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平成生まれの体力自慢たちが、難しい現場もスピーディーに対応

体力・技術・スピードの三つをそろえた伐採のプロ

徳田輝

徳田輝 とくたひかる

#chapter1

危険と隣り合わせであるものの、林業は日々驚きに満ちた魅力的な仕事

 岩手県雫石町の「与作」。きこりをテーマにした、有名な歌謡曲のタイトルと同じ社名から分かる通り、同社は樹木の伐採を主たる業務としている会社です。また、除草や庭木の剪定を手掛けることもあります。

 代表取締役の徳田輝さんは、「体力自慢の若者が集まっていますから、作業スピードには自信があります。事業活動が活発な分、安価にお請けすることができますよ」と朗らかな調子で話します。徳田さんを含め、同社のスタッフ6人のうち5人が平成生まれ。なんと森林25ha分(東京ドーム5.3個分)、数万本の木を2カ月で伐採したこともあるとか。

 とはいえ、伐木や造材、集材をはじめとする林業は決して楽ではありません。チェーンソーは重たく、使いこなすのは容易ではありません。しかも、常に大事故のリスクが付きまといます。巨木の下敷きになろうものなら、ひとたまりもありません。

 「でも、こんなに魅力的な仕事はありませんよ。自然が相手ですから、日々驚きに満ちています。それに、木を狙った位置に倒したときの爽快感や、難しい現場をやり遂げた後の達成感は、本当に何物にも代えがたいです」

 数々の案件を精力的にこなす徳田さんですが、苦戦を強いられたこともあったそうです。
 「お寺の墓所にあった、25mもの高木を任されたことがありました。墓石が並んでいるため、木を倒すことはもちろん、枝1本さえ下に落とせない状況だったので、木を3等分するように切り、それを一つずつクレーンで慎重につり上げながら回収しました。無事に作業が完了したときには、ほっと胸をなで下ろしました」

#chapter2

会社に親しみを持ってもらおうと社名を与作に

 徳田さんは1991年に岩手県で生まれました。林業と出会ったのは21歳のときです。

 もともと土木作業員をしていましたが、仲が良かった先輩に誘われ、伐採工事を行う企業に入社しました。サラリーマンとして5年間勤める中でノウハウを習得。その後、個人事業主として活動を始めます。

 「働いているうちに、いつかは独り立ちしたいという気持ちが強くなりました。周到に準備して、というわけではありませんが、なんとかなるだろうという感じでしたね」

 独立したばかりの徳田さんを助けてくれたのは、当時、よく手伝っていた、雫石町にある伐採業者の常務。その人に、実務に関してさまざまな面で指導してもらったことが糧になっていると言います。

 「非常に厳しい人でしたが、私も負けてたまるかという気概がありました。本気で向き合ったおかげで今があります。その方も現在は自分の会社を構えていまして、そこから依頼を受けることもあれば、こちらが発注する場合もあります。持ちつ持たれつの良い関係が続いています」

 身一つで臨むロープワーク・クライミングの技を駆使するなど、森林整備に力を尽くしてきた徳田さん。以前は「T・forest」という屋号を掲げていまでしたが、2020年10月に法人改組する際、与作という社名にしました。
 「それまで、『徳田さん』と名字で呼ばれることが多かったため、覚えてもらいやすい名前にしたかったのです。今では、親しみを込めて『与作さん』と声をかけられることが増えました」

#chapter3

チェーンソーの国内大会で好成績を収め、世界大会に出場したい

 徳田さんは、同社の設立に際し、友人たちを誘ってスタートを切りました。「頼もしい仲間に囲まれて、ありがたい限りです。会社として成長していきたいのはもちろんですが、支えてくれる社員の幸せを大切にしていきたいですね」と笑顔を見せます。

 同時に、人材育成も視野に入れています。経験を問わず、林業に対する熱意を持つ若者を募集し、一から技術を伝授したいと抱負を語ります。
 「私の周囲にいる林業従事者は、老齢の方が非常に多いんですよ。業界を発展させていくためにも、かつての私のように、新たな道へと歩み出す若い人の後押しをできたらいいなと考えています」

 一方、「自分自身のチェーンソーの腕も磨きたい」と意欲を見せる徳田さん。日本伐木チャンピオンシップ(JLC)という、チェーンソーの技能を競う大会で上位入賞を目指しています。

 初めてチェーンソーを手にしてから10年以上が経過し、その扱いには自信があったそうですが、2022年5月の大会に挑むにあたり、大した練習もせずにいたところ、まさかの予選落ちという憂き目を見ました。

 「ものすごく悔しかったですね。次回は何としても雪辱を果たしたいと思っています。JLCでは、上位3人に入ると翌年に開催される世界大会に出場する権利を得ることができるんです。私の目標は、世界です。本領を発揮できるよう、本番に向けてスキルアップに励んでいます」と徳田さん。今日もチェーンソーを片手に、東北の山々で汗を流しています。

(取材年月:2022年5月)

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専門家プロフィール

徳田輝

体力・技術・スピードの三つをそろえた伐採のプロ

徳田輝プロ

林業

株式会社与作

体力・技術・スピードに対する自信を胸に東北地方で伐採作業に従事しています。森林25ha分、数万本の木を2カ月で伐採したこともありますし、墓所のような慎重な作業が要求される現場での伐採経験も豊富です。

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