開業を志すオーナーに伴走する店舗内装のプロ牧義明

開業を志すオーナーに伴走する店舗内装のプロ

牧義明

立地や出店物件の相談、企画・設計・施工と開業前からオープンまで伴走

　「オーナーさまの個性が光り、訪れる人に感動を与える空間を創造します」と語るのは、「フェイス・エフ」の代表で空間デザイナーの牧義明さん。

　時にはコンセプトメイクから携わり、店舗の企画・設計・施工から特注家具の製作、外装までトータルでプロデュース。大分市を拠点に、九州エリアのみならず全国から依頼を受けています。

　「これまで手掛けた案件は飲食店、美容室、アパレルショップ、医療機関、企業オフィスと多岐にわたります。個人店のみならず最近は大型ショッピングモールのテナントを任されることも増えました。モールの場合、資材の搬入や作業の時間帯、関わる人数も制限も多く、経験がものを言う現場ですね」

　数多くの人気店の新規出店や改装に従事してきた牧さん。繁盛店の特徴やオーナーの資質などを肌で感じ、集客力を備えた店づくりを把握しているため、近年は“開業前の相談相手”として知見を発揮。立地選びや物件の問題点など多角的にアドバイスしています。

　「多いのが『開業したいけれど何から始めていいから分からない』というお悩みです。初めてならスケジュールや予算感が分からず戸惑うのは当然ですから、ぜひ頼ってください。少しでも不安を和らげるため、オープンまでの道のりと、各工程におけるオーナーさまと当方の役割について順を追ってご説明いたします」

　特に物件契約前からフォローすることで「電気容量が足りない」「道路に対する建物の位置が良くない」「物件オーナーと出店者さまの工事範囲の明確化」などのトラブル回避につながるのが利点。プロの視点で設備や什器といった装備面も不備なく整え、理想の実現に向けて伴走します。

ユーザーの目線で「入りやすく居心地の良い空間」を緻密にプランニング

　牧さんの理念は「オーナーの感性に響くデザイン」。事業内容に合った機能的な内装をベースに、トレンドを押さえながらオーナーが求めるエッセンスを加えていきます。

　「『個性的なオフィスにしたい』というご要望には、内装と外装に金属でストライプ状の装飾を施すなど大胆な加工を施し、既成概念にとらわれない発想で喜んでいただきました。オーダーは雑誌の切り抜きや店舗をイメージした言葉からでも可能です。要素が整理されていなくても構わないので、いいなと思ったポイントをぶつけてください」

　商業用施設で重要なのは“エンドユーザー（消費者）”の目線。美しさと、ユーザー心理に寄り添った快適な環境の両立が欠かせないと言います。

　「中の様子は見え過ぎても見えなさ過ぎても入りづらいので、外観の見せ方は緻密に計算し、インテリアや照明、窓から見える景色、BGMや香りに至るまで詳細に整え“居心地の良い空間”に仕上げます。手を掛けるほどに愛着が湧き、引き渡すのが惜しくなりますね」

　オーナーの世界観を具現化すべく創意工夫を凝らす牧さん。建築学科を卒業後、多彩な空間を演出したいと大手内装会社へ就職。人手不足の営業に配属されますが、離島の資料館のデザインを担当したことが転機になります。

　「一から作り上げていく時間が楽しくて。もっとデザインに携わりたいと中堅の内装会社に転職しました。そこではディレクション業務が主で、企画や設計、現場管理、集金、外注先とのやり取りなど広く経験し、現職に生きています」

今度は自分が手を差し伸べたい。コスト圧縮の方法も提案し、オーナーを応援

　2000年に満を持して独立した牧さん。当初は仕事がなく、知り合いの業者からもらう下請けの案件からこつこつと実績を積みます。

　オーナーの思いを反映するデザイン力と、タイトな納期にも応じる柔軟性は評判を呼び、現在は全国展開するインテリアショップの九州店舗を一手に引き受けるまでになりました。過去には、プランニングから引き渡しまでわずか1カ月という現場もあったとか。

　「工程表通りに工事を進め、オーナーに余計な心配を与えないのが私の矜持です。ただ、現場は不測の事態が多いもの。リカバリーできるかどうかは外部業者との信頼関係がカギになります。ハイレベルな技術力と臨機応変な対応力を持つ業者さんに恵まれていることも当方の強みですね」

　今後も細部までこだわった空間デザインで良質な顧客体験を提供すると共に、開業を目指すオーナーを親身にサポートしたいと語る牧さん。情熱にかられて独立し、周囲に助けられながらやってきた自身の道程を振り返り「今度は自分が夢を抱く人に手を差し伸べたい」と熱を込めます。

　「当方では、デザイン費も『工事費の何％』ではなく定額です。他にも、オーナーさまがコストを圧縮できる方法は惜しまず提案させていただきます。ビジネスである以上、安定的に利益を出すことが一番大切ですから、内装費を抑え潤沢な運転資金を確保してほしいと思います。ご縁をいただいたすべてのお店が、多くのお客さまでにぎわうことを願っています」

（取材年月：2025年4月）

「オーナーの感性に響くデザイン」を理念に、店舗など商業施設をトータルプロデュース

立地や出店物件の相談、企画・設計・施工と開業前からオープンまで伴走

ユーザーの目線で「入りやすく居心地の良い空間」を緻密にプランニング

今度は自分が手を差し伸べたい。コスト圧縮の方法も提案し、オーナーを応援

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