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障がい者福祉施設や障がい者への理解を深めてもらうため、地域との接点づくりに尽力

障がいについての理解を広める障がい者福祉のプロ

光森勇人

光森勇人 みつもりはやと
光森勇人 みつもりはやと

#chapter1

1978年に知的障害者施設を設立し、生活介護事業所など8事業所・12サービスを展開

 宮崎県内で、障害者福祉施設などを運営している社会福祉法人「エデンの園」。その歴史は古く、1977年に視覚障害と聴覚障害を併せ持つ重複障害者を守る会の会員らが中心となって発足しました。

 翌1978年には、東諸県郡国富町に精神薄弱者更生施設「エデンの園」を開設。県内で初めて誕生した民間の知的障がい者施設で、現在は障がい者支援施設「エデンの園」として、主に自宅での生活が難しい人たちを受け入れています。

 「ほかにも、障がいを持つ人に食事支援や運動・リハビリなどを行う通所型の生活介護事業所『ふれあい』や、働く場を提供する就労継続支援B型事業所『つむぎ』、障がいのある子どもたちが集う放課後等デイサービス『麦わらぼうし』など、現在、8事業所と12のサービスを展開しています」

 そう話すのは、法人事務局でリーダーを務める光森勇人さん。「当法人では、身体、知的、精神のいわゆる『3障がい』を抱える人たちを分け隔てなく受け入れてきました。こうした取り組みをたくさんの人に知ってもらうため、広報活動にも力を入れています」

 活動を続ける中、障がい者福祉施設に対し、「閉鎖的」や「怖い」といったマイナスイメージを持つ人も少なくないことを実感していると言います。

 「そうした環境では、利用者さんが安心して街に出掛けることが出来ません。また、地域の人たちも不安な気持ちを抱えることになりますよね。まずは私たちのことを知ってもらおうと、買い物や外食など、利用者さんと外に出る機会を増やし、地域の人たちとの接点をつくるようにしています」

#chapter2

一人一人の希望や意志に寄り添い、「利用者主体の支援」を実践

 同法人には生活支援員や就労支援員、児童指導員など、120人を超える職員が在籍。いずれのスタッフにも共通しているのが、「利用者主体の支援」という思いです。利用者の立場に立ち、一人一人の希望や意志に沿ったサポートを大切にしています。

 「重い障がいのある人は、なかなか自分1人では意志決定ができません。例えば『外食がしたい』と言われたら、『どこのお店に行きましょうか? うどんもいいし、ハンバーグやカレーもいいですね』と、いくつかの選択肢を提示してあげることで、自分で食べるものや行く場所を決められるよう、手助けをしています」

 光森さんは現在の法人事務局に移る前、障がい者支援施設「エデンの園」で主に自閉症の利用者の支援をしていました。夜勤などもあり、楽な仕事ではありませんでしたが、障がい者ではなく、1人の人間として接することを心掛けていたそうです。
 
 その一つが、利用者が身につける洋服。普段はジャージなどの脱ぎ着しやすいものが多くなってしまいますが、外出の際には一人一人の年齢や好みなどをふまえ、『こんな格好がしたいんじゃないかな?』と考えて提案していたと言います。

 「例えば、私と同年代の男性と一緒に、サングラスにハット姿で外出したこともありました。周りから『かっこいい!』と声を掛けられるたび、うれしそうにしていた様子が忘れられません。着替えや食事、入浴などのケアは当たり前。『その人らしい暮らし』が送れるようなお手伝いをしたいと考えています」

光森勇人 みつもりはやと

#chapter3

障がいのある人も末永く安心して暮らしていける社会の実現に向けて

 光森さんが福祉の道へ進むことを決めたのは、高校生の頃。4歳下の弟に障がいがあったこともあり、「福祉や障がい者が身近な環境だったので、ごく自然に福祉の仕事を選びました」と振り返ります。そして、専門学校を卒業後、20歳で同法人に入職。以来、約10年にわたって、利用者に寄り添った支援を続けています。

 現在は現場を離れ、広報や採用などの対外的な業務に携わっています。さらに、「地域ともっとつながりたい」との思いから、さまざまな機関や団体と連携しながら、地域の福祉課題の解決を目指す地域福祉コーディネーターやコミュニティーソーシャルワーカー(CSW)の資格も取得しました。

 「コロナが終息したら、利用者さんたちと街に出掛ける機会を増やしたり、施設内でお祭りを開いて近所の人を招いたり、もっと地域の人たちとの接点をつくっていきたいです。地域ぐるみで障がいのある人を受け入れ、見守るような流れが生まれてくれることを願っています」

 さらに、光森さんにはもう一つの夢があります。それは、高齢の障がい者が暮らせる施設をつくること。法人として掲げる目標でもあると言います。

 「社会全体で高齢化が進む中、障がい者の高齢化も深刻な課題です。当法人では、2022年8月に居宅介護支援事業所『びえんと』を開設し、介護保険サービスの利用を考えている人や家族からの相談を受け付けています。これからも、障がいのある人たちが不安なく過ごせる社会の実現に向け、努力していきたいですね」

(取材年月:2022年8月)

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光森勇人

障がいについての理解を広める障がい者福祉のプロ

光森勇人プロ

介護・福祉事業

社会福祉法人エデンの園

8事業所と12サービスを展開する社会福祉法人において、障がい者の立場に立ち、「利用者主体の支援」を実践。現在は地域の人たちに障がい者福祉施設や障がい者について知ってもらおうと、広報活動にも力を入れる。

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