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特別な空間と時間を生み出す建築家

別荘の建築で特別な空間と時間を生み出すプロ

前田憲二

前田憲二 まえだけんじ
前田憲二 まえだけんじ

#chapter1

趣味は建築にとって重要な世界

「忙しい人に仕事を頼め」と言いますが、エムアート建築事務所の前田憲二さんは、住宅、別荘、店舗など、年間二十件以上の設計を手掛けている多忙な建築家。空間に“品”と“文化”を取り入れながら、快適で楽しいライフスタイルを提案しています。

どこか売れっ子の作曲家といった雰囲気を持つ前田さん。子どもの頃からものづくりが大好きで、中学生の時、建築家になることを既に決めていたと言います。趣味は多彩で、ギター、映画、スキー、キャンプ、愛車はイタリアの大型バイク、ドゥカティ。「趣味は建築家にとって感性を磨く重要な世界なんですよ」と話します。

「例えば、曲を作ってコンサートを開くことと建築は似ているのです。音楽だけでなく料理だってそう」。作り手と受け手の感覚をどうマッチさせるのか。ポピュラーなヒットを目指すのか、マニアックな路線にするのか。そういったプロセスは、ものづくりに共通していると語ります。

顧客と向き合う時も、趣味が架け橋に。設計前の打ち合わせでは、いかに依頼主の要望や感性を引き出すかがポイント。そのためには、「相手の話に共鳴、共感する感性が求められます。普段から食事や映画、ファッションなどに関心を持っていないと感動できない。結局、自分の生き方にもたどり着く」とのこと。

そんな前田さんですから、住宅建築において、趣味に没頭できる空間を大切に考えているのは納得です。本棚のある書斎や音楽に集中するオーディオルーム、広めのガレージなど、好きなことに時間をかけるスペースは豊かな暮らしにつながると話していました。

#chapter2

住宅に家族の文化と品性を織り込む

前田さんの特徴は、オールマイティーな建築を手掛ける柔軟性と、依頼主の思いをいち早く、的確に捉えられることです。「お客さまと向き合う時は、目を見て一生懸命に聞く。そこにテクニックはありません」ときっぱり。

また、「建築は買うものではなく、作り上げるもの。完成までの過程が極めて大事です。そこを依頼主に説明しながらコミュニケーションし、満足度を高めています」と持論を語ります。

さらに前田さんは、建築において重要視しているキーワードの一つが“文化”だと続けます。「家には、ライフスタイルや趣味嗜好、生活習慣など、家族や住む人の文化がある。それを読み取ることが私の役目」だと強調。

もう一つ大切にしているのは“品性”。「なぜか分からないけれど、佇まいを見て『この家、いいな』と思うことってありませんか?そういった建築には、個性に加えて品性があるのだと考えています。その品性を建築に込めている」

最近気に入っている作品の一つは、福井県三国町にあるカフェ「micnic(ミクニック)」。建物は国定公園を切り開いた場所にあり、秘密の隠れ家といった雰囲気ですが、「自然と調和しながら、カフェの空間にいること自体が楽しい設計にしました。一度行くと、また時々行きたくなる…そんなお店を目指した」と前田さん。

このカフェは評判となって、今では人気店に。その佇まいにはやはり、店主と来客者の織りなす文化が感じられ、品性が漂ってきます。この建物を知った人から「ぜひ設計をお願いしたい」というオファーが次々舞い込んだのもうなずける話です。

前田憲二 まえだけんじ

#chapter3

非日常の空間、別荘建築で高い評価

現在、前田さんが力を入れているのが別荘と、別荘のような空間設計です。元々は数年前、石川県穴水町にある、海が一望できる別荘を手掛けたことが始まり。これが全国の応募の中から最優秀の評価を受けたことがきっかけで、数々の別荘を手掛けるようになりました。

別荘は完全に非日常的なもの。三国町のカフェと同様、そこにいるだけで幸せになる空間に仕上げ、週末が待ち遠しくなる世界を形作っていると前田さん。

「どうしてその土地なのか、どんなオーナーなのか。あらゆる背景を考えながら設計します。依頼主が思い付かないエッセンスも提案しています」。別荘について語る前田さんの表情は生き生きしていました。

「先生」と呼ばれることを好まず、常に謙虚な姿勢で顧客と対峙。「無茶な要望や、普通ではない立地の依頼が来ると『ありがたい』って思うんです。それに応えることは相当パワーを必要としますが、燃えるんですよ(笑)」とにっこり。

自分は毎回、とことん考えて悩み抜くタイプだと言いますが、良い作品ができたときの達成感は計り知れません。「だからどうぞ“無理難題”を持ちかけてください。一緒に特別な空間と時間を作りましょう」。そう呼び掛けてくれた前田さんは、きっと個性的なミュージシャンとセッションを楽しむように、建築に携わることが喜びなのでしょう。

(取材年月:2013年9月)

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専門家プロフィール

前田憲二

別荘の建築で特別な空間と時間を生み出すプロ

前田憲二プロ

建築家

有限会社エムアート建築事務所

非日常的な空間である別荘の設計が強み。どうしてその土地を取得したのか、どんなオーナーなのかなど、あらゆる背景を考慮しながら設計しており、その空間にいるだけで幸せな気持ちになれる建築を生み出している。

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