マイホームという家族の夢を実現させるプロ田中啓一

マイホームという家族の夢を実現させるプロ

田中啓一

地元の良質な材木で建てられた「適材適所」な家づくり

　津市南郊エリアのロードサイドショップが立ち並ぶ街並みに、一際ハイセンスな『株式会社エラ・プラン』の事務所があります。代表の田中啓一さんを始め5人のスタッフで、個人住宅を始め、店舗や事務所の建築設計・施工を手掛ける会社です。家づくりの新しいアイデアは、日々ここから生みだされている田中さんに社名についてお伺いしました。「エラ・プランの“エラ”は、英語で“時代”という意味なのです。時代を刻むような建築物が残せるように、祈りを込めて付けた社名です」と事務所開設の頃を懐かしむように話されました。
　木造住宅に力を入れているエラ・プランは、「美しく、温かい、木の家」づくりに力を入れています。パンフレットには「エラ・プランの家づくりは、一つ一つご家族に合わせて造る世界で一つの家」とあります。それぞれの土地の光と風を読み、周囲の視線に配慮するなど様々な条件を考慮したうえで、素材を吟味し計画されるエラ・プランの家づくり。そして木造住宅では、正しい目と知識で適材適所に木材を使う事が重要かつ大切な事の一つなのだとか。そのために地域の林業生産者と確固たる信頼関係を築き、使用する材木は、素性の良い地元近くの山の木をベストな乾燥方法で仕上げたものを使っているのです。伐採した杉をじっくりと時間をかけて乾燥させた美杉の葉枯らし材、厳しい条件下でゆっくりと長い年月をかけて育った尾鷲ヒノキ。優れた材木は、強靭で美しい家の風景を描いてくれます。
　エラ・プランが木の家づくりにこだわるのには理由があります。「木の組織には多くの空気を含むため、触れると心地よさを感じることができます。無垢材は調湿作用もあるため、冬温かく夏は素肌に快適です。」生きた素材ならではの特徴を熱く語る田中さん。また新建材は経年とともに色あせていきますが、木材は逆に味わいとなって家そのものに深みを与えてくれるそうです。
　「何十年と住まう家だからこそ素材や質感に妥協せず、快適な住まいづくりを顧客と一緒に考え、最良のカタチを提供したい」と願う田中さんの建てた家がまたひとつ、温かい灯りをともしていきます。

ものづくりの魅力と、顧客の笑顔に引き込まれて

　田中さんが建築設計事務所を開設するまでの経緯はユニークです。高校卒業後、田中さんが建築の世界に入るきっかけを作ってくれたのは、家業が建築業を営むひとりの友人でした。営業センスに長けていた田中さんは、その友人の工務店の営業活動をお手伝いしているうちに、「人の知恵や知識が詰まった建築に魅かれていって…」、建築の世界へ。一から大工さんに建築のいろはを教えてもらい、建築士資格のための勉強もほとんど独学で頑張った結果、7年後、念願の建築士の資格を手にしました。新しい感覚の住宅を作りたかった田中さんが目指したのは、モダンでシャープな家づくり。「有名建築雑誌に載っているような、打ちっぱなしコンクリートや鉄で表現されたスタイリッシュな空間がベストと信じていましたが、35歳前後になって何かしら違和感を覚え始めたのです。自然と一体になれる住空間。人がくつろげる家は、やっぱり木造なんだと思いました」。木の匂いが漂う家は、みんなが笑顔になれるのだとか。田中さん、人にやさしい家をこれからも造り続けてください。

家を育てるために、山に行って感じる大切さ

　今年、創業10周年を迎えたエラ・プラン。5月には、家づくりに関心のある若い家族を招待し「美杉の山・体験ツアー」イベントを実施しました。これは近くの山で育った木を使う家づくりを大切にしている同社の理念を、より深く体感していただきたいとの思いで開催されたものです。林業にたずさわるNPOの協力のもと、津市美杉町の山を散策したり、実際に杉の伐採の様子を見学してもらいました。また参加者の多くが若いファミリー層であるため、子どもが楽しめる火おこし体験や、バーベキューを楽しむという企画でした。
　「住まいの柱や梁になる木が、生まれ育てられている環境を見ていただき、その空気を肌で感じることが大切だと思うのです」と田中さん。植物として山を守る多くの木々が、伐採されたあとは材木として家を守り、その命は永遠に活かされているということを誰もが実感できる素晴らしいイベントです。
木を育てる人、家を造る人、そして住まう人までの、「木」を通じたバトン・リレーは、家づくりをより意義のあるものにしてくれるのです。
(取材日：2015年5月)

林業とともに快適な住まいづくりを考える

地元の良質な材木で建てられた「適材適所」な家づくり

ものづくりの魅力と、顧客の笑顔に引き込まれて

家を育てるために、山に行って感じる大切さ

専門家プロフィール

Other Interview