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それぞれのセンスとアイデアを生かせる奥深い手工芸の世界へ

作る喜びを通して彩りのある人生をお手伝いする手工芸の講師

宮川美智子

作る喜びを通して彩りのある人生をお手伝いする手工芸の講師 宮川美智子さん
宮川美智子さん教室風景

#chapter1

たかが粘土、されど粘土。自分のオリジナル作品を生み出せる喜びを分かち合いたい

 花やレリーフ、人形などの美しい工芸品を手作りする楽しみは、人生にとても豊かな彩りを添えてくれます。手工芸とひとことで言っても、使う材料をはじめ、描いたり形作ったりするテーマはさまざま。作る人の分だけ、想像と創造の世界が広がります。
 商業施設が立ち並ぶにぎやかな藤沢駅前から徒歩数分の所にある、瀟洒で静かなたたずまいを見せるアートスペース「ル・クラシック」の建物。その一角では、落ち着いた雰囲気の中、数名の生徒さんが本物かと見紛うような緻密なクレイアートに熱心に取り組む「アトリエフルール湘南(Atelier fleur Shonan)」の教室が開かれています。そこで指導しているのが、この道に入って30年以上の経験を持つ宮川美智子さん。宮川さんが教えているのは、どれも一見、西洋風・和風の伝統工芸ですが、実は日本で数十年前に始まった比較的新しい3つのアートなのです。

 宮井和子・友紀子先生の母子が日本国内だけでなく、世界各地で広めている「DECOクレイクラフト(装飾粘土工芸)」は、1981年に創始されました。窯で焼かずに陶器風の作品が手軽に作れることから始まって、現在は粘土でリアルな植物に近づけた作品などで、国内だけでなく世界41カ国に根強いファンがいます。
 一方、今から20年ほど前、オランダに在住していた桂田淹代先生がアッセンデルフト地方に伝わる伝統工芸の技術を継承しつつ、独自の自由な発想と感性で新感覚のアートに昇華させたのが「桂田アッセンデルフト」。食器や布、皮革、ガラス、プラスチックといった身近な素材に、花や風景、肖像画などを思いのままに描きます。
 宮川さんが指導しているもう一つの教室が、和菓子の伝統技術を生かした練り切りアート。材料が粘土から餡子に変わっただけで、目で愛でる喜びだけでなく、お茶請けとして食べる楽しみも味わえることが人気を呼んでいます。
 どんなに飽きっぽい人でも、「これだけは続いている」と言わしめるほどの魅力を持つ、DECOクレイクラフトや桂田アッセンデルフトの世界。少人数で和気あいあいとした雰囲気の中で、きめ細かい宮川さんの指導を受けられることも、長続きの秘訣かもしれません。

#chapter2

「自分なりに楽しい」が一番。作ることが生きがいになる

 「好きこそものの上手なれ」を信念にしている宮川さんの教室では、30代~80代の幅広い年齢層の女性が集まります。クオリティーが良くないと判断されれば、作品を壊してやり直しをさせるなどの厳しい指導をする所もある一方で、アトリエフルール湘南では「自分なりに楽しく作る」ことをモットーに、それが最上の喜びになっています。
 教室の中でもいわゆるムードメーカーだった40代の生徒さんが卵巣がんにかかり、亡くなってしまったのですが、入院中もずっと「絶対、DECOの教室に行きますから」と宮川さんに言い続けておられたそうです。また、乳がんや胃がんなどの重病を抱えたほかの方々も口をそろえておっしゃるのが「作ることを生きがいにしていたから、頑張れました」という言葉。「ありがたいことですよね。皆さんが頑張ってくださるから、私が足を悪くしたり入院したりしても、元気をいただいてずっと教室を続けていこうと思えるんです」と、穏やかな語り口で振り返ります。

 そんな宮川さんの願いは、“自分には絵心がない”と引っ込み思案になっている人や、多忙でなかなか心の余裕が持てないという人に向けて、作る喜びを発信すること。興味のある人は見学や体験レッスンも大歓迎ですし、個人宅や学校、企業などへの出張講習も受け付けています。
 「お花などを描いていると、心穏やかな優しい気持ちになれます。仕事で忙しく、時間に追われてストレスを抱えている若い方々にこそ、もっと知ってほしいですね」

宮川美智子さんの作品

#chapter3

美しい作品と出合えたときの鮮烈な感動をより多くの方々に

 高校時代から18年間、華道家で草月流二代目家元の勅使河原霞に生け花を習い、大学で日本文学を学びながら日本画サークルにも参加していた宮川さんは、自然の中に息づく季節感などを敏感に先取りできるDECOやアッセンデルフト、練り切りアートにも、伝統文化と共通する美を感じると言います。
 「長年師事した先生方からいただいた『多くの引き出し』がありますので、和洋の垣根を超えて、どのようなバリエーションにもお応えできると思います」
 好きなことにのめり込み、とことん道を究めるタイプの宮川さん。つい昨年も、健康に良い酵素をたくさん含んだ生のナッツを中心に、GI値が低いメープルシロップやココナッツオイル、きれいな飾りにもなる果物だけを使ったロースイーツ(raw sweets=生の材料を使ったお菓子)作りのインストラクターとして資格を取得し、教室を開講したところです。

 初心者でも数時間で簡単な作品を作れるほど、気軽に始められるアトリエフルール湘南での習い事。清楚で控えめな中にも飽くなき好奇心を宿し、作ることの素晴らしさを教えてくれる宮川さんの人柄に触れながら、一生続けられる趣味を深めてみてはいかがでしょうか。

(取材年月:2020年11月)

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専門家プロフィール

宮川美智子

作る喜びを通して彩りのある人生をお手伝いする手工芸の講師

宮川美智子プロ

アート講師

アトリエフルール湘南(Atelier fleur Shonan)

30年以上の制作歴で研磨してきた造形技術と、学生時代から培った芸術的センスを生かし、「DECOクレイクラフト」「桂田アッセンデルフト」「練り切りアート」の各教室を開催。

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