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家族の介護に対するモヤモヤを「何とかなる」に。自分らしい時間を取り戻す

介護の困りごとや介護者の心の相談に応えるプロ

阿部由美

阿部由美 あべゆみ
阿部由美 あべゆみ

#chapter1

介護者が抱える介護の困りごとと心の不安、両方に寄り添う

 家族の介護で不安が募ったり、イライラしたり、モヤモヤした気持ちを抱えていませんか。石巻市にある「あべ相談事務所」では、介護を担う家族を対象に心の相談を受け付けています。代表で認定心理士の資格を有する阿部由美さんは、介護施設で生活相談員を10年近く務めた経験があります。

 「地域包括支援センターやケアマネージャーなど、介護を支える専門家は地域にいますが、相談窓口につながっていない人や、現在サービスを利用していても、日々の介護に伴う細かな負担を数多く担い、相当疲れている人もいます。そのような日常の介護に関する困りごとや、ご自身の不安・イライラに対応できるのが私の強みです」

 傾聴を重視し、一人一人の気持ちに寄り添うことを心がけている阿部さん。意識しているのは「提案を先走らないこと」です。
 「経験や知識から『こうすればいいのでは?』とアドバイスするのではなく、ご本人がどんな気持ちで、何を求めているかを丁寧にお聞きすることから始めます。対話を重ねることで、穏やかな気持ちを取り戻せるようお手伝いします」

 その上で、必要に応じて、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などにつなぐこともできます。市内の介護施設で勤務した経験から、地域のケアマネージャーとのつながりもあり、介護に関する疑問を直接確認できる体制を整えています。

 目指すのは、介護を担う家族が生活の中に「自分らしい時間」を取り戻すことです。そしてその先には「幸せに生きる」という強い意志を持ってほしいといいます。

 「介護という現実は変えられませんが、好きなことをする時間をつくるなど、ちょっと意識を変える工夫はできます。『自分は何とかやっていける』と思えるようになってほしいですね」

#chapter2

福祉分野での幅広い経験をもとに、精神障がいや成年後見制度の相談も

 阿部さんは介護に関する悩みにとどまらず、発達障がいなど、障がいがある本人や家族の心理カウンセリングにも対応。精神保健福祉士として、精神障がいや認知症などにより判断能力が十分でない人を支援する「成年後見制度」についての相談にも応じ、日本精神保健福祉士協会認定の成年後見人ネットワーク組織にも所属しています。また、独立以前に自治体で生活保護受給に関する窓口業務を経験しており、生活に困窮している人やその予備軍の自立に向けたアドバイスも行います。

 幅広い悩みに対応できる背景には、これまでの福祉・心理分野での学びや経験があります。2025年に独立して事業を始めた原点には、それらを生かして地域の人の役に立ちたいという思いがありました。中でも印象に残っているのは、親の介護を機に、以前のはつらつとした表情が次第に曇っていく家族の姿を目にしたことでした。

 「介護施設の生活相談は、あくまで利用者のためのサービスや手続きの案内が中心です。ご家族の不安や悩みにも時間をかけて寄り添いたいと思い、自分でやってみようと考えました」

 介護施設では、利用者や職員などさまざまな人と関われることが何より楽しかったと振り返ります。

 「勤務先はデイサービスだったので、比較的元気に活動できる方が多かったのですが、それでも人それぞれお悩みや不安を抱えておられます。日々の積み重ねを大事に、一人一人の状況に目を配り、こまめにお声がけすることで喜んでいただけることがやりがいでした」

#chapter3

介護者の悩みを気軽に話せる場として広めたい

 阿部さんは学生時代に心理学を学び、当初は臨床心理士を志していました。その後、精神保健福祉士の資格を取得。病院の精神科で勤務し、精神科ソーシャルワーカーの存在を知ったことが、今につながるきっかけになったと振り返ります。

 「医師でも看護師でもなく、病院と患者さんの間に立ってお手伝いできる役割に魅力を感じました」

 その後、市役所の窓口業務、デイサービスの生活相談員を経験し、並行して仙台のカウンセラーセンターで、カウンセリングの実践を積むトレーニングも受けました。介護について相談したいとき、まず行政の窓口を思い浮かべる人は多いでしょう。一方で、「何から始めたらいいのかわからない」という声もよく聞かれると言います。

 「困っていても、『家族のことだから友人や周囲の人には話しにくい』『役所で尋ねていいことなのかわからない』と感じている人は少なくありません。そんな方々に当事務所の存在を知ってほしいですね」

 核家族化が進む現在、家族に介護が必要になったとき、「対応できるのは自分だけ」と抱え込み、一人で思い詰めてしまう人も見られます。

 「ショートステイなど、家族が自分の時間を確保するために利用できるサービスもあります。『自分が我慢すればいい』『介護があるから仕事を辞めなければいけない』と諦めずに、まずは率直な気持ちをお聞かせください。あなた自身がどうしたいのか、立ち止まって心に向き合う時間をつくりましょう」

(取材年月:2026年8月)

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阿部由美

介護の困りごとや介護者の心の相談に応えるプロ

阿部由美プロ

精神保健福祉士、認定心理士

あべ相談事務所

介護サービスに関する困りごとと、介護を担う家族の心の不安、その両方の相談に対応。介護施設で生活相談員として10年近く現場に携わった経験を生かし、傾聴を重視しながら一人一人の気持ちに寄り添います。

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