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非エンジニア出身の講師が現場の苦手意識を解消し、自ら業務をアップデートする組織へと導くIT研修

従業員のITスキルの底上げを通して企業の成長を支えるIT講師

片岡美紀

片岡美紀 かたおかみき
片岡美紀 かたおかみき

#chapter1

現場で感じたもどかしさを原点に、同じ目線で向き合いデジタル化への「心理的ハードル」を外す

 「業務効率化やコスト削減を目的に行われてきたデジタル化は、いまや企業の成長を後押しする“攻めの取り組み”へと変わりつつあります。売上や顧客データを基に生成AIを活用すれば、これまで時間を要していた分析や意思決定のスピードが格段に向上し、攻めの経営へと舵を切ることができます。今、何よりも優先すべきは、自社でデジタル化を担える人材を育てることではないでしょうか」

 こう語るのは、企業向けIT研修を通して従業員のスキル向上を支援する「ミナルキ」の代表・片岡美紀さん。2019年に神奈川県藤沢市でFileMaker、RPA開発・導入支援の会社を立ち上げ、企業のデジタル化を支援してきました。その過程で直面したのが、従業員の知識不足でした。

 「現場のスタッフは何をどうすればよいか、イメージできない人が多いんです。その結果、拒否反応が生まれ、経営者と現場の間に温度差が生じて計画が止まってしまうこともありました。まずは、従業員の一人一人がITの基礎を身に付けることが急務だと感じ、研修を企画しました」

 自治体、商工会議所や専門学校などで、事務スキルアップ研修の講師も務める片岡さん。起業前には、自身が運営するECサイトのデジタル化を独力で成功させた経験もあり、難しい内容を分かりやすく伝える力に定評があります。

 「実は私自身、文系出身でデジタルとは無縁なアナログの世界にいました。皆さんの苦手意識はよく理解できます。難しく考える必要はないんです。日々の業務をどのようにパソコンに任せるか、その仕組みを学習していただいています」

#chapter2

Excelと生成AIを使って、業務をパソコンに任せる「仕組み」を落とし込む

 「私たちは毎日、売上や顧客、在庫といった膨大な情報を扱っています。それらの中から『必要なものだけを抜き出す』『並べ替える』『一つにまとめる』といった作業を繰り返して業務を進めています。こうした一連の流れは、パソコンに任せる仕組みを知っていれば、自分で自動化することができます」

 研修では、伝票からの転記作業など、日々の業務で繰り返し発生するExcel作業を題材に、ボタン一つで自動化する仕組み(プログラミングの考え方)を説明。身近な"面倒くさい"を解消しながらデータ活用の基礎を習得できるため、受講者の高い納得感につながっています。
 
 仕組みを理解していても、いざ実践するとつまずいてしまうケースは少なくありません。そこで講座では、つまずいたときに生成AIを活用する方法も伝えています。

 「AIは便利なツールですが、知識がなければ『改善できる』点に気づきにくいものです。基礎を理解しているからこそ、適切に問いかけることができます。講座で得た知識は、AIの活用を深め、業務に生かす力につながります。聞き方に決まりはなく、自分の言葉で問いかけることが大切です。そのためにも、業務の基本的な流れを理解しておくことが重要です」

 こうして「AIに問いかけて解決する」経験を積むことは、外部業者へシステム開発を発注する場面でも大きな力を発揮します。

 「自分の言葉で、何をどうしたいのかをきちんと説明できるようになれば、業者に任せたときにも、イメージ通りのものが出来上がってきます」

#chapter3

プログラミングとデータの基礎学習で、デジタル脳への切り替えを

 研修のゴールは、デジタルを「他人任せ」にしない人材を育てることです。ITがうまく活用できない原因は、ツールの使い方を知らないことではなく、「アナログ思考のままデジタルを使おうとしている」点にあるのかもしれません。プログラミングとデータの基礎を学び、思考そのものを切り替えることが研修の目的です。

 最も好評な研修は、付箋を使ったプログラミングの基礎と、Excelに搭載されている「Power Query(パワークエリ)」を活用したデータベースの基礎学習です。普段の業務で使い慣れた付箋やExcelを教材とすることで、日々の業務に直結した演習の中で基礎と実務を同時に学ぶことができます。これまで手作業で行っていたデータの整理や集計がボタン一つで完結できるようになる点も、受講生から高く評価されています。

 また、研修の中で受講者同士が業務の改善点を話し合うことで、「デジタル脳」への切り替えがさらに促進されます。業務改善は個人で抱えるものではなく、チームで取り組むものだという意識も自然に育まれるため、複数名での受講が効果的です。

 「言われたことをこなす習慣から、自ら工夫して仕事を動かす側へ回る『0から1』への変換は容易ではありません。しかし、それを成し遂げたとき、自信が生まれ、仕事への向き合い方が変わります。デジタル人材の育成は、今や国が力を入れて後押しするほど重要な課題です。ITの基礎を身に付けることが、その第一歩。エンジニアではない受講生と同じ目線に立てる私たちが、粘り強く伴走します」

(取材年月:2026年3月)

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専門家プロフィール

片岡美紀

従業員のITスキルの底上げを通して企業の成長を支えるIT講師

片岡美紀プロ

IT講師

株式会社ミナルキ

非エンジニアの視点から従業員の苦手意識に寄り添い、実務や課題に合わせて研修内容をカスタマイズ。演習を多く取り入れながら、デジタル化を自走できる人材の育成を支援します。

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