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何歳からでも始められる。ヒップホップダンスに挑戦するシニアの背中を後押し

シニアのヒップホップダンスチームを率いるダンス指導のプロ

城向由佳

城向由佳 じょうこうゆか
城向由佳 じょうこうゆか

#chapter1

65歳以上のシニアヒップホップダンスチームが大分に誕生

 「シニア世代はすごいパワーを持っています。みなさんがステージでステップを踏み、意気揚々と踊ると会場から称賛の嵐がおきます。ぎこちなくても一生懸命にがんばる姿は、観客の心を揺さぶるんです」

 そう話すのは、ダンスや歌のエンターテインメントスクール「J☆DANCE STUDIO」を主宰し、自らもインストラクターとして活躍する「J Enterprise」代表取締役の城向由佳さん。

 数々のスターを輩出した「沖縄アクターズスクール」で学び、指導者として後進の育成にあたった後、地元大分に戻りました。

 「沖縄で9年間、ダンス漬けの日々を過ごし『精いっぱいやり切った』という感じでしたね。大分でカフェをオープンしたいと考えていた時に、知人からダンスを教えてほしいと頼まれ定期的にレッスンをするように。次第に生徒数が増えて、気づけばスタジオを持つようになっていました」

 2011年に開校した「J☆DANCE STUDIO」は、3歳〜80歳代の約200人が所属するスクールに成長。中でも注目を集めているのが、2017年に誕生した65歳以上のヒップホップダンスチームJBRevolution、略して「JBR」です。シニアチームを作るきっかけになったのは、1本の映画でした。

 「平均年齢83歳というニュージーランドのダンスグループが、世界最大のヒップホップダンス選手権に挑む過程を追ったドキュメンタリー『はじまりはヒップホップ(ポニーキャニオン配給)』。感動で号泣しながら、『絶対にこれをやりたい!』という情熱がわき上がり、メンバーを募ることにしたのです」

#chapter2

ダンス未経験のシニアが、半年でヒップホップのステージに立つ

 「J☆DANCE STUDIO」は、1年半ごとにスクール生の発表会を開いています。市内のホールを借りて、歌あり踊りありのプログラムが魅力です。次回開催を半年後に予定していたある日、城向さんは「ヒップホップダンスのステージに立つシニア」を新聞で募集しました。

 「応募があるか心配でしたが、30人以上の体験の申し込みがありました。仕事や育児が落ち着き、のんびり過ごしていた方々の『何かをやりたい!』という思いを後押ししたのかもしれませんね」

 挑戦の1歩を踏み出しましたが、ほとんどが未経験者。刻々と迫る本番までに仕上がるか不安もあったそう。

 「週1回50分のレッスンで、ダンスの基本的な動きから練習をする必要がありました。若い人と違い、振り付けを覚えるのも一苦労。『こんなこと、しおったかな?』から始まります。できないからといって、私たちが怒ることはありません。それぞれのペースを尊重して、無理をしないように心がけました」

 2017年6月、13人が軽快な曲に合わせてヒップホップダンスを披露しました。800人の観客から割れんばかりの拍手があり、初パフォーマンスは大成功。

 発表会の様子をSNSに投稿したところ、再生回数は40万回を超え、若者たちから「こんなおばあちゃんみたいになりたい」「年齢関係なしに好きなことを見つけられるって素晴らしい」「老後の可能性が見えた」などのコメントが多数寄せられました。城向さんの予想通り、シニアのパワーが何かを伝えたのです。

城向由佳 じょうこうゆか

#chapter3

ダンスは人生で大切なことを学ぶための手段

 ステージに立ちスポットライトや歓声を浴びた経験は、シニアたちの生活を一変させました。「ハマった!」と継続する人はもとより新規参加者も集まり、JBRチームは60人を超える大所帯に。大分だけの活動にとどまらず、2021年には愛知県で系列のスクールが開校し、今後は東京でもレッスンがスタートする予定です。

 「年齢にとらわれることなく、いくつになっても生き生きと踊れるのだということを全国に向けて発信していきたいですね。アクティブなシニアが増えたら、日本はもっと元気になります」と顔をほころばす城向さん。

 沖縄アクターズスクール時代から振り返り、自分の人生には常にダンスがあり、欠かせない存在だと語ります。

 「私にとってダンスは手段ですね。努力をすることや、コミュニケーションの取り方、相手を敬う気持ちなど、たくさんのことを学んできました。指導をする上では、誰に対しても尊敬の念を忘れず、楽しんでもらうことを大切にしています」

 城向さんの目標は、映画でみたヒップホップダンスの世界大会出場へと導くこと。開催地の「ラスベガスに行く」を合言葉にしているうちに、メンバーたちがその気になってきました。「あと2〜3年で夢がかなうかもしれませんね」と目を輝かせます。

 前向きに取り組む人たちを応援し、サポートする城向さんの姿勢は、何かを始めるのに遅いということはない、いつからでもチャレンジできるという「希望」を与えてくれます。

(取材年月:2022年4月)

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専門家プロフィール

城向由佳

シニアのヒップホップダンスチームを率いるダンス指導のプロ

城向由佳プロ

ダンスインストラクター

株式会社J Enterprise

65歳以上のシニアヒップホップダンスチーム「JBRevolution」を指導。笑いが絶えないレッスンはシニアに大人気。一生懸命に踊る姿は見るものを感動させ、シニアのヒップホップ旋風を巻き起こしている。

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