経営者視点で中小企業の収益力を高めるDXコンサルタント
棈木順一
Mybestpro Interview
経営者視点で中小企業の収益力を高めるDXコンサルタント
棈木順一
#chapter1
DX(デジタルトランスフォーメーション)に興味はあるが、どこから手を付けていいか分からないという経営者は多いでしょう。「ABEKIコンサルティング事務所」代表の棈木順一さんは、中小企業診断士およびITストラテジストとして、DX推進や新規事業開発などをサポートしています。
「経営者視点で、上流から戦略的に見直し、生産性や収益を上げる道筋を描くことを得意としています。最初に、現場の声を聞いて業務の流れを整理し、例えば建設業では工事写真などの施工記録をタブレットで入力し報告書を自動作成、入札の見積もり作業を自動化するなど、ITで効率が上がる作業を見極めます」と棈木さん。
前職の電気・電子機器メーカーで、IoTなどを活用した製品開発に長年携わった経験から、技術面に精通。企業の実情に即したツールの選定はもちろん、必要に応じてシステム会社と連携し、コストを抑えた開発内容を提案することも可能です。
「ITはツールなので、情報の流れが停滞して業務の生産性が低いボトルネックを見つけて、必要なところに必要な分だけ取り入れることが重要です。ベンダーが提案するままにコストをかけて導入するも、結局、機能の一部しか使いこなせていない例はよくあります。現場の方々が実際に使ってメリットを感じる仕組みづくりで、定着させます」
知見を発揮できる製造業のほか、今後は流通や建設業などのサポートに力を入れたいと話します。
「製造業をはじめとして安価で導入しやすいITツールの種類が増え、選びやすくなっています。流通や建設業など、DX化がこれからの業界でも、低コストで使えるツールを組み合わせて、業務効率化を推進。従業員の働き方改革など、社会的な課題解決にもつながるよう提案します」
#chapter2
棈木さんは、独立以降、のべ120社以上のサポートを手掛けてきました。ある金属加工会社では、「受注した案件の進捗が社内で共有できず、顧客から問い合わせがあると、工場内を走り回って作業者に確認するしかない」との悩みを解決に導きました。
「業務フローを分析し、情報共有ツールの導入を提案。横浜市の補助金を活用して、コストも抑えられました。パソコンやスマホでいつでも進捗が確認でき、顧客もインターネット経由で閲覧可能に。問い合わせ対応が不要となったほか、常に現場の負荷を把握できることで、受注増につながり、業務効率化と収益アップが図れました」
また、新規事業の立ち上げでも数々の実績を誇ります。市場分析やターゲットの見極めなどマーケティング領域や、AIやIoTなど技術面でのアドバイスを得意とする棈木さん。これまで、防災関連や見守りのデバイスなどの開発を支援しました。2023年には、2社が東京ビッグサイトで開催された展示会において開発・完成した新製品をそれぞれ出展し、いずれも確かな反響を獲得しています。
「中小企業では、ヒト、モノ、カネなど経営資源が限られるため、既存の事業や顧客とまったくかけ離れた事業よりも、これまでに蓄積してきた強みを生かせる分野で取り組む方が、成功率は高いといえます。そこに先端技術を取り入れ、新たな価値を生み出します」
さらに、東京都中小企業振興公社、横浜企業経営支援財団の技術アドバイザーとして培ってきたネットワークも強み。企業同士のマッチングも積極的に行っています。
「電子機器やソフト開発など、さまざまな業種とのつながりから、製品開発の過程で、『この技術が足りない』という場合にご紹介できます」
#chapter3
棈木さんは、電気・電子機器メーカーで、組み込みシステムの設計・開発に約35年携わりました。中でもIoTの領域での製品開発や生産性向上に長年従事。定年退職後、中小企業診断士の資格を取得し、2016年に事務所を立ち上げました。
「60歳を過ぎても、何か仕事を続けたいと思い、それまでの経験を生かして、中小企業をお手伝いできるコンサルティングを選びました。小学生の頃に、伊能忠敬の伝記を読んで以来、『人生は、二回生きられる』との思いが心にありました。彼は、50歳を過ぎてから家業を引退して、天文学を学び直し、日本全国の測量を成し遂げたことで知られます。定年後は、現役時代の経験をもとに社会に貢献できる活動をしたいと考えていました」と振り返ります。
経営者の身近な相談相手として、ITやDX関連に限らず、さまざまな困りごとが寄せられるそう。
「特に中小企業では、悩みを周囲に打ち明けられず、孤独を抱えている経営者が多いと感じます。ちょっとしたことでも気軽に話せるコーチ的な役割でお役に立てるとうれしいですね。クライアントから『話したことで、頭の中が整理されてすっきりした』とよく言われます」と棈木さん。
「原料・光熱費の上昇や人材不足、賃上げの動きなど、会社経営は厳しさを増す一方ですが、ITなど先端技術を活用すれば、コストダウンのみならず、販路拡大や新商品など、新たな道が開けます。補助金や助成金なども上手に利用しながら、一緒にチャレンジしましょう」と呼び掛けます。
(取材年月:2023年12月)
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現場に定着するDX導入を推進し、中小企業の生産性を向上。経営者視点で上流から支援し収益アップにつなげます。ISO9001認証取得コンサルティングや内部監査の支援、新規事業の立ち上げ支援も得意とします。
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