ゴムライニングなど工場メンテナンスと営業代行のプロ小原一泰

ゴムライニングなど工場メンテナンスと営業代行のプロ

小原一泰

長年にわたるゴムライニング経験をもとに、商材の目利きから施工完了まで対応

　工場の機械や設備を長く安定的に稼働させるため、故障や劣化につながる要因をあらかじめ取り除く「プロアクティブメンテナンス」。「コハラTEC」代表の小原一泰さんは、機器の腐食を防ぐ「防食」をメインに、工場メンテナンス部門を支援しています。

　独立以前に約30年勤めた技術商社で、火力・原子力タービンのゴムライニングの営業・技術サポートに20年従事した小原さん。ゴムライニングとは、配管やタンクなどにゴムシートなどを接着し、サビなどを防ぐ加工法のことです。

　「ゴムライニングは、東日本大震災を機に原子力発電関連の工事がストップしたことから、素材を取り扱う大手メーカーが半減しました。『長年使っていたメーカーのものが手に入らなくなったが、代わりの素材はあるのか』といった相談も少なくありません。零細の下請けも含めて取り扱い業者にネットワークがあり、規格にも精通しているため、豊富な経験の引き出しには自信があります」

　まず現地の設備や機械を確認し、適した商材を見極めます。金属の腐食は、タンクに入っている液体の種類や現場の温湿度など、さまざまな要素が影響するため、現場を見ることが重要なのだとか。商材や職人の手配から、施工計画書の作成、施工工事の監督、工事完了までワンストップで担います。

　現在、神戸・播磨エリアを中心に、原子力プラントを扱う大手企業や化学肥料メーカーなどから依頼が寄せられています。
　「今後は、ゴムライニングのみならず、工場設備の見える化や、予防保全に有効な商材を幅広く扱っていきたいと考えています」

商社時代の豊富な人脈を生かした営業代行で、販路拡大を導く

　もう一つの事業の柱が、商社経験を生かした営業代行です。「既存客のフォローに精一杯で、新規に手が回らない」「営業担当者がなかなか育たない」などの悩みに応え、セールス活動を支援します。

　扱う商材は、工場機械・装置の部品や、ポリエチレン素材、製薬会社向けの素材など。工場をターゲットに、販路開拓を導きます。
　「商社時代からの担当者が、今や部長クラスとなっており、業界のパイプを生かしてお手伝いできます。自社の営業担当が新たな人間関係を一からつくるのは、時間もコストもかかります。私の役割はビジネスチャンスの糸口をつかむこと。成功報酬型の料金設定なので、人件費を抑えて営業力を強化できます」

　小原さんは、ファーストフード店や家電小売店などを経て、技術商社の営業職に。並行して、カスタマーエンジニアリング（CE）として精密機械のメンテナンスや、社内のシステム構築なども担当しました。
　「もともと精密機械や計測器などが好きだったので、一から勉強しました。また当時のシステムは、汎用コンピューターにつなぐやり方で、大手システムベンダーの担当者から直接話を聞ける機会もあり、それが学びの刺激になりました」

　その後、客先の大手企業で原子力プラントのゴムライニングのサポートに長年従事しました。
　「職人さんと一緒に工事を進めるなど、現場経験を積み、人間関係も広がりました。実は父が発電所の技術者で、子どものころから身近な世界だったことも、自然と現場になじめた要因かもしれません」と振り返ります。

家族の介護を機に独立した経験から、「50代からのリスタート」を応援する情報発信も

　顧客との長い付き合いを大事にする小原さん。独立以前から20年にわたりサポートを継続している顧客もあるそうです。
　「一度きりで終わるではなく、定期的に『まいど』と会いに行ける関係づくりが得意です。数年前に工事を手掛けたお客さまから『次の補修もまたお願いしたい』と言われるのが、この仕事をやっていて何よりうれしい瞬間ですね」

　信頼関係を築くために心掛けているのは、「やり遂げること」と語ります。
　「工事直前で施工業者が『やっぱりできない』と逃げてしまったこともありました。一から職人を集め直したため、予算が膨らんだにもかかわらず、クライアントは『よく最後までやってくれた』と。困難に直面しても完遂させる力はあると自負しています」

　小原さんは、家族の介護を機に、56歳で個人事業主として独立しました。当初は営業代行からスタートし、次第に得意分野のゴムライニングの依頼が増え、2021年に「コハラTEC」を設立。自身の経験から、「50代からのリスタート」を応援する情報発信にも力を入れたいとか。
　「公的年金に不安があったり、介護離職を余儀なくされたり、同じような状況にある方の一助になれればと考えています。これからの時代は、何歳であっても〝自ら稼げる力〟を身に付けることが必要です。私自身、独立後に、知識不足から思わぬ支出に苦労したこともあったので、経験をお伝えしてお役に立ちつつ、新たなご縁につなげたいですね」と意欲を語ります。

（取材年月：2023年8月）

技術商社でのネットワークを生かしたゴムライニングと販路開拓で現場をサポート

長年にわたるゴムライニング経験をもとに、商材の目利きから施工完了まで対応

商社時代の豊富な人脈を生かした営業代行で、販路拡大を導く

家族の介護を機に独立した経験から、「50代からのリスタート」を応援する情報発信も

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