PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

検査を通して子どもの得意や不得意を把握。その子に合った支援の方法を一緒に考えます

発達が気になる子どもやその保護者を支援するプロ

塚田有紀乃

障がいの有無にかかわらず、子育てに関する悩みをお聞きします
検査を通して客観的に子どもの発達状況などを把握します

#chapter1

障がいの有無に関係なく、子育てに悩む保護者が相談できる環境を整備

 「こだわりが強い、落ち着きがない、感情がコントロールできないなど、子どもの発達に関する不安や、子育てについて心配ごとや戸惑いはありませんか。当方がじっくり話を伺いますので、胸の内をお聞かせください」

 親身に呼び掛けるのは、長野県松本市の「一般社団法人療育・教育支援センター」で責任者を務める塚田有紀乃さん。保育士の有資格者で、同センターの関連会社が立ち上げた放課後等デイサービスで子どもたちの成長をサポートしてきました。

 「発達障害の疑いがあり、医師の診断を受けて療育の必要性が認められた場合、放課後等デイサービスなどに通うことができますが、そのような支援の存在をご存じない方もいらっしゃいます。まずは、お子さまの生活面や学習面の困りごとを何でも相談できる環境を整えることが必要だと考えました」

 放課後等デイサービスでは、子ども一人一人の発達段階に合った支援計画を立て、将来、自らの力で生活する力を育めるよう支援します。しかし、子どもに気になる行動が見られても、地域の支援の枠から取りこぼされるケースもあり、どこにも相談できず一人で悩みを抱えこんでしまう保護者も少なくありません。

 「当センターでは、発達検査などを通してお子さまの発達の状況を理解することができます。ご家庭の意向に沿いつつ市役所と連携を取り、放課後等デイサービスや児童発達支援、フリースクールなど、お子さまの発達状況に応じて支援先を提案することもできます」

 月1回、職員向けの研修も実施。臨床発達心理学を専門とする大学教授から子どもとの関わり方について学ぶなど、職員のスキル向上に余念がないのも、保護者にとっては心強いものです。

#chapter2

知能検査と適応行動スキル検査で子どもの発達状況や行動の傾向を分析

 塚田さんのもとでは二つの検査を実施しています。「WISC(ウィスク)」と呼ばれる知能検査で、本人の認知的な能力を測り、作業や課題の得意・不得意を見極めます。記憶力・思考力・言語力など、子どもの能力の傾向を把握した上で、コミュニケーションや日常生活スキル、社会性など自立に必要な行動スキルがどの程度身に付いているのかを「Vinelandバインランド」という検査で評価します。検査結果を単なる数字や評価として捉えるのではなく、子どもの特性を理解し、強みを伸ばしながら苦手な部分をサポートするための手がかりとして活用しています。

 子どもが何に困っているのかを正確に捉えることが大切と語る塚田さん。子どもの困った行動の背景に何があるかを考えます。ある子どもは、言葉でのやり取りが難しく、集中力が続かないという特性がありました。以前はこだわりが強く、「これは絶対にこの順番でやる」と決めて片付けていたことができなくなったというのです。

 「こだわりがやわらいだことで、やることが分からなくなってしまったのでは、と考え、タスクリストの作成を提案しました。言葉では伝わりにくいお子さんだったため、絵カードを使い、片付けが終わったらカードをはがすという方法を、保育園・家庭・放課後等デイサービスの3カ所で実施しました。どの場所でも同じ支援をすることで、見通しが持てるようになり、安心して行動できるようになりました。お子さんが自分の力でできる環境を整え、「やれる」「できた」と自信が持てるようにお手伝いします」

子どもの行動を肯定的に捉えられるようになると、子育ても楽になります

#chapter3

子どもとの関わり方のこつが分かる「ペアレント・プログラム」を実施

 厚生労働省が推進する「ペアレント・プログラム」の講師資格も保有する塚田さんは、障がいの有無にかかわらず、子育てに難しさを感じる保護者に子どもとの関わり方を紹介。全6回のワークショップを通じて、保護者は子どもの行動を肯定的に捉えることができるようになります。それにより、子どもへの言葉がけが変化し、保護者も子どもも気持ちにゆとりが持てるようになります。

 「期待通りの振る舞いではなくても、少し見方を変えれば『ここまでできている』『頑張れている』と捉えることができるので、保護者も前向きになれます。子どもとどう向き合えばよいのか悩み、自信を失ったり自分を責めたりする保護者もいるので、子どもができたことに目を向けるのは、保護者のメンタルを保つ意味でも有効です」

 最初は緊張した面持ちで参加していたある保護者は、子どもの頑張りに気付き、叱る回数が減ったそうです。子どもものびのびと過ごすようになった上に、保護者から褒められることで、何事にも積極的になっていったとか。

 「子どもと保護者が幸せになれる『ペアレント・プログラム』では、日常の中で『いいところ探し』をして、行動がうまくいくコツをつかみ成功体験を重ねていきます。子どもの個性に合わせた取り組みで、子育てを楽しんでいただければと願っています」

(取材年月:2025年1月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

塚田有紀乃

発達が気になる子どもやその保護者を支援するプロ

塚田有紀乃プロ

発達障害支援サービス

一般社団法人療育・教育支援センター

発達検査や知能検査を行い、子どもの得意や不得意など、保護者が子どもを包括的に理解できるようサポートします。子ども一人一人の発達に合わせた支援法を、保護者に寄り添いながら提案します。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ信州に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または信濃毎日新聞が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO

Other Interview