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弁護士に相談して、トラブルを未然に防ぐ

建築紛争解決のプロ

齋藤拓生

齋藤拓生 さいとうたくお
齋藤拓生 さいとうたくお

#chapter1

欠陥住宅、リフォームの問題…。建築トラブルは任せて安心

 みなさんは、弁護士を必要としたことはあるでしょうか? 「弁護士が必要になるのは、何か大きなトラブルを抱えた時」と考える方もきっと少なくないはず。しかし、「弁護士は転ばぬ先の杖」。そう話すのは、『つばさ法律事務所』の齋藤拓生弁護士です。欠陥住宅問題などの建築トラブルに強い齋藤弁護士は「今から20年ほど前、日本弁護士会連合会の消費者問題委員会で欠陥住宅を扱う部会の立ち上げにかかわり、以来、欠陥住宅問題の被害者の救済にあたってきました」と話します。
 取り扱う案件としては、「“構造材が不足していた”“不同沈下によって家が傾いた”という構造上の安全性にかかわることから、“完成した建物が約束した内容と異なる”“予期せぬ追加代金を請求された”という契約上の問題、“仕上げが雑”という美観上の問題、そしてリフォームトラブルもあります」と、実にさまざま。
「欠陥住宅トラブルの原因としては、①消費者と業者の知識の大きな格差、②契約内容やプランについての打合せの不足、③詳細な契約書・見積書・設計図書が作成されていないこと、④下請、孫請という施工体制の下で、施工に対する管理監督が無責任となることなどが考えられます。建物は、現場ごとに施工されるものであり、家電製品や自動車などのように工場で画一的に一定の水準を確保して生産されるものではありません。住宅を取得しようとする方には、そのことをご理解いただきたいと思います。欠陥住宅被害にあわないために、自分で勉強したり、専門家の力を借りて、業者としっかりと打合せをする必要があります。被害が発生してからでは、解決までに時間もお金もかかります。契約する前に、トラブルが起こる前に、“住宅を取得しようと思っているんだけれど…”と、気軽に相談に来ていただければと思います」。

#chapter2

“自分の目で見て”依頼人の立場に…

 齋藤弁護士が弁護士を目指したのには、尊敬する叔父さまの存在がありました。「地域の世話役をしている叔父で、尊敬していました。その叔父から、“いろいろ困っている人がいても、親身になってくれる弁護士が少ない。弁護士になって、世のため、人のために役立つ人間になって欲しい”と小学生のときに言われました。それから漠然と弁護士という職業を目指すようになり、法学部に入って司法試験を受験することになりました」。
 こうして弁護士となった齋藤弁護士には、今も忘れられない事件があります。「じん肺の集団訴訟で、弁護団の一員に加えてもらったんです。宮城県には細倉鉱山があって、そこで働いていた人たちが、粉塵を吸い込んで体調を悪くし、最後は肺がボロボロになって亡くなっていく。一生懸命働いていた労働者に対し、会社はマスクの支給も散水も十分に行わず、安全配慮義務を怠ったんです。会社のほうは“やることはやったのに、労働者がやるべきことをやらなかった”と反論する。被害者のみなさん、昼間はけっこう元気そうに見える。でも、夜になると痰が絡んで咳き込み、眠れなくなる。私たち弁護士も手分けして被害者のみなさんのところに泊まり込んで、実際どれだけ大変な状況なのかをビデオ撮影しました。そのときに、“話を聞くだけじゃなくて、自分の目で見る”ことの大切さを学びました。被害者の方の苦しみを実感することが、“なんとかしたい”という原動力になるんだと思いました」。

齋藤拓生 さいとうたくお

#chapter3

「歯」と同じように、日常のトラブルも予防が大事

 常に、依頼人の立場になって対応することを心がけている齋藤弁護士。「私は刑事事件も扱いますが、いい結果が出るのは、被疑者・被告人の心情を真に理解できたときです。もちろん、罪を犯すのは悪いことだし、正当化されることではありません。でも、そこに至るまでに、被疑者・被告人なりの事情があったはずです。そのような事情をきちんと理解することが何よりも大切です。そして、弁護人が、「たしかに、悪いことをやった。弁解の余地はない。しかし、この点は,理解してあげないといけない」という思いに到達できたときに、よりよい弁護活動ができます。弁護人は被疑者・被告人を裁いてはいけない。検察官が示した証拠について、それが正当なものなのかどうかをしっかりチェックするのが弁護人の役割です。冤罪は絶対にあってはいけないのです」。
 穏やかで、包み込むように話をする齋藤弁護士になら、どんなことでも相談できそうです。「弁護士の敷居が高いと思われているのは、我々の反省点。歯医者さんが予防を重視しているのと同じで、社会生活上のトラブルも予防が何よりも大事なんです。何かトラブルが起こると、いろんな人に相談して、最後に弁護士のところに来るという方が少なくありませんが、最後まで責任をもって紛争を解決することができるのは、弁護士です。“裁判にもならないのに相談していいのか?”と思っている方も少なくありませんが、弁護士は“転ばぬ先の杖”です。もっと気軽に相談してほしいです」。
(取材日:2017年2月)

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齋藤拓生

建築紛争解決のプロ

齋藤拓生プロ

弁護士

つばさ法律事務所

日弁連消費者委員会土地住宅部会部会長、 日弁連住宅委員会副委員長、仙台弁護士会住宅委員会委員長、宮城県建設工事紛争審査会会長、国交省社会資本整備審議会専門委員等を務め、建築トラブル関係案件を多数扱う

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