生きやすさを実現するコミュニケーション心理学のプロ
泉野晶代
Mybestpro Interview
生きやすさを実現するコミュニケーション心理学のプロ
泉野晶代
#chapter1
「欧米では美容院に行く感覚で気軽にカウンセリングに足を運びます。心にもメンテナンスが必要だと知っているのです。日本でも生活の一部としてカウンセリングが浸透するといいなと思いますね」
そう語るのはメンタルサポーターの泉野晶代さん。高知県内で開くサロン「office is.」でカウンセリング、セラピー、コーチングを提供する他、カウンセラー育成講座や研修活動にも取り組んでいます。
クライアントは、社会的責任の増加や体力低下などで不安定になりやすいミドルエイジクライシス世代が中心。加えて近年は不登校や引きこもりの子どもも多く、大半が既存クライアントからの紹介だと言います。
「人と人は相性もあります。例えば通院先と合わなかった経験を持つ方は、またうまくいかなかったら…という不安でいっぱいなのです。ですので、私に対しても『嫌われないようにしよう』と緊張し、精いっぱい良い受け答えをしようとしてくれますが、その必要はありません。コンディションが悪い姿から、あなたの変化と成長が始まるのです」
クライアントはみな悩み、傷付き、疲弊しています。例えるなら、大きな荷物をいくつも抱えて途方に暮れている状態だそうです。どれほどの荷物を背負っているか見極めることがカウンセリングの始点になるため、遠慮はいらないと泉野さんは呼びかけます。
「私とセッションをしている間だけ元気でも意味がありません。大切なのはクライアントが自分の力で心地良く生きられるようになること。場当たり的でない、東洋医学的な心の“体質改善”を目指しているので、ありのままから始めましょう」
#chapter2
泉野さんが心理学に触れたのは会社員時代。漠然とした不足感があり、自分を認めることができず、劣等感から足りないものを埋めるように仕事に打ち込みました。しかし、適応障害となり心身のバランスを崩してしまいます。
現状を変えようと試行錯誤する中、睡眠療法士のポール・マッケンナが書いた「7日間で人生を変えよう」(宝島社)という本に出会います。
「書籍で紹介されていたNLP(神経言語プログラミング)は、脳と心のつながりを研究し、データ化した科学的根拠のある学問です。いわば人間の心の取扱説明書ともいえる有意義な内容ですが、誰からも教わっていないことに衝撃を受けました」
心理学の学びを通し、自分を苦しめていた原因が幼少期における「愛着障害」だということも明らかになります。
「私が育った時代と環境と両親との愛着の関係から心の澱(おり)になっていたことに気づいたのです。自分に価値を見いだせず、『嫌われたらどうしよう』という思いから他者とうまく関われないまま大人になり、仕事に没頭し、他人からの承認を求め孤独をごまかしていたと気づきました。自分がダメなんだという劣等感は、知識を取り入れ、方法を知ることで改善し、変化できることを知れ救われたのを覚えています」
自分のような人に対して、知識や情報、そして生きやすくなる方法を伝えたいという一心でカウンセラーの道を歩みだした泉野さん。現在は自分を苦しめるトラウマに向き合い過去を整理するカウンセリング、そして今と未来に焦点を当て、なりたい自分になる活力を与えるコーチングを使い分け、クライアントを導きます。
#chapter3
「私が重要だと考えるのが『人との境界線』の在り方。私はパーソナル・フィールドという呼び方をしています」
例えば、知人から無視され悩む人がいますが、それは自分のフィールド外の問題だそう。知人の態度、感情は知人の範ちゅうの問題であり、責任も知人にあります。無視された方にできることは何もないのに、顔色をうかがい恐怖を抱くのは、境界線を越えている状態だと説明します。
「自分がコントロールできる範囲を知れば、人の行動に割り切りができるようになります。この考え方は自分を守ると同時に、相手の選択を尊重することでもあるのです。自分も相手も大切にすることができる境界線の発想は、心に強さとしなやかさを与えてくれるでしょう」
泉野さんいわく対人関係に悩みを抱える人の多くは、境界線を越えた干渉・自責をしがちです。セッションで境界線を整えることで「苦手な人がいなくなった」「家族との関係が改善した」と変化を実感するクライアントが多いとか。
「心のモヤモヤの出どころを知るには、まずは人間の特質と自分を知ること。しかし、学校を始め心のメカニズムについて学ぶ機会がないので、セッションの一歩手前の心理学セミナーを始めました。自分自身を受容することを目的としており、日常生活で生きる実践心理学です。一回から参加可能なので気軽にお試しください」
近年は研修にも力を注ぎ、小・中・専門学校などの教育機関に赴く泉野さん。誰もが生きやすい社会の実現に向け、自分が自分の一番の味方になれるよう手を差し伸べます。
(取材年月:2024年6月)
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Profile
生きやすさを実現するコミュニケーション心理学のプロ
泉野晶代プロ
メンタルコーチ
office is. (オフィス イズ)
日常で役立つNLP心理学であらゆる種類の「生きづらさ」の解消を目指す。特に人との境界線を明白に示すことで、他人への割り切りと受容ができるよう促し、自分も他人も大切にする生き方を提案する。
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