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雑木や石を巧みにあしらい、四季折々で里山のような風情を醸し出す庭を提案

四季の移ろいと懐かしさ、安らぎを感じさせる庭づくりのプロ

江夏泰治郎

江夏泰治郎 えなつたいじろう
江夏泰治郎 えなつたいじろう

#chapter1

必要な要素を見極める引き算で、手入れしやすく見栄えの良い庭を設計・施工

 「四季の移ろいが感じられる、日本の原風景のような懐かしさで心を潤し、安らぎをもたらす庭づくりを目指しています」と話すのは、宇治市の「江夏庭苑事務所」の江夏泰治郎さん。代表である父・大三郎さんとともに、伝統的な和風庭園や洋風建築に合うナチュラルな庭を作り上げています。

 「造園は図面作成の段階で7割から8割の作業が終わると言えるほど、設計が重要です。植栽やアプローチなど、土地を用途に応じて区画分けする『地割り』を行う際は、お客さまの希望を丁寧に聞き取ります」

 プランニングする上で大切にしているのは、足し算の発想ではなく、要望の中から本当に必要なものを見極めていく引き算の考え方。好みを反映しながらシンプルにまとめることが、庭を長く楽しんでもらうための秘訣だとか。

 「当方では、お客さまの理想を踏まえた上で手入れがしやすいデザインを心掛けています。植木をはじめ、砂利や石材(景石や敷石)など使用する材料は多岐にわたり、あれもこれもと詰め込んでしまうとメンテナンスが大変になり、結果としてお庭が荒れてしまうことがあります」

 江夏さんは、木や石の配置を熟慮することで出入りや回遊しやすい機能的な動線を描き、個々の調和を図ることで美観を高めます。
 「木にも石にも見栄えの良い面(つら)があります。それぞれの個性を生かすことで、躍動感や存在感を放ちます」

 施工後は剪定、消毒、施肥などの維持管理を担い、他社による現場でも快く応じます。リフォームの依頼も多く寄せられ、「草取りしやすい庭に」といった声に合わせて整備しています。

#chapter2

神社仏閣といった京都の伝統的な様式美と、自然なたたずまいの雑木を融合

 神社仏閣など、歴史ある様式美にならった作庭にたけている江夏さん。長年、お茶をたしなんでいることから、わび・さびを基調に茶道の精神を踏襲した「お茶庭」づくりにも自信を持っています。

 昔ながらの日本家屋や現代的な要素を加えた注文住宅、企業のショールームなど、さまざまな建物の外構を演出し、最も得意としているのは「雑木の庭」。アオダモやコナラ、シデなど、日本各地の山地に見られる広葉樹を庭木に用いたもので、自然な雰囲気が人気を集めています。

 「父が『雑木の庭』の創始者・飯田十基氏のもとで修業し、創業以来、こだわりをもって手掛けてきました。すらりとして軽やかな印象の雑木は、和洋どちらの住宅も引き立ててくれます」

 江夏さんは東京農工大学から大学院に進み、森林や砂防、水文について研究。卒業後は父と同門の造園家の元で3年間修業し、帰郷しました。

 学生時代に調査で山に入り、多種多様な木に触れた経験が、雑木の庭づくりで強みになっていると言います。

 「川沿いにどういう木が植わっているか、山の尾根のように乾燥したところにはどんな木が生えるのかといった、雑木の生態を知り尽くしています。住宅まわりでも日陰で湿っている場所、日当たりが強くて乾燥している場所があり、向き不向きの樹種があります。環境に適した樹木を選び、枯れにくく、長持ちしやすい庭をご提案できます」

 時代に育まれた京都の庭園文化と雑木を融合した、新しい庭の魅力を広めていきたいと語ります。

江夏泰治郎 えなつたいじろう

#chapter3

春夏秋冬で多彩に表情を変える庭は、生活を豊かに彩ってくれる財産

 江夏さんは、木や石を巧みにあしらい野趣あふれる造形にしたり、つくばいを配して風流なたたずまいにしたり、情緒豊かに仕上げます。

 「山が好きなので、野山に自生しているような木々や野草類、山肌にゴロゴロと露出している石を素材として使うことで、唯一無二の価値が生まれることが喜びですね。また、お庭にバランスよく据え付けることで、奥行きを描き出すことに大きなやりがいを感じます」

 施主からは、「地域に溶け込む風情を醸し出してくれた」「草木が成長する様子に癒やされる」との感想が届くそう。

 庭が完成した後も手入れで足を運び、長い付き合いが続くため、江夏さんは施主とのコミュニケーションを大事にしています。
 「年月を重ねると利便性を重視するなどニーズが変わり、世代交代があれば取り入れたいテイストも変化しますので、お客さまが何を求めているのかをすくい取れるよう、対話を重ねています」

 対応エリアは、日帰りの場合は関西を中心に東海地方の一部まで可能。依頼内容に応じて全国に出張することもあります。

 「お庭は季節ごとに景色が変わります。春は芽吹いてつぼみがほころび、夏には葉を茂らせて濃い緑をたたえ、秋は赤や黄色に紅葉。冬は枯れ木立で、少しもの寂しいながらも春の到来を待ちわびるような趣があります。春夏秋冬で見せてくれる美しい表情は、何者にも変え難い財産です。生活を多彩に彩る庭づくりをお手伝いいたしますので、ぜひお気軽にお声掛けください」

(取材年月:2024年6月)

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江夏泰治郎

四季の移ろいと懐かしさ、安らぎを感じさせる庭づくりのプロ

江夏泰治郎プロ

造園業

江夏庭苑事務所

地元・京都で育まれてきた庭園文化を受け継ぎながら、自然の雑木を生かした庭を提案しています。懐かしさを感じさせつつも軽やかで自然な雰囲気の庭は、和洋どちらの住宅にも調和します。

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