自然の浄化作用と生活の快適さを手助けする浄化槽設備のプロ掛水真一

自然の浄化作用と生活の快適さを手助けする浄化槽設備のプロ

掛水真一

豊富な経験をもとに水回り全般をカバーできる事業展開を目指す、現場重視の技術者

　温暖で緑豊かな高知県高知市。県の経済・文化の中心であり、南に太平洋を望み、北部や西部に山地や丘陵地を備える起伏に富む地形で、都市と自然が共存しています。
　中核市として人の流れも盛んな一方、人の手が入っていない山間部や点在する田園エリアでは異なる光景が見られます。

　「県内でも山林や農業地域では、都市部のようなインフラが行き届いているところばかりではありません。宅地開発も進む中、公共下水道の普及が追いついていないところも少なくないのが現状です」
　そう話すのは、2021年12月に高知市大津で創業した「高知グリーンプロジェクト」代表で、浄化槽設備士でもある掛水真一さん。

　「公共下水道が整備されていない地域では、生活排水の処理について個別の対策を考えなければなりません。例えばトイレを水洗化するためには、浄化槽の設置が必要になります。設置工事には、私どものような専門家による施工が義務付けられています。また自治体の補助制度が利用できるケースもあります」

　有資格者として豊富な実務経験を持つ掛水さん。浄化槽設備士のほか複数の国家資格を有し、前職では下水道水洗化工事や給排水工事に従事。クライアントへの説明から施工図の作成、現場管理といった幅広い工程に関わってきました。

　「当方では、住宅の水回り全般をカバーできる事業展開を目指しています。器具の販売やリフォームのほか、お住まいの給水や給湯、浄化、排水に関するサービスを一手に引き受けられるよう、体制を構築しています」

2m四方足らずの浄水槽が、汚水をきれいにする仕組みに感動。いちずな性分で独立開業へ突き進む

　掛水さんは、飲料メーカーの営業や運送会社のドライバーなどを経て、2007年に給排水設備会社に転職しました。
　「当時、主に建物から浄水槽までの配管工事を担っていたのですが、汚れた水がほんの2m四方の浄水槽を通じて、側溝などへ流れ出ても遜色ないほどきれいな水に変わるのが不思議でたまりませんでした。なんて素晴らしい仕組みだろうと、衝撃的でしたね」

　汚水処理の精度の高さにすっかり魅了され、さらにスキルアップしたいという欲求を抑えられなくなった掛水さん。管工事から浄化槽設置まで、総合的に関われるよう技術の習得に励みます。業務の中心となって働ける職場づくりを試みるものの難航。「であれば自分で」と、業界15年目にして独立・起業しました。

　「いったん興味を持つと、とことん熱中するタイプ」という掛水さんが、仕事以外にやみつきになっているのが野外キャンプ。「にわかキャンパーですが」と言いながら、息子や近所の子どもたちを引き連れ、種崎千松公園など近郊へ出かけているそうです。
　アウトドアの道具に凝ったり、料理を研究したりする様子はSNSでも発信しています。
　
　ほかに、事業の立ち上げにもつながる行動力や主導力がかいま見えるエピソードも。
　「学生時代の同級生が集まって草野球チームを結成し、キャプテンを任されたこともありました。先生の名前を勝手につけたチーム名でリーグ登録するなど、奔放なリーダーだったかも。もちろん先生には同窓会で事後報告しましたよ」と笑顔で語ります。

他人任せにせず、水の循環システムの一端を担う者として恥ずかしくない姿勢を貫く

　掛水さんは「何事にも気分を上げて臨みたい」と、ユニホームや道具箱、シートなどに社名をセルフペイント。アーミーグリーンにステンシルでペイントされた「KOCHI GREEN PROJECT」の文字は、見栄え重視のデザインロゴのように見えて、実は掛水さんの企業理念を表す言葉そのものでもあります。

　「地球温暖化をはじめ、『環境問題の解決に貢献する』という大きな目標を掲げています。持続可能な廃棄物処理や土地利用・水管理、生物多様性の保全といった取り組みを実現するのは簡単ではありませんが、常にトライし続けたいと思っています」

　掛水さんは、社会インフラの維持に欠かせないものとして、水回りの保全を位置づけています。

　「多くの人にとって、普段は地面の下に隠れている水の通り道について、深く考える機会はあまりないかもしれません。しかし、私たちの日常になくてはならない大事なものです。見えない箇所だけに、技術的な面での正確さや法令の順守が求められているのです」と力を込めます。

　「私はそれぞれの作業を決して他人任せにしません。書類上だけの技術者なのではなく、お客さまがこの顔を見飽きるほどに、初めから終わりまで直接工事に携わります」

　雨水が緑深い山林から自然の力で浄化され、豊かな清流となって海へと流れる、太古からの営みによって支えられている人びとの暮らし。
　「高知県民の誇りでもある水。その循環システムの一端を担う者として、恥ずかしくない仕事をしていきたいと思います」

（取材年月：2022年5月）

技術者が一貫して現場作業に携わる「顔の見える技術提供」を企業理念に活動

豊富な経験をもとに水回り全般をカバーできる事業展開を目指す、現場重視の技術者

2m四方足らずの浄水槽が、汚水をきれいにする仕組みに感動。いちずな性分で独立開業へ突き進む

他人任せにせず、水の循環システムの一端を担う者として恥ずかしくない姿勢を貫く

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