特定技能外国人で人材不足を解決に導くプロ橋本智哉

特定技能外国人で人材不足を解決に導くプロ

橋本智哉

インドネシアの日本語学校と連携し、人材紹介からビザ取得など就労に向けてサポート

　「少子高齢化により年々労働人口が減少していますが、特に地方は都市部とは比較にならないほど深刻化しています。国内の人材不足を解消するために、2019年4月から導入されたのが『特定技能』という在留資格です。介護や漁業、農業、建設業といった14業種で、知識や技術など一定の専門性を有する外国人を雇い入れることができます」

　そう話すのは、「高知インターナショナルビジネス」代表の橋本智哉さん。高知県四万十市を拠点に、外国人労働者関連事業などを手掛けています。

　「当方では、日本語学習者が世界で2位と言われるインドネシアの日本語学校と共同して、インドネシア人のビザの取得、企業への橋渡し、就職後のフォローを行っています。日本でスムーズに就労するには、語学をはじめ現地での事前教育が重要で、私どもは、インドネシアに信頼できるエージェントがいることが強みです」

　社内には、入国審査書類の作成や申請ができる行政書士も在籍。毎年のように変更がある複雑な制度に対応しながら、適切に手続きを進めています。また、必要に応じて税理士とも連携し、受け入れ先企業の財務数値などを洗い出し、事業活動が健全かどうかも分析しています。
　「入国管理局は、事業者が海外の求職者をしっかりと雇用できる経営状況なのかというところも見るんです。ですから私たちは、業績が芳しくない場合には、税理士と共に、業務改善計画書を策定して提出することもあります。迎える側の企業さまの体制も整えることで、2022年10月の時点でビザ認定率は100％となっています」

商工会議所でさまざまな事業者を支援した経験を生かし、企業の事情に則して提案

　土佐清水市出身で、小学校から大学まで野球一筋だった橋本さん。高校時代には副主将として甲子園に出場し、大学の野球部では主将も務めました。
　「上下関係が厳しい中で育ち、先輩や監督が何を求めているかを先読みしながら行動してきました。こうした経験が今、お客さまが何を望んでいるのかを考えながら、コミュニケーションをとっていくという姿勢につながっているのかもしれませんね」

　大学卒業後は、東京都内にある農業協同組合に勤めたのち、高知へ帰郷。保育所勤務を経て、四万十市にある商工会議所に転職し、補助金や助成金の申請、事業計画書づくりに関して助言などをしてきました。地元経営者の相談にのる中で、労働力の低下が地域産業において大きな問題となっていることを実感しました。

　「何か施策はないかと思案していた時、インドネシアのジャカルタで日本語学校を運営している大学時代の先輩から業務提携の連絡があったのです。最初は、仕事をしながらインドネシアの人たちと企業をつなぐお手伝いをしていましたが、もっとスピード感をもって取り組みたいという思いが強くなり、起業しました」

　商工会議所時代にさまざまな業界の話を聞き、支援計画を立案してきたことから、それぞれの企業の要望や事情に則した提案が可能だと言います。
　「例えば、販路拡大のために工場を建設したいという意向をお持ちなら、設備投資のための補助金の案内から、稼働に向けて必要になった人員の確保まで当社でサポートします」

高いスキルを備えたインドネシアからの求職者を広く紹介し、地域を盛り上げたい

　橋本さんが開業したのは2019年11月でしたが、コロナ禍の影響で事業を思うように展開できず、2022年4月からようやく本格的に始動しました。

　「地元の大手水産会社が、スタートアップ企業である当社を選定してくださり、漁業分野における特定技能制度の活用事例を、県内で早々に作ることができました。またある企業は、お話をいただいてから、コロナによる水際対策で約1年間入国することができませんでしたが、私どもを信じていただき、制限が緩和されるまで待ってくださいました」

　外国人の働きぶりを目の当たりにしたその経営者は、顧客を何社も紹介してくれたそうです。
　「インドネシアは昔から親日家が多く、特にジャカルタは日本企業が多く進出しています。さらに、人口が世界第4位で人材が豊富なんです。当方にお任せくださった企業の方は皆さん、『真面目に働いてくれて想像以上』とおっしゃっています。当社が間を取り持つ人たちは、日本語もしっかりと話せますし、日本人も含め、新人教育ができるほど高いスキルを持つ人もいるんですよ」

　これまでメインだった1次産業に加えて、他の業種にも積極的にアプローチし、県内だけでなく四国全域にインドネシア人材の採用を後押ししていきたいと意欲を見せる橋本さん。忙しく過ごす毎日ですが、プライベートでの目標は「愛妻家」だとか。
　「家族や仲間が暮らす大事なまちを盛り上げていくためにも、人材という大きな課題に全力で向き合っていきたいですね」と語ります。

（取材年月：2022年10月）

外国人を受け入れる特定技能制度を通じて、地元企業の人材不足解消を目指す

インドネシアの日本語学校と連携し、人材紹介からビザ取得など就労に向けてサポート

商工会議所でさまざまな事業者を支援した経験を生かし、企業の事情に則して提案

高いスキルを備えたインドネシアからの求職者を広く紹介し、地域を盛り上げたい

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