思いや創造を現実へ翻訳する空間実現者
藤村蒼也
Mybestpro Interview
思いや創造を現実へ翻訳する空間実現者
藤村蒼也
#chapter1
「お客さまが思い描く世界観を形にし、人の心を動かす空間づくりをお手伝いします」と語るのは、京都に拠点を置く「京都レジン」のCSO(最高戦略責任者)、藤村蒼也さん。FRP(繊維強化プラスチック)を用いた立体造形を設計から施工まで一貫して手掛け、テーマパークや商業施設、イベント会場など多彩な空間づくりに携わっています。
京都レジンの特徴は、単にFRP製品を製造することを目的としていない点にあります。
「私たちが届けたいのは、人の感情が動く瞬間です。FRPはそのための手段の一つに過ぎません。アイデアやイメージを形にし、その先にある体験価値を生み出すことを大切にしています」
主な取引先は商空間やテーマパーク、イベント空間などをプロデュースする企業。ラフ案しかない段階や、漠然としたイメージしかない場合でも創り手の願いを丁寧にくみ取り、具体的な形へと落とし込んでいきます。
「創り手の皆さまの中には、アイデアはあるけれど、どう実現すればいいか分からないまま、創造に没頭できずに諦めてしまう方も少なくありません。私たちは造形の専門家として、その諦めから人を救い、願いを形にする形にする役割を担いたいと考えています」
約2000坪の広大な敷地と365日体制の稼働力を生かし、関西圏を中心に全国からの依頼に対応。大型案件や短納期案件にも柔軟に応じています。また、工業製品に求められる精密性と、石やレンガ、木材、布など多様な素材の質感を表現する意匠性を両立できることも強み。3Dプリンターやレーザー加工、モルタル造形など、案件ごとに最適な工法を組み合わせながら、見る人の記憶に残る空間を生み出しています。
「私たちが作っているのはモノそのものではなく、人の心に残る体験です。訪れた方が思わず足を止めたり、写真を撮ったり、誰かに伝えたくなったりする。そんな瞬間を世の中に増やしていくことが、私たちの仕事です」
#chapter2
同社は、藤村さんの祖父が1981年に創業。もともとはFRPによる工業製品の製造を主軸としていましたが、時代の変化に合わせながら事業の幅を広げてきました。
藤村さん自身は飲食業界で店舗運営やマネジメントを経験した後、2020年に家業へ。ところが入社後まもなく、祖父から父への事業承継や工場移転など、大きな転換期を迎えます。
「設備環境が整わない中で、従来と同じやり方を続けることは難しい状況でした。だからこそ、自分たちに何ができるのかを考え続け、その中で現在の造形事業の方向性が見えてきました」
逆境の中で模索を続けた経験は、現在の柔軟な発想にもつながっています。以前の仕事で培った人材育成やチームマネジメントの経験は、ものづくりの現場でも大きな力になっているそうです。
「造形は一人では完成しません。誰が何を担当し、どう動けばより良いものができるのかを考えながら、仲間とともに現場をまとめています」
近年は20代の若手職人も複数在籍。職人の高齢化や後継者不足が課題となる業界の中で、若い世代が活躍していることは同社の大きな特徴です。
若さならではの機動力と挑戦する姿勢に加え、長年培った技術やノウハウを継承することで、将来にわたって新規案件やメンテナンスにも対応できる体制を構築。クライアントにとっても、先々まで見据えて付き合えるパートナーとして信頼を集めています。
#chapter3
現場経験を積み重ね、現在はCSOとして経営や事業戦略にも携わる藤村さん。目指しているのは、単なる受注先ではなく、デザイナーや企画担当者とともに価値を生み出すパートナーとしての存在です。
「図面通りに作るだけではなく、どうすればより魅力的な空間になるのかを一緒に考えたいと思っています。お客さまのアイデアや思いを実現するために、造形のプロとして知見を提供し、対等な立場で共創できる関係を築いていきたいですね」
その考え方の背景には、創造したい人が、本来の創造の喜びに集中できる環境を支えたいという思いがあります。造形や施工を担うことで、デザイナーや企画担当者が創造に専念できる環境づくりに貢献しています。
印象に残っている仕事の一つが、チョコレートが溶け出す瞬間を表現したディスプレイ制作です。作品の前で足を止め、写真を撮ったり笑顔になったりする人々の姿を見て、自分たちの仕事が人の心に届いていることを実感したと話します。
現在は、AIによるデザイン生成を実際の構造や素材へ落とし込む取り組みにも注力。技術やネットワークに新たな手法を組み合わせながら、これまで実現が難しかったアイデアにも挑戦しています。
「AIは人の仕事を奪う存在ではなく、創造を支える仲間のような存在だと考えています。技術や経験だけでなく、新しい発想も取り入れながら、世界中の創り手の『こんなことができたらいいな』を形にしていきたいですね」
(取材年月:2026年4月)
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Profile
思いや創造を現実へ翻訳する空間実現者
藤村蒼也プロ
空間価値創造業
株式会社京都レジン
クライアントがかなえたい世界観や夢を丁寧にくみ取り、AIやテーマパーク案件で培った技術力と制作ネットワークを生かして翻訳。広大な敷地と年間を通じた稼働体制で、柔軟に対応しています。
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