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美しく神聖な沖縄の海で数カ月かけて自然に還る。散骨とは違う海洋葬の新しいカタチ

新しい海洋葬のカタチ「さんご葬」を提案するプロ

神山豊江

神山豊江 かみやまのりえ
神山豊江 かみやまのりえ

#chapter1

沖縄の風化造礁サンゴが原料。漆喰で作られた環境に優しい墓標で海へ納骨する「さんご葬」を提案

 家族関係やしきたりに対する考え方の変化とともに、葬儀やお墓のあり方も多様になってきています。中でも、近年注目されているのが、遺骨や遺灰を山や海に埋葬したり、撒いたりする自然葬です。

 「『現地に着くまでは寂しかったけれど、やってよかった。後ろめたさが和らぎ気持ちの整理ができました』とおっしゃるご遺族が多いです」と、話すのは「沖縄海洋墓標会」の神山豊江さん。同会では、「さんご葬」という新しいカタチの海洋葬を執り行っています。

 長い年月のあいだ波に洗われ、沖縄の海に堆積した風化造礁サンゴを用いた漆喰で、墓標となる「エルカ」を制作。前面には故人の名前を刻み、背面には遺骨を入れ、海に納骨します。化学物質が含まれていないことから、環境に負荷をかけることもないと言います。

 「一般に行われている散骨は、海面にお骨が漂って広がり流れていきますが、エルカは、そのまま水深約50メートル以上の海底に沈んでいき、そこで数カ月かけてゆっくりと自然に還っていくのです」

 墓標を送り出す際は、船長や同行スタッフが、「いってらっしゃい」と声を掛けるそう。納骨した日にちと地点の緯度経度を記した、海洋葬実施証明書も発行。故人がここに眠り、やがて旅立っていくという“心のよりどころ”となります。

 「海をこよなく愛する方や沖縄が好きで移住してきた方、亡き後は生命の源に抱かれたいという方、子や孫に墓の管理で手間をかけさせたくない方、永代供養に費用をかけられないといった方からのお問い合わせが、年々増えてきています。改葬やペットの納骨にも対応しています」

#chapter2

「実家のお墓に入れない」といった悩みをきっかけに、海に葬送する墓標づくりへ

 沖縄海洋墓標会の設立は、異業種交流会の参加者が持ち掛けた相談が始まりでした。
 「離婚して戻ってきた妹がいるけれど、沖縄の伝統的な門中墓では、一度嫁いだ女性は実家のお墓に入れないというケースが多い。亡くなった場合どうしよう。海が好きだけどお墓を建てることもできないし…と、悩みを口にしていたそうです」

 話を聞いた葬祭業の経営者が、「門中墓を閉じるときに使う漆喰なら、海中で溶けていくはず」と提案。サンゴなどが化石化した石灰岩を原料とする漆喰で墓標を作り、遺骨を収めて海に葬送するという発想が生まれたのです。メンバーで幾度も試作と実験を重ね、また、法律面もクリアしてエルカが誕生しました。

 約20年にわたり葬祭業に携わってきた神山さんも、「さんご葬」の理念に共感。同会が発足した翌年、2018年に参画しました。
 「私が現在の道に進んだのは、父親に病気が発覚したことがきっかけです。後悔をしたくないと勤めていた会社を退職。看病に専念するつもりでしたが、程なく他界してしまいました。当時、葬儀を担当してくれた事業社から声を掛けられ、入社したのです」

 自身の経験から、これまで数多く遺族の心情や事情に親身に寄り添ってきた神山さん。その姿勢は変わらず、儀式の折には必ず乗船して立ち会います。
 「私は、悲しみのなかお葬式に臨むご遺族の心情もよく分かります。できる限りご遺族から故人について伺い、その方のことを思いながらお見送りします」

神山豊江 かみやまのりえ

#chapter3

「さんご葬」で次代に美しい海とサンゴ礁を引き継ぐ活動にも寄与

 葬送は、北那覇マリーナから船で約20分、慶良間諸島沖で行います。周辺は透明度が高く、ホエールウオッチングやダイビングスポットとしても指折りの海域。近くの無人島には天然保護鳥のアジサシが産卵に来て、夜には灯台が辺りを照らします。
 そして、古来より人々が海神の国(ニライカナイ)に祈りをささげてきた拝所「波上宮」に見守られる、神聖な場所でもあります。

 プランは、船をチャーターする「貸切プラン」、数組が船に同乗する「合同プラン」、スタッフが葬送を代行する「委託プラン」の三つ。遺族が沖縄に行けない場合も丁寧に故人を見送ります。

 「ご自身のエンディングについてお考えなら、『エルカさんごの会』もご用意しております。入会金は1万円で、実施の際に充当するほか、意思表示にもなる会員証の進呈や終活相談もいたします。また、入会金や海洋葬の費用の一部を、サンゴ礁を保全する団体に寄付したり、子どもたちに環境問題を伝える活動にあてたりしています。沖縄の美しい海とサンゴ礁を次代に引き継ぐための取り組みも、当方が大切にしていることです」

 全国17カ所に代理店がありますが(2023年1月現在)、各地で申し込みできるよう数を増やしていくことも検討。海を眺めながら故人をしのぶ「エルカハウス」の開設や、年に1回の合同慰霊祭の開催も構想しているとのことです。

 「青く澄んだ海で静かに自然に還り、環境保護にも寄与できる『さんご葬』。自然葬を希望する方の終活の選択肢として加えていただければ」と神山さんは語ります。

(取材年月:2023年1月)

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神山豊江

新しい海洋葬のカタチ「さんご葬」を提案するプロ

神山豊江プロ

葬祭業

一般社団法人沖縄海洋墓標会

沖縄風化造礁サンゴを原料とする漆喰で作った墓標「エルカ」に遺骨を収め、沖縄の美しい海へ送ります。散骨とは異なり、その場所で数カ月かけて自然に還っていきます。環境にもやさしい、新しい海洋葬です。

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