人生の景色を変える庭づくりのプロ
長橋正宇
Mybestpro Interview
人生の景色を変える庭づくりのプロ
長橋正宇
#chapter1
「“庭”と言えば、お寺の庭園のように砂利や石を用いた枯山水式のしつらえや、贅(ぜい)を凝らしたお金持ちの象徴といったイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。広さや形式にとらわれず、和風、洋風、ナチュラル、スタイリッシュとさまざまに彩ることができるんですよ」
そう語るのは、造園会社「帝樹園庭正」の代表を務める長橋正宇さん。庭づくりで重視しているのは、顧客が“何を大事にしているか”ということ。個人、法人をクライアントに持ち、要望や好み以外にも、生き方や理念までじっくりと耳を傾けます。
「春夏秋冬で異なる表情を見せ、日々目に映る庭は“特別な空間”です。ただ見栄えが良いのではなく、お客さまの思いや考えをしっかりと落とし込むことをモットーにしています。庭づくりとは本来自由であり、『寺巡りが好きなので和風旅館のようにしたい』『木漏れ日が差す縁側でくつろぎたい』『社風を具現化したい』など、お客さまの希望をかなえることができます」
完成した庭を披露すると、顧客はたいてい絶句するとか。そして、心から満ち足りた笑顔を見せてくれるそうです。初めてライトアップをした時、感動して鳥肌が立った人もいたと言います。
「庭とは、その人を表現する鏡ではないでしょうか。雑草が生えて荒れているのはもったいないので、人生や会社で最も大切にしていることを反映し、心豊かに過ごしてほしい。庭がない場合も、室内のちょっとしたスペースに坪庭を設けることができます。みなさんに、ささやかでも草木をめでる日常をお届けしたいですね」
#chapter2
ものづくりがしたいと、以前は建設現場で働いていた長橋さん。自分のやりたい方向性とは違い、悩んでいた時に庭師の祖父が倒れてしまったそう。
「祖父とは仲が良く、仕事を手伝ったこともあったので後を継ぐことにしました。平日は転職した造園会社で、休日は回復した祖父のもとで修行しました」
しかし、どちらもメインは庭のメンテナンス。現場で「庭をつくり替えたい」という声を聞くうちに、独立を決意して2016年に創業。初めて手掛けた庭が、全国規模のコンテストで受賞したことで、見る人の心を動かす景色を実現することに自信が持てました。
満足度の高さから紹介などでオファーが増え、2023年3月に本社オフィスを移転・新築。敷地内にモデルガーデンと会員制のコワーキングスペースを併設しました。
「ガーデンは見学も受け付けていますし、貸し出しもしています。友人とのバーベキュー、撮影会、結婚式など、いろいろなことで活用いただき、四季折々の移ろいを感じてください」
多彩な樹木を配し、中には購入できるものも。庭を臨む開放的なワークスペースは、商談や打ち合わせの場としてフリーランスに喜ばれています。
「リアルに顔と顔を合わせることで、質のいいコミュニケーションを交わすことができ、新しい発想が生まれると思います。弊社施設がご縁をつなぐ交流の場所になればうれしいですね。私の開業経験を生かして、スタートアップの方をサポートしたいと考えているので、起業を検討している方も拠点としてご利用ください」
#chapter3
精力的に事業を展開する長橋さんは、オンラインショップもスタート。観葉植物やコーヒー豆を販売しています。
「掲載している植物は、 庭のつくり直しやお手入れの際に、やむなく伐採されたものです。本来なら廃棄されていたのですが、当方の植栽技術を生かして再び命を吹き込み、アップサイクルさせました。お客さまのもとで慈しんでもらい、癒やしになればと願っています。すべてが1点ものですし、掘り出し物もありますよ」
コーヒー豆を扱うようになったのは、顧客の一人から「コーヒーを楽しむための庭をつくってほしい」と依頼されたことがヒントになりました。
「『特別な時間を過ごす』という意味で、コーヒーと庭は共通しているなと。そこで『庭を愉しむための珈琲』があってもいいのではと、ひらめきました。商品については、知り合いのカフェの店主にオリジナルブレンドをお願いしました」
多くの人に庭の魅力を知ってもらうため、ガーデン付きのカフェを運営するのも夢の一つ。「今後も“庭”をキーワードに、いろいろなことに挑戦したい」と意気込みます。
「庭づくりはバブルの時期は栄えていましたが、今や斜陽産業です。人の思いをくみ取り形にする素晴らしい仕事なのに、担い手が少ないことが残念です。業界全体を盛り上げ、若い人に興味を持ってほしいですね。特に私の住んでいる三条は、かつては植木の一大産地で『造園のまち』と呼ばれていました。その名声をもう一度取り戻したいです」
(取材年月:2023年10月)
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Profile
人生の景色を変える庭づくりのプロ
長橋正宇プロ
造園
株式会社帝樹園庭正
顧客の好みだけでなく生き方を傾聴し、心豊かに過ごせる庭を提案して施工。2023年からモデルガーデンや会員制コワーキングスペース、樹木のアップリサイクルなどもはじめ、庭の魅力を多彩なアイデアで発信。
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