介護タクシーサービスとフットケアセラピスト育成のプロ新城かおり

介護タクシーサービスとフットケアセラピスト育成のプロ

新城かおり

介護タクシーで移動をサポートするほか、ドイツ式フットケアで巻き爪などをケア

　「当方は、車いすの方や人工透析を受けている方など、病気や障がいで歩行が困難な方の通院や買い物、施設への送迎に付き添う『介護タクシー』と、巻き爪をはじめ、さまざまな足の悩みに応える『フットケア』を主軸にしています」

　そう話すのは、中頭郡読谷村を拠点に事業を展開する「介護タクシー・巻き爪フットケア・訪問介護ステーションかおり」の新城かおりさん。介護福祉士として移動介助を行うほか、足元に不安を抱える人のサポートに力を入れています。

　「爪の両端が丸まり、皮膚に食い込んでしまう巻き爪は、年齢を重ねて前かがみの体勢が取るのがつらくなったり、手元が見えづらくなったり、握力が低下して爪が切りにくくなることで、どんどん悪化します。放置して炎症などが起きる前にお声掛けください」

　新城さんの技術のベースになっているのは、ドイツ式の〝ORAシュパンゲ〟という方法。現地に赴いて研修に参加し、スキルを身に付けました。

　「爪の形状に合わせて細やかにケアするため、巻きが強く深く入り込んでいても施術が可能です。形を整えるにあたってワイヤを用いますが、爪にフックを引っ掛ける構造なので、皮膚への負担を軽減することができます。定期的に爪の成長を確認して調整を施し、計画的に進めていきます」

　自然なカーブで必要以上に平らにしないため、爪が剥離する心配が小さいのも特長だと言います。
　「タコやうおのめ、角質のお手入れもしております。より良いコンディションを保ち、少しでも快適に過ごしていただければ幸いです」

専用サロンで利用者を迎え入れるとともに、出張によるフットケアも提供

　以前は、トラックのドライバーをしていた新城さん。椎間板ヘルニアを患い事務職をしている時、父に教えてもらったことから介護タクシーの存在を知り、地域の人の役に立ちたいと2009年に開業しました。
　「急を要する場合は、深夜であってもお迎えにあがります。車中ではいろんな話題が出ますが、当時から足の爪に関する話はよく耳にしていましたね」

　最初は聞いているだけでしたが、新城さんの母親が巻き爪になり足の指が化膿したことで足の問題に向き合います。
　「抗生物質を飲んで腫れを抑え、爪を切除しなくてはいけない状態でした。他に方法はないかと調べる中でドイツ式フットケアに出合い、何とか手だてを講じることができました」

　母の件を機に、介護タクシーの利用者から相談があれば無料でケアをするように。人数が増えるにつれ、さまざまな状況に対処する必要性を感じ、講習会などを受講して知見を深めました。

　「利用者さまへのサービスの一環としてやっていたところ、『もっと他の人にもしてあげて』と言ってくださる方がいたんです。自分ができる範囲でと思っていましたが、仕事として提供できることに気づき、自信も持てました」

　本格的に始動すると、質の高いフットケアが受けられると口コミで広がっていったそうです。
　「最初は、お客さまの家に訪問していましたが、自宅とは別の場所で受けたいという方が増えたことから、2019年に専用サロンを開設しました。出張とサロン、ご希望のプランを選んでいただくことができます」

フットケアのスペシャリストを増やすために、フットヘルパーの育成講座も開講

　日々の取り組みを通じて新城さんが感じているのは、予防の大切さです。

　「症状がひどくなってから治療をするのではなく、日頃の心掛けで健やかに過ごしてほしいというのが私の願いです。足のトラブルを減らすためには、子どものうちから、親御さんなどが、正しい爪の切り方や靴の履き方、サイズの選び方を教えることが重要です。今後は足の爪のケアについて、広くお伝えしていきたいですね」

　子どもの足と靴に関して体系的に学ぶため、2018年に「日独小児靴学研究会」に入会。皮膚科の医師や靴づくりの職人など足に関する専門家が集まり、「沖縄の足を守る会」を結成し、知識の共有や情報発信に努めています。

　また、フットケアのスペシャリストを増やしたいと、フットヘルパーの育成講座も開講しています。
　「高齢者施設を訪問しても、知らない人に足を見せることに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。顔見知りの施設のスタッフさんができるようになれば、もっとスムーズにケアができるのではないでしょうか」

　医療や介護現場などで働く人たちに、興味を持ってほしいと呼び掛ける新城さん。多方面にアプローチし、精力的に活動する背景には、「目の前の困っている人を助けたい」という気持ちと、「ノウハウを行き渡らせ、地域に貢献したい」という思いがあります。

　「どこに行くにも車が欠かせない沖縄で利用者さまの足となり、みなさまの健康を支える足を守るため、これからも尽力してまいります」

（取材年月：2022年11月）

介護タクシーで利用者の足となり、フットケアで人々の足を守りたい

介護タクシーで移動をサポートするほか、ドイツ式フットケアで巻き爪などをケア

専用サロンで利用者を迎え入れるとともに、出張によるフットケアも提供

フットケアのスペシャリストを増やすために、フットヘルパーの育成講座も開講

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