三世代同時に使える歩行杖Issoku-CHO(1足長)のプロ
森達雄
Mybestpro Interview
三世代同時に使える歩行杖Issoku-CHO(1足長)のプロ
森達雄
#chapter1
『Issoku-CHO(1足長)』は、グリップから1足長下の位置で、杖の先端が1足長前方になるように“くの字”に曲がっていることを特徴とする『歩行杖』です。1足長とは足のサイズのことで、人にとって使いやすい『歩行杖』にするための重要なポイントなので『Issoku-CHO(1足長)』と名付けられました。
「従来の杖は最適な高さにセットしても、杖の先端を前に出した瞬間にグリップ位置が下がるため、前かがみになりやすいことが課題でした。『1足長』は、杖の先端を移動させずに1歩目を踏み出すことが出来ます。また、グリップ位置が上昇するので姿勢よく歩けるとともに、杖全体で衝撃を吸収し、反発力は推進力となって、前に進みやすくなります」
そう説明するのは、大分市に拠点を置く「FOREST SEMINAR フォレストゼミナール」の代表・森達雄さん。
教育事業に携わっていましたが、2021年にIssoku-CHOの形状に出会って以来、「誰もが自分の足で歩ける喜びを持てる社会にしたい」という思いから、健康福祉分野へと事業を展開。2022年に歩行杖に関する特許を取得すると、その形状を普及させるために製品化に着手。2023年に地方発明表彰。2024年にはグッドデザイン賞に選ばれるなど、機能性とデザイン性が高く評価されています。
「“歩くこと”は、生きることそのものです。自由な歩行を支える歩行杖を提供したい」
森さんは「外に出たい」「出てほしい」と願う人たちを応援。日常歩行だけでなく、スポーツやリハビリへと活用の場を広げるべく、国内外で普及に努めています。
#chapter2
「Issoku-CHO」の開発には、森さんの人生経験が深く関わっています。長崎大学工学部を卒業後、大手電機メーカーに入社し設計を担当するも、教育者への夢を実現するために帰県、中学校の英語教員に転身。23年間教壇に立ったのち、「60歳以降も教え続けるためには学び直しが必要」と考えて早期退職し、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の語学学校に入学して学びを深めます。
帰国後はフォレストゼミナールを立ち上げ、自らも学びながら教える中で、現在の活動につながる体験をします。
「妻と登山の途中で1本の木の枝を手に取り、「く」の字の枝が想像以上に使いやすいことに驚きました。適度な弾力が推進力を与え、手と足のリズムがとてもよく合います。『この形状は必ず人々の役に立つ』とひらめきました。そして、その形状を調べる過程で、山登りやウォーキング等の健康志向の人だけでなく、歩行のために杖が必要な人にとっても、これまでにない使いやすさと補助力を発揮する形状であることがわかりました」
購入型クラウドファンディングを活用して最初の製品を世に送り出した後は、自社で販売するほか、企業と共同で登山やアウトドアに特化したカーボン製モデルの量産化プロジェクトを推進。医療・介護・福祉分野からも注目を集め、福祉用具としての製品化も進めています。杖本体は軽量なアルミ製で、身長135㎝~185㎝に対応。製品の安全性を認証するSGマークも取得しています。
「歩くのが怖い、外出するのが億劫と感じるのは、身体的な問題だけではなく、気持ちの問題も大きいんです。製品を実際に使った方からは『姿勢よく歩ける』『腰が痛くない』『以前の杖には戻れない』といった声をいただいています」
#chapter3
「支えるための杖」から「歩くための杖」への進化を提唱する森さん。12年を3期に分けた事業展開を構想しています。
第1期は、各部門の製品を世の中に出す段階。第2期は法人化によって事業基盤を強化。第3期は海外市場への本格的参入を視野に入れています。
「登山やトレッキング、散歩や体力づくりのウォーキング、医療介護福祉現場やリハビリなど用いる場面はさまざま。「く」の字の歩行杖を世界のスタンダードにすることによって、世界中の人々のQOL(生活の質)向上に貢献することが目標です」
大分県医療ロボット・機器産業協議会に入会後は展示・交流スペースのMVO(メディバレーおおいた)や大分県社会福祉介護研修センターでは常設展示も行い、実際に製品を手に取ることができます。また、大分県主催のビジネスコンテスト「OITAゼロイチ」では最高賞の『大分県知事賞』を得ているほか、福祉・医療機器の分野でも注目されています。
「地域から世界へ。子どもから高齢者まで。地域や世代を超えて使用してもらい、“生涯のパートナー”として私どもの杖が多くの人の人生に寄り添うことができればうれしいです」と森さん。地域のイベントや医療福祉関係、異業種連携企業会の会合などに赴いて「Issoku-CHO」のメリットを伝えています。
「Issoku-CHO(1足長)」の形状を歩行杖の『世界スタンダード』にすることで、世界の人々の健康寿命を延ばすことに貢献できれば幸せです」
(取材年月:2025年4月)
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Profile
三世代同時に使える歩行杖Issoku-CHO(1足長)のプロ
森達雄プロ
歩行杖メーカー
FOREST SEMINAR フォレストゼミナール
特許と意匠を取得した独自形状の歩行杖が、安定したサポートを提供し、地面からの衝撃を歩くための推進力へと変換する。アウトドアスポーツ愛好家から歩くために補助が必要な人まで、三世代が同時に使える形状。
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