木のことを知り尽くした木造住宅設計のプロ
武石明
Mybestpro Interview
木のことを知り尽くした木造住宅設計のプロ
武石明
#chapter1
ここ10数年で私達の“モノ”に対する感覚はだいぶ変わってしまったかもしれない。百均へ行けば大体揃ってしまう昨今、簡単に買えるから、簡単に捨ててしまう。だが、私達は同時に“愛着”の心も持っている。ずっと使うものには、使い手の心が宿る。それが住まいであれば、なおさら。“一生モノの買い物”を使い捨て感覚でする人はいないだろうが、大半は殆ど知識が無い状態。そんな現状を逆手に取り、とんでもない悪質物件を売りつけられる被害が後を絶たないと言う。また、エコロジーを謳い文句に、気密性や断熱性を求めるあまり、木が蒸れて腐る事例も…。
「一見すると、お客様の為…と、聞き心地のいい甘い言葉になびいてしまうと、とんだ落とし穴が待っています。」
そう警鐘を鳴らすその人こそ、県内屈指の技術と歴史を誇る木造住宅の職人集団「株式会社研創」代表、武石明さん。新潟市内から車で約50分。阿賀野市内の国道49号線沿いを安田方面に走ると見えてくるモスグリーンの建物が目印。武石さん含む1級建築士を2名、2級建築士を11名、更には大工職人も含め総勢23名の精鋭たちによる“家づくりのプロ集団”だ。
「家は、他の商品とは違い数十年の年月を経て評価・責任が決まります。だからこそ建築デザインは力学的根拠に裏打ちされたものでなければなりません。」
大工経験も持つ設計士の武石さんが何より大切にしているのが「木の特性」を活かした健康的な家造りだ。木はほぼ全てが国産材、それも地元産がほとんどである。なるべく金物を用いない伝統工法の「木組み」などにもこだわり、木の弾力性を活用した粘り耐える耐震性能を構造計算で証明している。
「100年先まで愛される家造り」と銘打たれた家の評判は口コミで拡がり、新潟県内で絶大な信頼を得ている。「家は我が子。その愛児を守ることが仕事であり使命」と、家のホームドクターとしてアフターフォローもバッチリだ。
#chapter2
正に今時珍しい“日本の大工さん!”といった感じだが、それもそのはず!! 武石家は、先祖代々続く生粋の大工職人。遡ること今から162年前、地元にある“福隆寺”が建立された際の棟札には、武石の名が刻まれている。そしてまた今、同寺の改修設計を武石さんが担うことに。縁が縁を呼び、代々続く“大工魂”を現代に受け継ぐ武石さん。
「今は、ノコギリやカンナを使える大工さんが少なくなってきている。うちは、新人にはとにかく切りまくらせる。木の現物を見てその感覚を養うのが大事。紙の上じゃ分からないからね。」
そんな彼のライフワークが、「あがの家・創生プロジェクト」。平成13年、新潟県森林組合連合会の有志により結成された「越後に生きる家をつくる会」が立ち上げたプロジェクトで、地産地消の家づくりを掲げ、阿賀の杉、安田瓦など、地元の材料で作る“新潟の風土に最高に合う新潟人の為の家づくり”を提案している。県では、“ふるさと越後の家づくり事業”として同プロジェクトを支援。全ての条件を満たすと最大で99万円の補助となる。マイホームを考えている人には耳よりな情報だ。
どうしても太さにバラ付きがある国産材は、加工に手間がかかる。だが、「新潟の気候で育った木が、新潟の風土に合わない訳がない。」と、武石さんの言葉は力強い。
#chapter3
筆者に渡された一枚のDVD。そこには、県内某有名企業の会長宅が出来るまでの記録があった。「墨付け・加工」から「安田瓦葺き」まで、全行程手作業による丁寧な仕事ぶりが収められている。自ら材木工場まで足を運び、木の加工などを満足気に見学する会長の表情から、武石さんの仕事への絶大な信頼感が窺える。
現在、同社では阿賀野市・阿賀町・五泉市の三カ所に、毎月折り込みチラシを出している。その名も「月刊・研創新聞」(現在234号目)。構造設計研究に年間480時間は費やしているという武石さんが自ら執筆しているというその内容は、もはや読み物。専門的な知識はなくとも、家づくりのHow toが自然と学べ、家を建てる予定がある人はもちろん、興味の無い人も思わず引きつけられてしまうほどの読み応えだ。
武石さんにとって木とは?
「これほど厄介な材料は無いね(笑)。奥が深くてこれで良い!とはならない。先代達がやってきた日本の木造建築技術を立証して継承していきたい。」
どこまでも木にこだわり、目を養い、手を鍛える…。この飽くなき繰り返しの中で得た経験と技。武石さんの家づくりは、“日本人としての誇り”を私達に示してくれているようだ。
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Profile
木のことを知り尽くした木造住宅設計のプロ
武石明プロ
一級建築士
株式会社研創
木の特性を知り尽くした設計士の視点と、古き良き伝統の大工技術、更にはコンピューター解析での「限界耐力計算法」による耐震証明が融合された、住めば住むほどその真価を実感出来る「こだわりの木造住宅」を提供。
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