲で幸せを広げる陽気な焙煎士

亀田寛プロ

陽気な焙煎士 

亀田珈琲焙煎所

イベント会場やオフィスなどご希望の場所へキッチンカーで出店。ミャンマーをはじめアジアの豆をメインに、陽気な焙煎士がおいしい珈琲&楽しい時間を提供します。完全予約制の焙煎所で珈琲講座も開催。

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