日本と世界をつなぎM＆Aをサポートする事業承継のプロ亀田将史

日本と世界をつなぎM＆Aをサポートする事業承継のプロ

亀田将史

売り手・買い手の実体験をもとに、海外企業からの評価ポイントを見極める

　後継者不足や事業承継の悩みを抱える経営者は少なくないでしょう。将来を見据えた解決策として、M＆Aは重要な選択肢の一つです。「GLOCALS」代表の亀田将史さんは、M＆Aアドバイザーとして、第三者承継のコンサルティングを提供しています。

　自社でもM＆A経験を有する亀田さんは、これまでゲストハウス事業の売却、英会話教室と旅行会社の買収を成立させました。売り手・買い手それぞれの実体験に基づいた、実践的なサポートが可能です。
　「ゲストハウスの売却では、2、3カ月後に廃業するか、M＆Aに踏み切るかという厳しい状況で決断を迫られました。『M＆Aはよくわからないし不安だ』とためらう声は多いですが、タイミングが遅くなるほど、選択肢が限られます。買い手が見つかってから最終判断を下すこともできるので、早めに踏み出すことをおすすめします」

　また、創業時から展開する海外企業のサポート事業でのつながりから、中国や台湾、シンガポールなどアジアを中心とした海外企業とのパイプも強みです。国内約3000社の買い手企業や金融機関のネットワークを持つ事業者とも連携し、国内・海外企業を含めたマッチングを提案します。
　「特に海外の買い手企業から評価されるポイントは、経営者が考える〝自社の強み〟とは異なることが多いです。例えば、製造業の商品力より技術力、飲食店の味より人材など、視点を変えれば新たな価値が見つかることもよくあります。これまでの経験をもとに、海外企業からの評価ポイントを見極めて、高評価につなげます」

組織変革のチャンスとして、M＆Aを前向きにとらえてほしい

　亀田さんが、M＆Aによる事業承継に取り組んだきっかけは、通訳としてある企業の海外取引を支援したことでした。
　「寺院の釣り鐘などを製造するメーカーで、国内の需要は先細りの一途をたどっていました。経営者の〝後継ぎがいない〟との一言に、取引先の海外企業が『このようなすばらしい鋳造技術があるなら、ぜひ引き継ぎたい』と目を輝かせ、その後承継に至りました。日本企業への視点の違いに驚き、アイデア次第で埋もれていた価値を再発見できると実感しました」

　その後、自身のゲストハウスを売却することになり、さらにM＆Aについての知識やノウハウを深めた亀田さん。2021年からアドバイザー業務を開始しました。
　「M＆Aのことをよく知らないがゆえに、会社を売ることに抵抗感を覚える経営者はまだまだいます。それまで大事に育て、続けてきた事業が、後継者不在で途絶えてしまうのは、もったいないことです。M＆Aの認知度を高めて後継者問題を解決し、社会に貢献できればと考えるようになりました」

　全国さまざまな業種で、相談件数は約130件に上り、紹介での依頼が中心だそうです。
　「M＆Aにより第三者の視点が入ることは、組織が変わるチャンスでもあります。従業員の雇用継続を条件にすれば、雇用は守られ、現場の期待感が高まる例も見てきました。近年、海外の経営者や起業家が、日本で事業を立ち上げたいというニーズは高まっています。培ってきたデータベースをもとに、よいご縁をつなぐために力を尽くします」

グローバルな事業展開で、海外と日本の架け橋となる存在を目指す

　小学生の頃から、外国人観光客に英語で道案内をするなど、海外への関心が高かったという亀田さん。大学での中国留学を経て、貿易会社で勤務するなど、常に世界が身近にありました。
　「道案内で外国の方に喜んでもらえたことがうれしく、その経験が原点にありますね。旅行も含めて、アジアやアメリカなどさまざまな国に滞在しました」

　世界での経験を生かして2014年に立ち上げた「GLOCALS」は、海外企業の日本進出支援や通訳業務からスタート。現在も、事業のもう一つの軸として、国内外の販路開拓支援などを展開しています。あわせて、2022年に英会話スクール、2023年に旅行会社を買収し、個人向けサービスも拡充する予定です。
　「どの事業の根底にも、日本と世界をつなぐ架け橋になりたいという思いがあります。事業承継の支援では、譲渡する側、引き継ぐ側の双方に喜んでほしいという気持ちは強いですね。祖父は京都で織物業を営んでいましたが、廃業を余儀なくされました。もしM＆Aの選択肢を知っていれば、形を変えて事業を継続できたかもしれないと振り返ることもあります。クライアント企業を担当するときも、家族のように自分ごととして、ベストな選択肢を一緒に考えることを大事にしています」

　「事業承継はタイミングが重要」と強調する亀田さん。
　「せっかく相談いただいても、『もう少し早く聞いていれば』と歯がゆい思いをすることはよくあります。困った時点ですぐに悩みをお話しいただければ、解決の手だてを提案できます」

（取材年月：2024年2月）

海外企業へのM＆Aにより、新たな企業価値を生む事業承継を導く

売り手・買い手の実体験をもとに、海外企業からの評価ポイントを見極める

組織変革のチャンスとして、M＆Aを前向きにとらえてほしい

グローバルな事業展開で、海外と日本の架け橋となる存在を目指す

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