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課題がたくさんあることは可能性がたくさんあること。解決への道筋を描き地域を活性化

課題解決を通して地域を活性化するプロ

下竹重則

下竹重則 しもたけしげのり
下竹重則 しもたけしげのり

#chapter1

地元水産高校でとれたキャビアの商品化や古民家再生など、多様なプロジェクトを推進

 「地域課題がたくさんあることは、可能性がたくさんあること。まさに宝の山だと私は考えています」と語るのは、「地域商社推進機構」の代表・下竹重則さん。薩摩半島の南端に位置する鹿児島県枕崎市を拠点に、地域の特性を引き出し、未来を切り開いています。

 「枕崎市内の水産高校で生徒が育てているチョウザメからとれた卵を、地域の逸品とし打ち出し、売り上げの一部を飼料として還元するプロジェクトをお手伝いしています。設備の関係上、高校では卵をふ化させることが難しく、キャビアに加工したいと要望を受けました。そこで、キャビアで有名な宮崎の事業者に協力を仰ぎ、商品化にこぎつけました」

 地元で増える一方の耕作放棄地に着目し、サツマイモを栽培し焼酎の原料とすることを発案。地域振興に力を入れている航空会社、市内の酒造会社、枕崎市の4者で包括連携協定を締結しました。

 「約2000平方メートルの畑に航空会社の名前を冠することで資金協力を得て、開墾や植え付けなどをイベント化。県内外からボランティアを募ると、多くの参加者でにぎわいました。関係人口の創出を図るとともに、地域の特産品として焼酎を多くの方に知っていただくために、生産過程もPRしていきます」

 古民家再生にも力を注ぎ、空き家となって久しい築100年の邸宅が解体される話が出ていた際は自ら手を上げ、ゲストハウスに改装しました。
 「クラウドファンディングも活用して多方面から支援を集め、地域住民と旅行客の交流の場として生まれ変わりました。このほかにも、多種多様なプロジェクトが進行中です」

#chapter2

生死をさまよう闘病経験から社会貢献をしたいと起業。県内外で地域課題に取り組む

 下竹さんは枕崎市で生まれ育ち、鹿児島市内でスポーツクラブのインストラクターやサッカーのクラブチームのトレーナーとして活動。忙しく過ごすなか20代で大病を患い、2年におよぶ入院生活を送ることに。

 「病気とは無縁だったのが一転、生死の境をさまよう経験もし、なぜ自分は生かされているのか深く考えました」

 退院後は社会に貢献したいと、2001年に故郷に戻り起業。妻の実家が営んでいた自転車屋の倉庫を事務所に、携帯電話販売やインターネット回線の設置サポート、プログラミング教育、ドローンスクールなどの事業を展開。経営基盤を整え、2020年に「地域商社まくらざき」を設立。県外でも事業を手掛けることが増え、現在の社名へと変更しました

 「県外プロジェクトの一つが、佐賀県内の養鶏場から買い取った卵を使ったマヨネーズの開発です。つながりのあった佐賀の自治体から、鳥インフルエンザの影響を受けて需要が落ち込んでいると聞いたんです。鶏の健康に配慮して育まれた卵は質が良く、ブランド化できると考えました。実家が農業を営んでいたこともあり、困っている生産者さんをみると力になりたいんです」

 農作業にいそしむ祖父の姿を幼い頃に見ていたことが、下竹さんの発想の源にもなっているとか。
 「ないものがあれば畑や山にあるものを使って、自分で工夫して作るというのが当たり前でした。地域の資源を活用して、新たな価値を生み出すという今の仕事に、通じるものがありますね」

下竹重則 しもたけしげのり

#chapter3

コワーキングスペースを拠点に、5年先10年先を見据えた次世代の育成にも尽力

 2021年からは、大手アウトドアメーカーの「スノーピーク」と提携し、コワーキングスペース「Camping Office osoto Makurazaki」を運営。JR枕崎駅から徒歩約5分、市役所のはす向かいというアクセスの良さを生かしてイベントも開催しています。

 「何かあれば『osotoに集まろう』と言われるほど地域に親しまれる場所となり、ブランドのファンの方々も全国から足を運んでくださいます。なぜ、知名度の高い事業者と組むことができるのか、よく聞かれますが、何のプロジェクトでも大事なのは『思い』です。思いが伝われば、一緒にやってくれる人は現れるんです」

 下竹さんは、地域の活性化に欠かせない若い世代の育成にも力を入れています。osotoは、小中学生に向けた学習支援の場として無料で開放し、英検、漢検、日商簿記といった資格試験の会場にもなっています。

 「以前は受験のために市外まで出向く必要がありました。チャレンジすることすら大変な状況を解消したい一心で立ち上げました」

 向学心のある人たちを応援すべく、日本全国をキャンパスに地域とともに学び合う市民大学「さとのば大学」の学生を受け入れる拠点としても活用。大学がない枕崎市に、毎年10人前後の意欲ある学生が来る意義はとても大きく、地域も変わっていくと期待しています。

 5年、10年先を見据えてさまざまな取り組みを展開する下竹さん。「地域のポテンシャルを見いだし、次世代につなぎたい」という人は、ぜひ話を聞かせてほしいと呼び掛けます。

(取材年月:2025年2月)

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下竹重則

課題解決を通して地域を活性化するプロ

下竹重則プロ

社会起業家

一般社団法人地域商社推進機構

地元実業高校と提携した商品開発や古民家再生、耕作放棄地の活用など多様なプロジェクトを推進。地域資源の新たな価値を見出し、活性化や関係人口増加などに寄与。地域課題を解決する次世代育成にも注力しています。

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