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生粋の技術屋、これからは“品質の町医者”をモットーに中小企業のため尽力

中小企業向け マネジメントシステム構築や運営のコンサルタント

笹島洋幸

笹島洋幸 ささじまひろゆき
笹島洋幸 ささじまひろゆき

#chapter1

企業の財産は「人」 高い品質を保つため指導を徹底

「今後は品質の町医者に」。自身のこれからについてそう話すのは「笹島技術士事務所」の笹島洋幸さん。

技術士として、品質保証のスペシャリストとして、これまで人々の生活を支える機器を生み出し、運用のために奔走してきました。扱う領域はさまざまで、原子炉の開発や、ポンプや配管などの原子力関連機器の品質保証、さらには超音波プローブ(探触子)の開発まで。また、水力・火力発電所の機器製作に関する品質指導や、企業のマネジメントシステムの認証審査も手がけます。

機械系の技術士でありながら、品質保証や環境管理にも精通していることが強み。高品質な製品・サービスを提供させる指導が主な仕事で、依頼先の従業員一人ひとりへの根気強いフォローアップも心がけます。

社会の未来を見据え、今後は大きなプロジェクトだけでなく、日本を支える中小企業のために尽力したいと言います。

「企業の改善は、単にシステムをつくれば終わりというわけではありません。企業にとって最も大切な財産は『人』。人がシステムを理解し、納得して行動していだたいて初めて私の仕事に意味が生まれます」

経験から、設計・製造・サービスのいずれが欠けてもよいものは生まれないと実感。ところが日本の経済を支える中小企業に、失敗の原因追究や再発防止のための対策立案の意識がまだまだ浸透していないと痛感しました。

利益を生まない、生産性もない……。そうした理由から品質保証を後回しにする企業に対し、笹島さんは警鐘を鳴らします。「すべてを機械でまかなえない今、人のわずかなミスが大きな事故や環境汚染につながります。そうすれば企業の信頼は失墜し、その結果、利益が損なわれることになる」と。

#chapter2

技術屋だからこその目線で細やかに問題の究明に対応

30年以上にわたり、繊細さを強く要求される原子力関連の業務に携わってきた笹島さん。そこで培った能力を、今度は「ニッポンの土台」中小企業に向けたいと話します。「小さなことから経営に関わる相談まで。『品質の町医者』的な存在として、少しでも助けになれば」と笑顔を見せます。

東京工業大学大学院を出て大手電機メーカーの東芝に入社後、「技術一筋」に歩くうち、品質保証の世界へ。多くの問題を解決するなか、自分の技術と知識をより広い世界で役立てたいと考えるようになりました。「この年になると、何かをして人から喜ばれるってうれしいじゃないですか」。なぜうちは同じミスが何度も起こるのか──。そんな悩みを抱える“小さな会社”にもアドバイスを送ることができたら、と2020年に独立。「技術屋出身のコンサルタント」として、門戸を開きます。

「失礼ながら、問題に対して表面的な対策しかとれていない会社もまだまだあります。加えて、そもそも問題の原因究明の方法がわからないとの話も」。事故や不具合をさかのぼり要因を追求するRCA(不適合真因分析)という言葉自体、初耳という声も珍しくないとか。

笹島洋幸 ささじまひろゆき

#chapter3

時代の流れに合わせ新しい価値観で新しい品質を提案

依頼があれば、笹島さんはまず、クライアントとの話し合いを徹底します。クライアントが何を求めているか、目標はどこかがはっきりしたら現場へ。設計内容や製造プロセス、管理システムなどを確認し、課題と改善策を提案・実施します。ただの「資料作成者」にとどまらず、現場にシステムの意味や目的を理解してもらうための工夫が肝要だといいます。

東芝時代、中国に渡り現地法人を指導したときは、問題の再発防止のために体制やシステムの見直しを強く訴えました。「ヒューマンエラー(人為的ミス)はあくまで結果。失敗した人に責任を負わせて終わり、では同じ過ちが繰り返されてしまう。最初は『日本から来たヘンな外国人』という目で見られましたが、1年間にわたる指導で信頼関係を築くことができました」と笹島さん。最後には先生と慕われ、いろいろな相談を受けるようになったそうです。

昨今は消費が多様化し、「安く大量に」から「顧客に合わせた一品」へと変化しつつあり、これに伴い求められるコンサルティングも変わりつつあるといいます。「ただ検査基準に達すればいいという時代は終わりました。今は多種少量生産で、それぞれに要求が違います。これまでの品質管理だけでは対応できないと私は考えています」

常に品質について考える笹島さんにとって、不具合がないのは当たり前。使う人の満足感まで考慮した「魅力的品質」を世に出せるよう、クライアントと一体になり、新しい価値の創造を目指します。

「SDGs(持続可能な開発目標)の促進も忘れてはいけません。環境に対する配慮も今後はより大切になってくる。単なる設計や品質保証を超えて、総合的な価値を追求したコンサルティングをしていきたいと考えています」

広い視野で「豊かな未来」の実現を。技術士出身のコンサルタントが新たな風を吹き込みます。

(取材年月:2021年1月)

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笹島洋幸

中小企業向け マネジメントシステム構築や運営のコンサルタント

笹島洋幸プロ

運営コンサルタント

笹島技術士事務所

機械設計や品質保証、環境管理システムの構築、運営に関するコンサルティングが主な仕事。原子力発電所の原子炉圧力容器の設計・開発など、繊細な作業を要する分野で培ったノウハウを中小企業に生かします。

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