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私の作ったものが、お客さまにとって人生の羅針盤のような存在になってほしい

「物語」のある商品でお客さまの背中を押す印鑑と認定証作りのプロ

小林仁

「物語」のある商品でお客さまの背中を押す印鑑と認定証作りのプロ 小林仁さん
小林印房のディプロマ

#chapter1

創業90年、印鑑からスタートしモニュメントの制作も手がける

 昭和4年創業の小林印房は、長野県上田市で90年にわたって営業を続けています。そんな小林印房の3代目となる小林仁さんが高校を卒業し、印鑑の修行を始めたのは1980年代のバブル全盛期だったそうです。

「父の代までは、印鑑専業で経営していました。私が修行を始めた頃は、先代の仕事をそのまま引き継げばいいのだろうと考えていたのですが、修行をしている4年間の間に、世の中がパソコンを使って物を作るという流れに変わりはじめます。そして、『印鑑も機械で作る時代になる』という話を聞くようになったことで、印鑑だけで続けるのは厳しいかもと危機感を感じるようになりました」

 修行を終えて家業の小林印房に入った小林さんは、さまざまな機械を研究し、ゴム印の制作に使うレーザー彫刻機に可能性を見いだします。

「ゴム印もかつては活字を組み合わせて作っていましたが、機械を使うようになってからは、パソコンで文字のデーターを作り、レーザー彫刻機でゴムの板に文字を刻むという手順で制作しています。これと同じ要領で、レーザー彫刻機でアクリルを加工することで、モニュメントを作ることができます。企業の社内表彰などの記念品として、そういった商品に需要があると分かり、販売を始めました」

 地元で商品を提供していくだけでは不十分だと感じ、ウェブサイトを作って2000年頃からネット販売をスタート。当時はネットでそういった商品を販売している業者も珍しかったこともあり、大手の一流上場企業からも依頼や問い合わせがあったそうです。
 地方の小規模事業でありながらもインターネットマーケティングやwebサイトの作り方を学び全国展開できるようになりました。同時に様々なご縁を頂き成功哲学や思考法を学ばせていただきました。副産物として私生活に於いても思いも寄らなかった意外な成果も体験することができたんです。

#chapter2

お客さまの要望に応えてオリジナルの認定証の制作も

 販売を続けるなかで、お客さまから「色やマークを入れたい」という要望を受けたという小林さん。モニュメントに色を入れることはできないため、それに変わる商品はないかと考え、認定証やディプロマを制作するアイデアが浮かんだそうです。

 しかし、印刷の世界では同じ種類のプリントを大量に刷るのが一般的。認定証などの場合、受け取る方の氏名や日付が入った1点ものを作ることになるため、どのように印刷を行うかが課題になりました。プリンターの出力では目詰まりがおきたり色が褪せてしまいます。『何かあるはずだ!』最適な方法を模索した結果ひらめいたのが、今のやり方に繋がったそうです。

「ヨーロッパへの一人旅で目にしたヨーロピアン調の紋様の美しさと日本古来の和柄や印譜を組み合わせヨーロピアン風のデザインを作ったところ好評をいただき、現在も人気のデザインとなっています」

 さらにその後、「名前の部分だけを後から入れられるようにできませんか?」というお客さまからの要望があり、名前を空欄にしたものを数十部程度でオンデマンド印刷したものも作るようになったそうです。

「PowerPointのテンプレートを用意して、名前の部分はお客さまがご自身のパソコンとプリンターを使って重ね印刷できるようにしたところ、こちらもセミナーなどの主催者の方から好評をいただいています」

小林印房、店内風景

#chapter3

商品に、単なる「もの」ではない「物語」を織り交ぜたい

 従来からの印鑑に加えて、モニュメントや認定証を展開する小林印房。それらの共通点について、小林さんはこう話します。

「私が作るものは、何かを大量生産するのではなく、小ロットの製品の一つ一つに名前や日付を入れて、固有の価値があるものにしていくことです。同じものを何百個も生産するのではなく、一つのものに独自性を加えて形にする。それがすべての共通点かなと思っています。

 量産品のようにネット上で品番を選んでもらって注文するのとは違い、個別のものを作るには、お客さまとコミュニケーションを取り、お客さまが望んでいるものを形にしないといけませんが、そのためのコミュニケーションは印鑑を作るときのやりとりと同じだなと感じています。それぞれに尊重すべき歴史があり文化があるんです」

 最後に、小林さんが商品を販売するうえで大切にしたいと思っていることをうかがいました。
「単に物を作って販売するのではなく、そこに“物語”を織り交ぜていきたいと思っています。たとえば、印鑑の名前だったら字画、生年月日なら九星、資格の認定証なら新しいことに挑戦することの価値や魅力といった、物にプラスできる価値や考え方を提供することで、お客さまとの信頼関係も築きやすくなりますし、お客さまにとっても新たな1歩を踏み出すためのきっかけになると思っています。私の作ったものが、お客さまにとって人生のひとつの羅針盤のようになっていただければ、それが選んでいただく価値になると思っています」

(取材年月:2020年8月)

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小林印房

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