ドローンのプロ
古舘裕三
Mybestpro Interview
ドローンのプロ
古舘裕三
#chapter1
「好きで始めたことが、いつの間にか仕事になっている」。まさに古舘裕三さんはそれに当てはまる人生。元々ラジコンが趣味だったこともあり、ドローンという「夢の道具」に出会い一目ぼれ。簡単には眺められなかった空からの風景を見ることができて、しかも撮影までできる。その革新的とも言えるドローンに、どんどんのめり込んでいきました。そして、2017年6月には、産業用のドローンサービスを提供する株式会社トップクルーの設立に至ります。産業用としての利用はもちろん、動画撮影の仕事なども依頼されるようになり、様々な飛行経験を重ね、操縦技術を磨きました。2017年には、ドローン界で一番難しいと言われる、SkyLink×RaveProject認定の「ドローン操縦技能認定試験」を突破し、PROパイロットに認定されました。これは2019年5月現在、日本国内でも25名しかいない難関資格であり、岩手県では古舘さんしかいません。
ドローンの活用用途は年々広がり続けています。例えば、農薬散布、建設会社の測量なども一般的になってきました。その現状に呼応するようにドローンを使って仕事をしたい方も増えています。その理由として金額的なハードルの低さがあります。例えば、農薬散布用のラジコンヘリは1,500万円程度かかるのに対し、産業用ドローンの機体は200万円程度で購入可能です。起業時の初期費用を抑えられることも魅力です。古舘さんは、これまで行っていた産業用ドローンサービスに加え、ビジネスでの活用を考える方を対象にした「産業用ドローンスクール」を思い立ちます。このスクールの特徴は、実際にドローン業務を担当する人が教習する点です。例えば「農薬散布」のカリキュラムは、飛行技術の指導だけでなく、農薬に特化した内容にしています。実際に農業を営むスタッフもいるため、農薬がかかってしまってはダメな作物、農薬の取り扱い方、安全管理の分野も丁寧に指導します。このように農薬散布を仕事として行う際に必要な知識を細かく教えています。ドローン事業のノウハウを学びたい方にとって、最適なドローンスクールと言えます。
#chapter2
古舘さんの経営する株式会社トップクルーの名刺には、「空の産業革命」というキャッチフレーズが添えられています。それではドローンのどんな部分が「革命」を起こすものか、簡単に説明します。
革命その①は「農薬散布」です。山間部の小さい集落の農業は、従来のラジコンヘリコプターでの散布には、難しい地形に直面することもあります。そのため、自分たちで農薬を撒かざるを得ないこともあります。農家の高齢化が進む中、これはなかなかの重労働です。後継者も育たないまま、ついには耕作放棄してしまうことも少なくありません。その点、ドローンはラジコンヘリコプターに比べて安価な上、機体のサイズも小さいため、飛行エリアの制限が少ないなどのメリットがあります。さらに最近の機種は、事前設定しておけば、指定の時刻に自動で飛び、指定の量を散布してくれるものも発売されています。農業の高齢化が叫ばれる中で、ドローンは救世主とも言える存在になりつつあります。
革命その②は「建設業」です。測量にドローンを活用することが増えています。測量は建設会社が施工に取り掛かる前に、地形などを把握するための大切な作業です。従来は人間が建設の現場に出向き、専用の機材を担ぎながら、測量を行っていました。これは多大な労力がかかり、どうしても曖昧な部分が出てしまい、実際の施工が始まると、必要な土の量に誤差が生じるなどの問題がありました。ドローンは「三次元データ」で解析できるので、精度がアップします。しかも飛行時間は長くても20分程度で終了します。山間部の測量は、人が分け入って作業していましたが、厳しい労働から解放されるようになります。人出不足が続く建設業にとって、ドローンは革命を起こす存在となっています。
#chapter3
ドローンは機械の性能が上がり、より多くの作業が可能になり、今後も活用される領域がますます広がっていくでしょう。古舘さん自身は、岩手県において、ドローン活用がより深い意味を持っていくものと考えます。この仕事を通じて学んだことは、「岩手にはまだまだ可能性があり、その可能性を広げるものがドローン」という考え方です。「岩手の農業は高齢化が進み、農業をする人もどんどん減っています。私は産業用ドローンの仕事を通じて、農業に対する見方も変わってきました。世界的に見れば、日本の農業はすごく評価が高いんです。岩手県は食料自給率が100%以上の県です。輸出を増やす可能性だってあります」。そして、こんな言葉を続けます。「辛い労働から解放されることで、農業に参入する人が増えることも考えられる。日本そして世界に向けて、岩手の農産品が売れるようになれば、農家が今よりも豊かに暮らせるかも。すると、農村部の少子化、高齢化に歯止めをかけることができるかもしれません」。
多くの人にとって、ドローンはまだまだ「趣味」を楽しむ存在です。しかし、古舘さんにとってドローンは、「岩手の未来をつなぐもの」になっています。ドローンの操縦を自分の仕事として取り組んでみたい。そう考える方は、ぜひ古舘さんに相談してみてください。大きな体を前のめりにして、あなたの話を親身に聞いてくれます。
(取材年月:2019年5月)
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Profile
ドローンのプロ
古舘裕三プロ
産業用ドローンサービス
株式会社トップクルー
産業用ドローンの販売・修理の他、ドローンスクールの運営。ドローンスクールでは、操縦技術だけでなく、実際のビジネスにつなぐ指導を行っている。
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