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キモノをまとうひとときを、楽に美しく仕上げる技術で最高の思い出に

長年の知識・技術で着る人を輝かせるキモノのプロ

古谷野貢

古谷野貢 こやのみつぐ
古谷野貢 こやのみつぐ

#chapter1

オリジナルのキモノブランド「明和美染」を展開し、着付け師としても活動

 「キモノ専門店が少なくなり、どこに相談すればいいか分からないという声をよく耳にします。当方が『キモノが生まれる瞬間からお客さまが袖を通すまで』お力になります」

 そう話すのは、岡山県倉敷市粒江にある「創作きもの明和美(みわび)」の代表・古谷野貢さん。オリジナルブランド「明和美染」の販売や、洗い、寸法直しといったアフターケアを手掛け、2010年からは着付け師としても活動。日本舞踊の着付けをする衣裳方(いしょうがた)、結婚式や成人式などの一般着付け、後進の育成にも取り組んでいます。

 「私どもの強みは職人さんとの距離が近いこと。キモノ創りを通して職人さんと密な関係を築いているので、良い仕事が早く、お安くご提案できます。通常1カ月はかかる仕立物も、1週間ほどで仕上げます」

 桜やコスモスなど四季折々の草花をあしらい、繊細で楚々とした作風は、2018年の創業以来、口コミや紹介で依頼が舞い込み、客先は全国で約500件に及ぶと言います。
 「お客さまの期待に120%で応える仕事を目標に、ご用命いただいたすべての方に対して誠心誠意でお付き合いをするのが信条です」

 伝統的な日本舞踊の要素を加えた独自の着付けも評判を呼び、「タンスに眠る母のキモノを着てみたい」との声も寄せられるように。古着の買い取り、レンタル以外のことなら幅広い要望に応えています。

 「おばあさま、お母さまから受け継がれたキモノをお客さまに合わせて調整しますので、お食事会や観劇などでぜひお召しください。皆さまにとって身近な相談相手でありたいので、分からないことがあれば気軽にお問い合わせください」

#chapter2

着付け師として、踊りやすく崩れない日本舞踊の「衣裳方」の技術を習得

 キモノの制作・卸売りを営む家に生まれた古谷野さんは、和裁や着付けを学ぶ専門学校へ進みます。在学中、特別授業の講師として来校したのがキモノスタイリスト。映画やドラマで、物語の時代背景や演者の役柄に応じて和装をしつらえる姿に感銘を受け、卒業後にアシスタントとして師事します。

 「修業時代は、社会人としてのマナーを徹底的に教えてもらいました。人と接する心構えを身に付けたからこそ、今の私があると思っています」

 24歳からは、父の下で働きながら毎月京都の職人のもとへ通い始めます。家業で扱っていたのは、職人の手業によって生まれる京友禅のキモノ。完成までには約20の工程があり、すべてに熟練の技を要します。一流のモノ創りを目の当たりにし、職人へのリスペクトが高まっていた26歳の夏、新たな転機が訪れます。

 「ある方から、成人式の着付けを頼まれました。しばらく着付けから離れていた私は、岡山で著名な先生を訪ね、一からプロの技術を習いました。さらに29歳の時、日本舞踊専門の着付け師『衣裳方』に出会い、自身のスキルを発展させる上で重要だと考え、その世界に飛び込んだのです」

 踊りやすく、崩れない、先人が培った手法を習得。一般着付けに、装いの要となる日本舞踊の腰ひもの締め方などを取り入れたところ、顧客の感想が大きく変化します。

 「きちんと締まっているのに痛くない」「着付けした時のきれいな着姿で1日を終えられた」といった喜びの声を励みに、古谷野さんは研さんを重ねています。

古谷野貢 こやのみつぐ

#chapter3

キモノ文化を次世代に継承するため、着付け師の養成講座も開講

 「キモノの創作も着付けも一つとして同じものはなく、一期一会の貴重な機会と心得ています。目の前のお客さまに誠実に寄り添い、『あなたに頼んで良かった』『ありがとう』という言葉をいただき、お知り合いを紹介してくださることが何よりもうれしく、達成感と充実感を得られる瞬間です」

 日々の仕事にまい進する古谷野さんは、脈々と続くキモノの歴史を紡いでいかなければ、失われてしまうものがあまりにも多いことにも心を寄せます。師や職人から「自分から一つでも多くの技術を受け取ってほしい」と次世代への継承を託され、キモノ文化を背負う責任を感じるようにもなりました。

 「今後さらにすそ野を広げていくため、着付け師の養成講座も用意しています。実践を通じて、私が引き継いだ技術、経験から得た知見を共有するもので、個々のレベルに合わせて丁寧に手ほどきします」

 地元の倉敷、島根県松江市、香川県丸亀市で講座を開き、各地を巡って指導に当たる古谷野さん。着付け師としては、業界で一目置かれる存在になることを目標に掲げます。

 「日本を象徴するキモノは、さまざまなシーンを華やかに彩ります。楽で着崩れせず、心地よさと美しさをかなえることで、最高の笑顔で特別なひとときを過ごしてほしいと願っています。お客さま一人一人に真摯(しんし)に向き合い、心に残る体験をお手伝いさせていただきます」

(取材年月:2024年7月)

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古谷野貢

長年の知識・技術で着る人を輝かせるキモノのプロ

古谷野貢プロ

オリジナルキモノの制作・販売

創作きもの明和美

18歳からキモノの道を歩む、キモノのプロ。オリジナルブランドのキモノ販売やコーディネートの提案、クリーニングや仕立て直しなどのメンテナンス、日本舞踊専門の着付けから一般の着付けまで、幅広く展開する。

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