心と体の両面を大切に考えるトレーニングのプロ松本富子

心と体の両面を大切に考えるトレーニングのプロ

松本富子

空手の動きをベースにした「姿勢KARATE」や自分と向き合う「ZEN呼吸法」で心身をリバイバル

　「家事や仕事に忙しく、更年期や加齢による体調や気分の揺らぎも身に染みる。50代を分岐点に、健康面や美容面が気になっていませんか？」

　50～60代の女性に向けて呼び掛けるのは、「スタジオトミ京都円町」の代表兼トレーナーの松本富子さん。20代はミスボディビューティフルコンテストで優勝した実績を持ちますが、結婚後は子育てと仕事に追われ、ゆるんだ体型に。体型を隠すような洋服を選んでいました。

　60歳で心機一転し、トレーニングを再開。引き締まった体を見て自信が湧き、ふさいでいた心も前を向いていきました。自身も心と体の再興（リバイバル）を果たしたことで、「いくつになっても美しさや輝きを取り戻せる場所を作りたい」と思うようになりました。

　「我々が大切にしているのは “こころ（心）”と“からだ（体）”のつながりです。私の経験から、前向きな心が健やかな体をつくり、体を鍛えることで心のエネルギーも満ち自信が湧くと実感しているからです」

　スタジオ内にはトレーニングマシンがなく、障子などを用いた和モダンのしつらえに、お香をたいた心地よい空間。床は調湿・浄化作用がある木炭の上に和紙畳を敷き、はだしになって足裏から運動感覚を養います。

　レッスンは1回90分。まずはゴムチューブなどを使った負荷トレーニングで筋肉や体幹を強化します。さらに、空手やキックボクシングの動きを取り入れた「姿勢KARATE」で有酸素運動も実施。音楽に合わせて撃つ・蹴るなどを繰り出し、ストレス発散にもなると好評だとか。

　「最後に『ZEN呼吸法』で自分自身と向き合い、終了後は宇治茶でリラックス。『無心になれた』『楽しかった』と、お顔もスッキリ明るくなる方が多いですよ」

母の転倒での骨折を機に100歳になっても歩ける体づくりに着目

　松本さんは大手下着メーカーに勤めるデザイナーだったことから、ボディーラインを形成する筋肉に興味を持ち、20代後半になって軽い気持ちでトレーニングを始めたそうです。

　結婚・出産を機に会社を辞めましたが、高齢者が転倒しても衝撃を吸収する、プロテクター付きのおしゃれな骨折予防下着「ピーチパンツ」を開発。2004年に起業して販売を始めました。

　「元気な70代後半の母が家の玄関でつまずき、大腿骨を折って入院したことが開発のきっかけです。歩行に介助が必要になり、遠慮から出歩くのを避けるようになって落ち込む姿を見て、転倒による骨折を予防したいと思ったのです」

　その後20年にわたり商品を提供する中で、親の介護と向き合う女性たちが抱える、未来の自分への不安を耳にする機会が増えました。
　「高齢になると、たった1回の転倒で人生が暗転する。介護が必要な母の姿は、未来の私たちの姿。転んだ時のダメージを和らげるのではなく、そもそも転ばないよう50代、60代の頃から足腰を鍛えればいいのではと考えるようになりました」

　松本さんは新たにフィットネス事業を立ち上げるため、経済産業省による中小企業等事業再構築推進事業に応募。補助金を得て2023年3月に「STUDIO TOMI」をオープン。「100歳になっても歩き続ける」は、スタジオのコンセプトの一つです。

体づくりとともに、自分と対話し、殻をやぶるマインドセットも重視

　スタジオでは、正面、側面といった立ち姿などを撮影し、AI(人工知能)の分析ツールで可視化。骨格の傾きや体のゆがみなどを継続的に診断しています。

　「筋肉は運動をしないと落ち、姿勢は重力に負けて悪くなりますが、意識は若い頃と変わらないため、足もとを取られたりします。まずは自分の現状を知ること。とはいえ、落ち込み諦めないでください。筋肉は年齢に関係なく、トレーニングを積んだだけ変化するからです。私は60代後半ですが、年齢を言い訳に『できない』『しかたがない』という言葉は使いたくありません。一緒に改善を目指しましょう」

　松本さんは年齢などに対するリミットを取り除くため、自分自身と対話し、年齢に応じて心の品質を上げていくマインドセットも大事にしています。セッションやコミュニケーションを通して、気力・体力の低下といった将来への漠然とした焦燥感や、老いを目の当たりにしたショックなどを顕在化し、アウトプットすることで自分本来の価値に気付きを与えます。

　「お客さまからは、『細かく検証したパーソナルなプログラムメニューを毎回提案いただけるので、自分でも苦手分野が確認できます。毎回トレーニングの結果コメントがあり、スタッフの皆さんの特別な情熱を感じます。共に伴走いただくことで、前向きな目標もできました』というコメントをくださいました」

　うれしそうに語る松本さんの次の夢は、思いに賛同してくれる人と、全国にスタジオを展開していくこと。内面から美しさがあふれ、輝いて生きる女性を日本中に満たすことが目標です。

（取材年月：2024年4月）

心と体のつながりを大切にした独自のトレーニングで、今よりもさらに輝ける美しく健康な女性へと導く！

空手の動きをベースにした「姿勢KARATE」や自分と向き合う「ZEN呼吸法」で心身をリバイバル

母の転倒での骨折を機に100歳になっても歩ける体づくりに着目

体づくりとともに、自分と対話し、殻をやぶるマインドセットも重視

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