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山や川、木や石など自然の価値を見いだし、依頼主が求める庭を共に創造

木や石の価値を見いだし心地よい空間を創り上げる造園のプロ

宮入信晴

宮入信晴 みやいりのぶはる

#chapter1

庭園工事や公共の造園・土木工事に従事する造園業者として安全対策を徹底

 「悠久の時を刻む山や川、庭にある木や石は、代々受け継がれてきたかけがえのない財産です。地元に根差した造園業者として、暮らしの中にある自然物の意味を伝え、確かな技術と知識を持つ職人集団として、庭を愛でる心豊かな文化を守りたいですね」

 そう語るのは、「松代園芸」代表取締役の宮入信晴さん。長野市を中心に、北信エリアで民間の庭園工事や公共の造園・土木工事を請け負っています。

 「剪定では、枝葉の茂り方や木の種類、季節に応じて不要な枝を切り落とし、風通しや日当たりを良くすることで病害虫の発生を防ぎ、健康で見栄えが良い木に育てます。お引っ越しの際は新居へお庭を移設することもできます」

 庭園工事では、高所での作業や、刃物等の道具、重機を使う作業があります。日頃から安全作業を意識していた宮入さんですが、これまでいかに簡単に「安全第一」を口にしていたかと反省するきっかけとなったのが、2019年から約1年間携わった一般廃棄物最終処分場の建設工事でした。

 「大手ゼネコンの徹底した安全管理が行われた現場に従事する中で、より実践的な安全管理の考え方や手順を学ぶことができ、日々安心感を持って作業できることに気が付きました。従業員が一丸となって安全衛生対策に取り組み、ゼネコンから表彰もしていただきました」

 身に着ける作業着にも気を配り、「暑い」「寒い」といった厳しい環境下でも快適な着用感と、動きやすさを追求したワークウエアをスポーツメーカーにオーダー。職人がパフォーマンスを十分に発揮でるよう細やかに配慮しています。

#chapter2

「地域の財産を生かして、心満たす空間を創造し、次世代に継承していきます」が経営理念

 松代園芸は1972年に宮入さんの父親が創業。宮入さんは総合建設業の会社に勤務した後、30歳で入社し、2代目を継ぎました。

 「先代の頃は、経営理念というものが明文化されていませんでした。私が入社して20年がたち、会社の方向性を示すためにも、思いを言葉にして表したいと考えるようになりました」

 所属する中小企業の経営者の団体で、経営指針を作る会に参加し、経営者の方々と意見交換をしながら素案を練り、自社の存在意義を見つめ直し、2年の歳月を費やして熟考。「地域の財産を生かして、心満たす空間を創造し、次世代に継承していきます」との理念を策定します。

 「父が築いた地域での役割や、植木屋として果たすべき責任、これからの会社のあり方を表現しました。私たちが扱っている木や石は、すべて『地域の財産』です。当たり前のようにある樹木にも、『子どもの成長を願って』など、植えた人の思いや願いがあり、ご家族の歴史を次の世代へと紡いでいくのが、私たちの使命だと感じています。同じように、人材も大切な『地域の財産』であり、次世代に向けて技術ある職人を育てるのも私たちの使命であると思います」

 一見同じように切っているようでも、熟練の職人が手掛けると枝の伸び方に差が出てきます。

 「剪定には繊細な感覚と経験が必要で、一本一本の枝の向きやバランスを見極めながら、理想の樹形をつくります。お客さまの庭を整った状態に仕上げる。私どもの丁寧な仕事ぶりを評価していただけるのは、ありがたい限りです

#chapter3

庭づくりや街づくりで地域社会に貢献できる仕事で次代を担う人材を育成

 木々を育んで四季折々の風景を描き、暮らしに潤いをもたらすほか、河川や道路のようなインフラを整備してきた宮入さん。自分たちの活動を広く発信したいと考えています。

 「職人の世界は『うまくできて当たり前』と語らずにきました。しかし、若い人にどんな仕事をしているか伝えていく必要があると感じ、ホームページに作業の様子を動画でアップしています。庭づくりで癒やしや喜びを届けるとともに、災害の復旧工事、公共施設の建設工事などで街づくりの一翼を担い、地域社会に貢献できることを知ってほしいんです」

 背景には、「人出が足りない」「後継者の育成ができない」という業界全体の課題を解決したい思いがあります。

 「造園業や土木業の人材不足は深刻です。職人がいなくなればお客さまのご要望にお応えすることが難しくなってきます。多くの人に興味を持ってもらい、なり手を増やすことも私たちの役目だと心得ています」

 これから空き家となり、撤去しなくてはならない庭や樹木が増えてきます。宮入さんは先代たちが守り続けてきた自然遺産を、何らかの「かたち」に残し未来につなげる方法も模索しています。

 「年齢を重ねるにつれて、庭に対する想いや求めるものが変化します。若いころはあまり目がいかなかった庭も、自然な変化をより深く感じるようになることもあります。依頼主のご要望を大切にしながら、今ある自然の価値に気づいてもらい、求めているものを見つけ一緒に創り上げることで、末永くお庭をいつくしんでほしいですね」

(取材年月:2025年3月)

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宮入信晴

木や石の価値を見いだし心地よい空間を創り上げる造園のプロ

宮入信晴プロ

造園業

松代園芸有限会社

木、石などの自然遺産が持つ意味や価値を職人の経験や創造性、技術力で生かし、依頼主のご要望に応えながら次世代につなぐお手伝いをしています。安全第一で造園工事や公共の土木工事を手掛けています。

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