街と人々の生活を思いのままに彩る塗料と調色のプロ
大平紘史
Mybestpro Interview
街と人々の生活を思いのままに彩る塗料と調色のプロ
大平紘史
#chapter1
視覚にダイレクトに働きかけ、建物の外観や室内のイメージを左右する「色」。塗るもの本体の性質や色のバリエーションによって、さまざまな塗料があります。
「どのようなものに塗るのか、どのくらいの期間、塗った時のツヤや質感などを維持したいのかといった要望を細かく聞き取り、理想に近いカラーを再現できるオリジナルの塗料をお作りしています」と話すのは、宮崎市大工町に本社を置く「カイノ」代表の大平紘史さん。主に塗装店やリフォーム会社が使用する建築塗料の販売を手掛けています。
塗装を施す際、例えば下塗りに100通り、上塗りに100通りの塗料があれば、組み合わせは1万通り。現場の状況や、持ち込まれた壁紙の切れ端や品物などから適切な色味を導き出していきます。色を再現するためには、塗料の性能や特徴に関する幅広い知識に加え、色彩に関する優れたセンスがなければ難しいと言います。
既存の塗料を組み合わせながら色を作り出す「調色」と呼ばれる作業。大平さんのもとでは、社員全員が入社直後から、調色の技術を仕込まれます。
「お客さまのリクエストに応えられるよう、まずは塗料の専門知識と色彩感覚を育てるというのが祖父の代からの変わらぬ方針です。社員全員がハイレベルな職人技を有しているというのが当社の強みです」
大平さんは、家庭でのDIYへの関心の高まりにも注目しています。「色にこだわって個性を発揮したり、素材同士の相性や安全性まで考慮してペイントを楽しんでほしい」と、ファミリー層を対象にしたDIY教室を開催。色選びや塗り方のコツなどを紹介しています。
#chapter2
「色は子どもの感性を育てる」。これは、全ての社員の名刺に記されている言葉です。
「生活空間で日常的に目にするものの印象は、子どもの成長に大きく作用します。私たちが取り扱う塗料は、それだけでは半製品。何かに塗ってはじめて価値が生まれます。塗料には耐久性や遮熱性、防水性といった機能面だけではない大切な役割があるのです」と大平さん。
「長い間構想を温めてきた」というDIYイベントも、「色彩で遊ぶ面白さを地域の人との交流の中で伝え、その魅力を分かち合いたい」という願いから、開催に向けて準備を続けてきました。
「苦労して色を作り出しても、利用者からの声が私たちの耳に直接届く機会は、残念ながらほとんどありません。社員には、『単なる塗料としてだけではなく、心の感度を高め、感受性を呼び覚ます素晴らしい素材を提供しているのだ』と、自分の仕事に誇りを持ってほしい」と胸の内を語ります。
代表に就任する前の数年間、青年会議所役員などの社外活動に忙殺されていた大平さん。その間も業務を支えてくれた社員の協力に報いるため、一人一人の福利厚生の充実に日頃から心を砕いてきました。
家庭を持ち、息子たちとの時間に何より大きな喜びを感じるようになると、「家族の笑顔こそ、社員の幸福度を満足させる唯一のもの」と気付きます。
社員の家族の記念日や季節行事にちなんだ贈り物のほか、学資手当を導入するなど、これまで以上に手厚い制度づくりに努めています。
#chapter3
大平さんは、宮崎青年会議所の理事長在任中、日本青年会議所全国大会を宮崎に誘致するなどのリーダーシップを発揮。2016年に熊本地震が起きた際には、約3カ月間、日本青年会議所の災害担当委員長として最前線で支援活動に当たりました。
「橋の崩落や、地形が変わるほどの被災の状況を目の当たりにして、その後の生き方に影響を及ぼすほどの衝撃を受けました。会社を引き継ぐにあたって、『地域の安全拠点となって見守り支えることこそ、これからの企業のあるべき姿』と、事業の方向性を確信するきっかけにもなりました」
地元に戻ると早速社内に発電機やブルーシートの備蓄を始めた大平さん。災害発生時、迅速に現場を確認できるドローン技術の可能性に着目し、ドローン免許も取得しました。社団法人を設立し、近隣の町とドローンで災害支援を行う協定を結ぶなど、積極的に活用を進めています。
「空撮して対象物の状況を撮影してデータ化するなど、本来の業務でもドローンの実用性は高い。全国にドローン教室を開校するといった新たな事業展開も視野に入れています」と意欲を見せます。
「日向灘に面した宮崎市は、海と関わりのある産業が盛んで、同社の前身も船舶機械の販売を行っていました。地元漁師から要望を受けて船舶塗料の扱いを始めたことが、現在の業務につながったと聞いています。時代の求めに応じてきた企業として、これからも地元に必要とされる存在であり続けたい、そんな使命感をもって取り組んでいます」
(取材年月:2021年10月)
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Profile
街と人々の生活を思いのままに彩る塗料と調色のプロ
大平紘史プロ
建築塗料販売
株式会社カイノ
塗料の専門知識に加え、理想に近い色を再現する調色の技術を備えた職人集団。ドローン技術で生活空間を彩るだけでなく災害時の支援も可能に。塗装店の枠を超えた「街になくてはならない存在」を目指す。
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