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四季を通して室温を一定に保ち、心地よく、健やかに暮らせるパッシブハウスを提案

高性能な住宅で、暖かく快適な暮らしを提供するプロ

馬場龍仁

馬場龍仁 ばばりょうじ

#chapter1

太陽の光や風を活用したパッシブデザインで、次代へと引き継ぐ住まいに

 「3世代、4世代と引き継いでいける住まいをかなえたい」と話すのは、「PASSIVE STYLE」の代表・馬場龍仁さん。鹿児島県におけるパッシブハウスの第一人者として“世界基準のいい家”を目指しています。

 「パッシブハウスは、地球温暖化を止めるため、エネルギー消費を最小限に抑制する性能を持ち、世界で最も厳しい基準をクリアした住宅のことです。熱の出入りを防ぐ断熱材や多層窓を用い、四季を通して室温がほぼ一定に保たれるのが特徴で、およそ20度以上の室温で年中過ごせます。温度ムラもありませんので夏は冷房、冬は暖房をあまり使わなくても快適に過ごせます」

 顧客の悩みで特に多い「家の中が寒い」を解消するため、太陽光や風などを活用するパッシブデザインを取り入れた注文住宅の施工やリフォームを受託。断熱材の厚さや窓の量を土地の気候に合わせて調整しています。

 「温度差が少ない家は結露が生じにくい。カビやダニも増えず、乾燥も抑えますから、健康的に過ごせるんです。化学物質を使わず、木材など自然素材に囲まれた家なので、空気もきれいで心も体もリラックスできます」

 馬場さんいわく、世界最古の木造建築として名だたる法隆寺が1400年以上の時を超えて現存しているのは、結露しないから。しかし、日本の住宅は築30年くらいでも解体してしまうことに疑問を呈します。

 「木を正しい知識で扱えば500年は持ちます。世代ごとに家を建てては壊すなんて、持続可能じゃないですよね。設備に頼らない高い性能を持った家を、もっと鹿児島に普及させることが私の目標です」

#chapter2

ドイツ研修で見た家づくりの違いに衝撃を受け、一念発起して起業へ

 馬場さんは30歳で住宅業界に入り、当初は低価格で作るローコスト住宅の営業をしていました。当時の社長からは「安い家がいいんだ」と言われ、予算面の負担が少ないことを利点の一つとして顧客に勧めていた時期もあったそうです。

 「住まいに対する価値観が、がらりと変わったのがドイツ研修です。現地で家づくりの違いに衝撃を受けました。法令で室温を維持することが規定され、断熱、気密、採光、通気といった性能への考え方が浸透し、日本とこうも違うのかと。海外では景観も大事にしていて、どこにでも家を建てられるわけではないし、すぐに取り壊したりしない点にもひかれました」

 日本に戻り、鹿児島にはパッシブハウスが一軒もないことに唖然とした馬場さん。エネルギーを使わずとも心地よい日常を実現するため、勤務先の経営者に「パッシブハウスを手掛けたい」と提案します。

 「経営者から『鹿児島は日本だから、日本で売れる家にしてくれ』と言われたこともあり、会社を辞めました。これは自分でやるしかないと。そこから起業しましたが、最初は自転車操業で大変でした」

 「一人でも多くの方に国際レベルの住宅を届けたい」という一心で2019年に創業。現在は、全国の作り手に向けて「馬場塾」を年2回開催しています。

 「塾では情報やノウハウを共有しています。お客さまへの説明と同じ内容でパッシブハウスの必要性をレクチャーする座学と、施工中や引き渡し済みの物件を体験する現場見学を無料で行っています」

#chapter3

1棟1棟、娘を送り出す気持ちで。パッシブハウスを広めて社会に貢献したい

 パッシブハウスの展開を通じて、地球環境の保全やヒートショックのような家庭事故の防止に貢献したいと語る馬場さん。こつこつと仕事に取り組み、各案件には並々ならぬ深い愛情を注いでいます。

 「全て自分が設計し、健やかに暮らしてほしいとの思いを込めて1棟1棟送り出すんです。それはもう、引き渡しのときは自分の娘を送り出すような、父親のような気持ちになります。一つ一つ手をかけて作り上げ、最終的に鹿児島の人がみんなパッシブハウスに住めたらいいなと。ヨーロッパのように当たり前に、一人残らずです」

 馬場さんは、住宅の外観にもこだわります。日本では「レンガ調」や「タイル調」など、いわゆるフェイク素材が使用される傾向が多い中、本物の自然素材を使い経年による表情の変化も楽しめるような家づくりを心掛けます。

 「地球上に存在して、50年後100年後も存在する材料でつくらなきゃいけないと思っています。ヨーロッパでは本物のレンガを使うから、味が出るんですよね」

 パッシブハウスは建築費用が比較的高いものの、光熱費を削減し、長い目で見るとトータルコストを下げられるのも特徴です。一般的な住宅の場合、湿気などにより定期的な手入れを要しますが、通気性も考慮した構造のため補修費用も抑えられるそうです。

 「これから家を建てようと考えている人は、ぜひ勉強してください。何が自分たちにとって快適な住まいなのか。きっと、弊社にたどり着いていただけるのではないかと思います」

(取材年月:2025年3月)

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専門家プロフィール

馬場龍仁

高性能な住宅で、暖かく快適な暮らしを提供するプロ

馬場龍仁プロ

建築業

PASSIVESTYLE株式会社

地球温暖化抑制のため、エネルギー消費を最小限に抑えた高い性能を持つ家=パッシブハウスを、鹿児島から全国に発信。断熱性に優れ年中室温が一定に保たれるため、暖房設備に頼らなくても快適に過ごせるのが特徴。

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