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「思考の幅を広げる」コーチングで、個人と企業の成長を後押し

「思考の幅を広げる」コーチングに重点を置く人材育成の専門家

松井睦子

松井睦子 まついむつこ
松井睦子 まついむつこ

#chapter1

コンセプチュアルスキルを高めるマネジメント層向けの教育に注力

 「人はいつでも変われます」と優しく語るのは、「セルフ・マネジメント・オフィス」代表の松井睦子さん。コーチングを取り入れた人材育成や研修など、企業の教育支援で多くの実績があります。

 特に多く寄せられる相談が、管理職やリーダー向けの教育。マネジメント層に求められるスキルについて、こう説明します。
 「1955年にアメリカの経営学者、ロバート・カッツ氏は著書『Skills of an effective administrator』で三つの能力を挙げています。それは、テクニカルスキル(業務遂行能力)、ヒューマンスキル(対人関係能力)、コンセプチュアルスキル(概念化能力)。このうちコンセプチュアルスキルは、問題解決や意思決定の場面などで発揮されます。このスキルを高める手法として、コーチングが効果的とされています」

 松井さんがコーチングで目指すのは、その人のモノの見方や考え方に関わる「思考の幅を広げること」です。
 「管理職の代表的な悩みの一つに、上司と部下の板挟みがあります。例えば部下に指示を出す前に〝なぜこれをやるのか〟という意義を共有できれば、ギャップは埋められます。悩んでいるときは、思考の幅が狭くなった状態。コーチングによって自ら気付きを得て、全体を俯瞰的に見渡せるようになります」

 必要に応じて1対1のコーチングや研修を行うほか、上司と部下の面談などに立ち合い、双方にフィードバックすることも。
 「考え方が変わらない限り、行動の変化は定着しませんが、一朝一夕では浸透しないものです。一時的ではなく持続的な変化を生むため、じっくり取り組んでいきます」

#chapter2

エンジニアから人材育成担当へ。コーチングやポジティブ心理学などの学びを生かす

 松井さんは、〝IT生まれ、IT育ち〟として、長年技術畑を歩んでいました。銀行系IT企業でのシステム開発に始まり、フリーの技術者を経て、再びIT企業で開発に従事したそう。
 「あるとき、市場ニーズに応じた技術者のスキルアップ教育を担当し、初めて人材育成に携わりました。その経験から人材開発室長を任され、社員のモチベーションアップなど内発的動機づけに取り組むことに。〝会社の縁の下の力持ち〟として、一人一人が自発的に行動に移し自ら充実していると思えるようにしたいと考えました」

 社会人大学院に通い、MBA(経営学修士)を取得したほか、現在も認知科学分野の研究を続ける松井さん。対等のパートナーとしてその人らしさを引き出す「コーアクティブ®・コーチング」や、より良い生き方を科学的に研究する「ポジティブ心理学」など、知見を広げてきました。
 「学ぶことで『もっと早く知っていたら、人生をラクに進めたのに』と思える多くの気付きがありました。人との接し方に難しさを感じていたときに出合ったのがコーチング。相手がいい答えを見つけるための問いかけの重要性を知り、良い問いこそが人の思考を動かすと実感しました」

 2011年に「セルフ・マネジメント・オフィス」を立ち上げ、人材育成のコンサルティングを手掛けるように。DX(デジタルトランスフォーメーション)支援企業、Actosの取締役として、組織の変革を推進するチェンジ・リーダーをサポートしたり、大学で非常勤講師としてプレゼンテーション講座を受け持ったり幅広く活動しています。

松井睦子 まついむつこ

#chapter3

働く人の充実が会社に好影響をもたらす組織づくりを目指す

 松井さんのもとでは、個の力を伸ばすことで、組織力の向上を図ります。ポイントは一人一人の強みを認め、弱点を乗り越えるよう後押しすることです。
 「例えば粘り強さなど、本人が意識していないところにも強みが隠れています。第三者から改めてフィードバックされると、『認められた』とポジティブな感情が高まり、行動も変わってきます。自分が変わると周囲が変わり、組織へも良い影響を与えるため、好循環が生まれます」

 コーチングや研修を機に、思考の変化を感じることがやりがいと話す松井さん。
 「あるとき研修後のアンケートで、『今までは相手を変えようという意識だったが、自分が変わらないといけないと思った』との言葉を見たときは、その方の思考が180度変わったと実感できてうれしかったですね」

 一方で、ポジティブ心理学をベースにした組織開発の視点も取り入れます。松井さんは、日本ポジティブ心理学協会で「ポジティブ組織学ラーニング・コミュニティ」を企画しています。「エビデンスに基づく知識のインプットは常に続け、コンサルティングなどで生かしていきたいと考えています」

 「社員それぞれの思考の幅が広がると、新たなアイデアが生まれるほか、チャンスやリスクにも対処できる力がつきます。働く人が充実感に満たされることは、会社にも良い結果をもたらすものです。一歩ずつ着実に前進していきましょう」と呼び掛けます。

(取材年月:2023年4月)

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松井睦子

「思考の幅を広げる」コーチングに重点を置く人材育成の専門家

松井睦子プロ

人材育成コンサルタント

セルフ・マネジメント・オフィス

コーチングやポジティブ心理学など、エビデンスに基づく幅広い知見を生かしたアプローチにより、企業の人材育成をサポート。「思考の幅を広げる」ことを大事に、自ら考え・行動できる社員を育て、組織力を高めます。

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