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人間だと1週間かかる作業もわずか2時間。建設に農業に、調査や測量に、広がるドローンの商業活用

ドローンを使った測量・3次元データ作成、スマート農業のプロ

安藤光広

安藤光広 あんどうみつひろ
安藤光広 あんどうみつひろ

#chapter1

労力とコストを削減し、生産性の向上にもつながる。ドローンは「農業にすごい使える機械」

 「1、2時間のレクチャーで飛ばせるようになります。あとは法規制について講習を受けていただけば、ある程度は仕事に生かせますね」と語るのは、「安藤商事(セキド宮崎中央)」代表の安藤光広さん。ドローンの販売・レンタル、講習を行うほか、ドローンによる測量・3次元データの作成、CMやPR用写真・動画の空撮、スマート農業などを請け負います。

 安藤さんのもとには、娯楽として楽しみたい人から実務で使いたい人まで幅広い層が訪れますが、前職が建設業の技術者だったこともあり、強みとするのは建設、測量、そして農業分野での活用です。

 「人力だと1週間くらいかかる山林の測量も、ドローンなら2時間くらいでできてしまう。高層建築のコンクリートの劣化状態を調査する場合でも足場を組む必要がなく、空撮した画像をもとに診断することができます」

 またドローンは、人手不足や高齢化が叫ばれている農業にも適しているとか。「例えば、農耕地の状況を確認する植生調査は、実は畑の外側とか入りやすい所だけ見て判断してたりするんですね。あと農薬も、病気が入っていようがいまいが全体に全部を振りかけるので、費用が高く付くんです。ドローンなら、田んぼや畑を空撮してICT技術で隅々まで解析できます」

 栄養の足りていない部分にピンポイントで肥料をまいたり、雑草が茂っている所に目がけて除草剤を散布したり、育ちが悪い箇所に必要な農薬だけを集中投下することが可能。「労力とコストが削減でき、生産性も上げられる」と言います。

#chapter2

ラジオコントロール機にはまった少年がドローンとの出会いから熱狂が再燃し、やがて起業へ

 安藤さんがいち早くドローンを採用した原点には、少年時代にのめり込んだラジオコントロール機があります。「安くても10万円以上。だから仲間と3人、お年玉を持ち寄ったり、家の畑仕事をしてお小遣いをもらったり、近所でカブトムシを捕って市場で売ったりして資金をためました」

 一方で両親に「なんも稼がん物をなんで大金はたいて買わんといかんとか」とお小言をもらい、「それならば」と購入した機器で農薬まきに挑戦したことも。

 「ことごとく失敗しましたね、機体が小さいから。でもその時に頭に植え付けられた『働くラジオコントロール機』という種が現職で開花しているのかなと」

 当時の安藤さんにとって最大の楽しみは、友達に操縦を手ほどきすること。「要は『俺は飛ばせるんだ』ってアピールしたい。でもちゃんと伝わってなくて、落ちる寸前になって僕に送信機を渡してくるんです。案の定、地面に激突して『お前がやったんだ』ってけんかが始まる。それが嫌になって教習役は封印したんです」

 しかし2011年、ドローンとの出会いが安藤さんの人生を変えます。「送信機から手を離しても空中でジッとしている姿を見て、こみ上げてくるわけです。遊びながら、自慢しながら、これを友達に教えたいって気持ちが」

 かくして、40代にして友人にドローンの操作を指南するようになった安藤さん。「うまく指導できるようになって、機体も落ちないから恨みも買わない。やがてその輪が広がっていき、起業することになりました」

安藤光広 あんどうみつひろ

#chapter3

技術の進化は目覚ましいが商業利用は発展途上。「よだきんぼ」精神でチャレンジとアレンジの日々が続く

 「うちは林業もやっていたので、幼少期、山を登りながらワイヤを引っ張り上げる作業を手伝っていました。親父が上で大木に滑車を取り付け、それにワイヤを掛けて下ろし、今度は集材機に付けるんですが、今ではドローンでも対応できます。送電線を張るのも同じ要領です」

 さまざまな用途があり便利なドローンも、安藤さんが初めて手に取った時は連続飛行時間1分でカメラの搭載もない「GPSが付いたおもちゃ」でした。

 「先日、水中ドローンで人工漁礁の点検をしましたが、水深35mでも鮮明に映るんです」と進化の速度に驚きます。現状では東京・宮崎間の飛行も可能で、重量も約30㎏まで持ち上げることができるそう。

 「近いうちに水素エンジンが積まれるでしょう。僕が思い描く20年後は、パイプみたいな空中道路の中をドローンが飛び交うアニメのような世界。農業でも、すでに無人トラクターが発達しているので、将来は家にいながらドローンを駆使して全行程をモニタリングで完結できるでしょう」

 一方で業務利用はいまだ発展途上。「導入されている業態ごとで活用法が進化していっている過程」と分析します。また、中国が同分野で進んでいるからといって、その方法論を日本でそのまま使えるわけではありません。

 「常にアンテナを張ってますし、勉強にも行って試行錯誤を繰り返しています。でも、僕は宮崎弁で言えば『よだきんぼ』。いかに楽して効率よくやれるかってところから、ドローンを通して社会と未来を変えていけたらいいですね」

(取材年月:2022年6月)

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安藤光広

ドローンを使った測量・3次元データ作成、スマート農業のプロ

安藤光広プロ

ドローンインストラクター

株式会社安藤商事(セキド宮崎中央)

ドローンの販売・修理・レンタルのみならず、黎明期からドローンに関わってきた経験とノウハウを生かし、講習や測量・3次元データの作成、空撮、スマート農業のコーディネイトなど、業務活用までを一手に請け負う。

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