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日々変わる骨董・古美術品の相場を把握し、納得の価格で買い取り

伝統文化を未来に伝える骨董・美術品のプロ

浦嶋秀則

浦嶋秀則 うらしまひでのり
浦嶋秀則 うらしまひでのり

#chapter1

伝統工芸が息づく北陸3県で、店頭での売買や出張買い取りに対応

 赤黒・赤褐色で素朴な趣の越前焼、色鮮やかな絵付けの九谷焼、つややかな漆塗りと華やかな蒔絵(まきえ)の輪島塗など、伝統工芸が今も息づく北陸地方。日本の美意識と匠の技を次世代へつなぐ担い手の一人が、古美術品、骨董品を扱う「浦嶋」の専務・浦嶋秀則さんです。

 金沢市にアンティークショップ「竜宮堂」を構え、焼き物や漆芸品、茶道具、中国美術、書画などの売買を手掛けるほか、北陸3県での出張買い取りにも応じています。

 「若い頃からアンティークが好きで、美術館を巡るのが趣味でしたが、ある古物商さんの勧めでマーケットに参加。自分で仕入れて販売する楽しさに目覚め、仕事にしようと決めました」

 2009年、兄で代表取締役の裕介さんとともに会社を設立。緻密な鑑定と丁寧な応対で、希少な逸品や思い出が詰まった品を、次に大切にしてくれる人へ橋渡ししています。

 「骨董品の価格は、日々変わるものです。当方は、自社運営のオークションを定期的に開催し、独自の販路を確保。相場の動向を詳細に把握しているからこそ、納得いただける査定格を提示できます。特に地元の作品や工芸品には精通しており、高値をご案内できます」

 世界的なオークションへの委託出品にも対応。依頼者の意向や商品の性質により、適切な売却方法を提案します。

 「来店される方の中には『地域の信頼あるお店に売りたいが、どこに頼めばよいか分からなかった』という方もいらっしゃいます。丁重にお預かりし、『竜宮堂にお願いしてよかった』と感謝されたり、お礼の手紙をいただいたりすると、やりがいを感じますね」

#chapter2

古物商やコレクターら約100社の目利きが集まる自社オークションを開催

 「はい、続いて九谷焼の中皿。1万円から」。
 カランと澄んだハンドベルの音とともに、会場に響く浦嶋さんの声。緋色の敷物の上に器が載せられると、あちこちから「2万!」「3万!」「5万!」と応札者の声が飛び交い、場内の熱気が高まります。

 竜宮堂で1月と8月を除く毎月第4日曜日に開催される「竜宮オークション」。古物商やリユース業者のほか、一般のコレクターを含め約100社が集まります。

 取り扱う品物は大小合わせて1万点以上。朝の8時半から始まり、終了が夜の7時になることも珍しくありません。
 「12時間近くノンストップで立ちっぱなし。次の日、腰が動かないことありますよ」と浦嶋さんは笑います。

 会場には海外のバイヤーの姿も。現地のコレクターとスマートフォンで「今いくらだ、どうする?」とせわしなくやり取りしています。

 「同業者からは、これまで誰の目にも触れられていない『うぶ荷』が出てくるから面白いという声が寄せられます。また、完全な自社運営ですので、透明性が高くクリーンといったお褒めの言葉も頂戴します」

 出品者にとってのメリットは、一般の買い取り価格より高額で売れる可能性があること。目利きの業者が集まり、現物を目で見て、手で触れ、その場で競り合うからこそ、高値落札が期待できると説明します。

 「とはいえ、出品者として参加する一般の方はそれほど多くありません。海外では人気があり、取引が盛んなオークションを国内でも浸透させていきたいですね」

浦嶋秀則 うらしまひでのり

#chapter3

士業と連携し、相続時に骨董品の時価評価額を鑑定するサービスも実施

 「遺産の中に骨董品があるが、価格がどれくらいなのか分からない」との声に応えるため、浦嶋さんは税理士や司法書士らの専門家と連携し、時価評価額を鑑定するサービスを実施。評価書や官公庁に提出する書類作成もサポートし、スムーズな相続を後押ししています。

 「高度経済成長期に購入された美術品は、当時と比べ値が下がっていることが多いです。しかし相続人も、良しあしが分からない場合がほとんどですので、相場を知っている私どもが的確に査定します。むげにされることなく、日の目を見る遺品が少しでも増えれば、という気持ちで取り組んでいます」

 作り手の命を宿し、時を超えていつくしまれた骨董品や美術品。その一つ一つに価値を見いだしてきた浦嶋さんにとって、2024年1月の能登半島地震は衝撃でした。

 「揺れや津波、火災により、家屋や土蔵が大きな被害を受け、中に入っていた多くの貴重な品が顧みられることなく処分されてしまったと言います。被災者の方々はそれどころではなかったかもしれませんが、私たちにもっと認知度があれば、お手元に留め置いたり、新たな持ち主に引き継いだり、お力になれたかもしれないと思うと残念でなりません」

 浦嶋さんは、長い年月を経て育まれた伝統の継承に携わる企業として志を立て、矜持を抱いています。
 「品物を次の使い手や次の世代につなぎ、文化や歴史を未来にリレーしていく。先人らの営みを紡ぐという責任を持って、社会に貢献していきたいです」

(取材年月:2025年5月)

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浦嶋秀則

伝統文化を未来に伝える骨董・美術品のプロ

浦嶋秀則プロ

骨董・美術品商

株式会社 浦嶋 竜宮堂

約100社の目利きが集まるオークションを自社で運営し、骨董・美術品の独自の販路を確保。相場の詳細な動向を熟知し、納得の価格で買い取ります。貴重な品を次の使い手へつなぎ、伝統文化を次世代へつなぎます。

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