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憧れの田舎暮らしを実現すべく、空き家の提供を通じて地方移住をサポート

空き家の有効活用で田舎暮らしをサポートする住宅のプロ

猿渡功志

猿渡功志 さるわたりこうじ
猿渡功志 さるわたりこうじ

#chapter1

空き家を有効活用するプロジェクトで地域活性化を目指す

 「自然豊かなところで暮らしてみたいけれど、地元の人たちとなじめるか不安」。そんな声に応えるべく活動しているのは、「N'style 猿渡工務店」の代表取締役・猿渡功志さん。「当方では、熊本への移住を検討している方々が地域に溶け込めるようサポートいたします。私どもが力になりますので心配はいりません」と胸を張ります。

 「熊本県民の気質は『肥後もっこす』と表現されるように、頑固で武骨といったイメージがあるかもしれません。でも実際には、初対面の人でも一度ご飯を共にし、お酒を酌み交わせばすぐに歓迎ムードになるから大丈夫です」と親しみやすさに太鼓判を押します。

 住宅の新築、リフォームなどを手掛ける猿渡さんが力を入れているのは、主に空き家を有効活用するプロジェクトです。

 昨今は少子化などが原因となり、熊本に限らず日本全国で家を受け継ぐ人が減っています。また、地方では若者が都市部に出てしまい、高齢化と共に過疎化も進んでいます。猿渡さんが拠点を構える玉名郡和水町も例外ではなく、人口流入の必要性を実感しています。

 「空き家をリノベーションして新たな住人を迎えることで、あるじがいなくなった住まいも無駄にすることなく生かすことができます。世界中で推進されている『SDGs(持続可能な開発目標)』にもつながると考えています」

 地域活性化や持続可能な社会づくりに尽力する猿渡さん。「移住が難しい人には、平日は通勤に便利な街中で過ごし、週末は田舎でリフレッシュする二拠点居住をおすすめしたいですね」と話します。

#chapter2

出家することで見えてきた地域へ恩返しをする大切さ

 1975年に創業した工務店の代表として日々忙しく過ごす猿渡さんには、僧侶としての心得もあります。20代で仏門に入ったそうですが、きっかけは2003年に勃発したイラク戦争。ミサイルが閃光を放ち、飛び交う様子が連日テレビで放映されているのを見て、なぜ同じ人間なのに争うのかと疑問を持ちました。

 「人と人が殺し合わずに済む方法はないのだろうかと思案する中で、行き着いたのが仏教だったんです」

 答えを出した猿渡さんは、早速仏道へ。5年間の厳しい修行を終え、家業を守るために熊本へ戻りました。

 「出家して気づいたのは、自分や周りの人だけでなく、住んでいる地域も私たちの生活や人生に大きく関わっており、互いに生かし、生かされている運命共同体だということ。根底にあるのは、近江商人の『三法良し』の精神です。『売り手良し』『買い手良し』だけでなく『世間良し』も重要な要素なんです」

 猿渡さんが後を継ぐことを決めたのは、自分を育ててくれた両親と地域に恩返しがしたいという気持ちからです。

 「私や家族が今あるのも、40年以上にわたり当社を支えてくださったお客さまのおかげです。みなさんに喜んでもらえる仕事をして、自らが潤い満足して終わるのではなく、世の中にきちんと還元していくことで、受けた恩に報いていきたいですね」

 空き家の利活用に力を入れるのも、人口減少に歯止めをかけるため。未来を担う子どもたちのためにも、町の発展に寄与していきたいと言います。

猿渡功志 さるわたりこうじ

#chapter3

希望者のために、移住を具体的に検討できるサポート体制を構築

 猿渡さんは、個人事業主などが作業をしたり打ち合わせをしたり、オフィスとして利用できるコワーキングスペースも立ち上げます。

 「施設では、この町に移り住む人たちを応援するイベントもどんどん開催していくつもりです。空き家を自分の手で安く改装したいという人に向けて解体の手順や注意点を伝えるワークショップや、リノベーションの流れを学ぶツアー、実際に壁塗りができる体験会など、工務店を経営している当方ならではの、みなさんのお役に立つテーマを予定しています」

 猿渡さんは空き家の情報をデータベース化して、移住希望者に自由に見てもらえる仕組みも構築。「現在の空き家の状態に加えて、実際に住めるようにするためにかかる費用も掲載します。具体的に検討できる素材を提供していきます」と意気込みます。

 行政としても、和水町移住定住支援センター「なごみの移住計画」を道の駅に開設。猿渡さんも整備工事に携わるなど、さまざまな取り組みを進めています。

 その背景には、緑深い山々に美しい清流、のどかな田園風景が広がる故郷の魅力を知ってほしいという思いがあります。

 「このあたりは、米や野菜、果物の栽培が盛んで、農業や家庭菜園に興味がある人にもってこいです。仲良くなると、近所の人が新鮮な農作物を玄関に置いてくれることもあります。その日畑で採れた野菜が、その日のうちに食卓にあがるというすてきなことが起こるんですよ」と楽しそうに語ってくれました。

(取材年月:2022年7月)

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猿渡功志

空き家の有効活用で田舎暮らしをサポートする住宅のプロ

猿渡功志プロ

建設業

N'style猿渡工務店

田舎暮らしをしたい人に対して、空き家の斡旋からリノベーションまでバックアップしてくれる工務店。地元住民との関係を取り持ち、円滑な地方移住を全面サポート。地方移住人口を増やし地域活性化の実現を目指す。

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