人的資本経営、離職・休職対策のプロ高木慎太朗

人的資本経営、離職・休職対策のプロ

高木慎太朗

人的資本経営を実現するための、採用戦略、人事評価制度や能力開発などを支援

　採用から労務管理まで、人事戦略に悩む経営者は多いでしょう。「社内に担当がいても、専門的な知見がないという企業は少なくありません。人事戦略の専門家としてお手伝いします」と話すのは、コンサルティングファーム「Trust Assets」（岡山市北区東島田町）代表取締役の高木慎太朗さん。

　2023年3月期決算以降から、上場企業を対象に人的資本の情報開示が義務化されています。高木さんは、人的資本の情報開示に関する国際的なガイドラインであるISO30414のリードコンサルタント/アセッサーとして、支援を手掛けます。
　「自社の従業員を、活用する『資源（使うと減る有限なもの）』ではなく、投資対象となる『資本（可能性が無限大）』とみなす考え方が主流になりつつあります。すでに欧米企業では、人的資本の情報開示が進み、日本でも2023年4月から上場企業には開示が義務化されました。上場・非上場を問わず、人を『資本』として、大切にその価値を育む会社は、マーケットで強い人財訴求力を持ちます。特に目下の人材難の環境下では、採用フィールドでも大きな競争力となり得るでしょう」

　ISO30414では、人的コストやダイバーシティ、組織風土など、開示すべき11項目58指標が定められています。
　「どの項目にどのレベルで取り組むかは、企業によって異なります。経営層から現場まで各部門、各職制の皆さまからのヒアリングにより課題を洗い出し、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高める人事評価制度の構築や研修、1on1ミーティングの導入など、実情に応じた施策を提案します」

　「人が育つ環境を整えることは、企業の持続可能な成長につながる」と力を込めます。
　「事業の担い手は人です。その潜在的な能力をどれだけ顕在化させ、発揮し、活躍してもらえるかが、企業の持続的成長を左右します」

上場企業の管理職経験から培った「絆ポイント」の概念をコンサルの柱に

　高木さんは、大学卒業後、東証プライム上場企業で20年以上営業畑を歩み、勤務先の副業解禁を機に、2021年に「Trust Assets」を立ち上げました。
　「経営課題の解決支援を手掛ける中で、人事戦略に関して深い悩みを抱える経営者を多く見てきました。本業とは別に、より専門性の高いお手伝いをしたいと思い、起業しました」

　コンサルティングの柱にするのは、「絆ポイント」という独自の概念です。絆ポイントとは、人と人との絆を表すレベルのこと。相手から「ありがとう」と言われることを行動目標に、ポイ活のように信頼を積み上げ、人間関係を円滑にしようという考え方です。
　「管理職になったときに、組織をまとめ、人を動かす要因は、〝人間力〟だけではないと感じていました。周囲が助けてくれる理由を突き詰めると、『人に何かしてもらったら、お返ししないと』となる返報性の原理が働いていると考え、より良い関係づくりに活用できると思いました」

　組織マネジメントに「絆ポイント」を取り入れたという高木さん。効果を実感した部下からの「概念を体系化してほしい」との声を受け、「古くて新しいニューノーマル社会の概念　絆ポイント」（2022年、幻冬舎刊）を上梓しました。
　「クライアントには、最初に本をお渡しします。〝絆ポイント〟を社内に浸透させたいという経営者を歓迎します。『共感した』という声もよくいただきます」

独自開発した1on1のサポートシステムを学習塾のサービスとしても展開

　これまで自動車販売店や学習塾などのサポートを手掛けてきた高木さん。新入社員から経営者まで階層別研修は、100回以上の実績を誇り、フォローアップも大事にしています。　
　数か月後のブラッシュアップ研修のほか、事後アンケートで満足度の低い従業員がいれば、個別面談を行います。

　また、独自システムによる「1on1」の導入、展開、定着サポートも強みです。メンバーはメンタルとフィジカルのコンディションを4段階で自己評価し、〝話を聞いてほしい〟〝アドバイスがほしい〟など上司に求める関わり方を事前に入力。共通認識をもとに、個の力の最大化を図る対話に集中できます。
　「私自身が管理職として実際に1on1を行ってきた経験から、負担を軽減し、無理なく効果的に続けられるシステムを開発しました」

　1on1システムを学習塾のサービスとして展開する事業もスタート。講師と生徒がシステムを利用して、成績アップや志望校合格などを目標に対話を重ね、その内容を保護者も閲覧できるサービスで、2023年11月から、約70人が利用しています。
　「デジタル技術の発達により、特に若い世代で、人と人との直接の関わりを重視しない傾向が強いと感じます。時代が変わっても、人との絆は、目標達成に貢献する重要な要素です。1on1を通して、若いうちから人間関係を構築する力や対人力を育み、社会に人の好循環を生みたいですね」

（取材年月：2023年12月）

人と人との関係を強化する「絆ポイント」の概念に基づき、人的資本の最大化を図る

人的資本経営を実現するための、採用戦略、人事評価制度や能力開発などを支援

上場企業の管理職経験から培った「絆ポイント」の概念をコンサルの柱に

独自開発した1on1のサポートシステムを学習塾のサービスとしても展開

専門家プロフィール

Other Interview