PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

安全性や住み心地を損なわず住み続けるために、高経年マンションの管理不全に備える

人と建物の明日を支える高経年マンション管理のプロ

宇野和博

プロフィール
正面

#chapter1

マンション管理会社での実務経験を生かし、住民サイドに立った管理サービスを展開

 「築年数が30年以上の“高経年マンション”では、設備や外観の劣化に伴い、日常の修理やメンテナンスが必要となるほか、定期的な大規模修繕工事なども考えなければなりません。また住民の高齢化や空き家の増加などで、これまで輪番制による自主管理体制をとってきた管理組合の担い手不足といった状況も深刻度を増しています」

 そう警鐘を鳴らすのは、「宇野マンション管理士事務所」の宇野和博さん。新築マンションの提供も手掛ける札幌のマンション管理会社で、20年以上にわたり物件や組合をマネジメントするフロント業務に従事。
 マンション管理士として、札幌市内や近郊のマンションなどの集合住宅に住む区分所有者が、安全性や住み心地に不安を覚えることなく住み続けられるよう、多角的にサポートしています。

 「近い将来、管理組合が管理不全に陥ることがないように」と、理事や役員の負担軽減に注力。住民の生活に直結する実務を長期的・継続的にカバーするほか、組合の運用方法といったテーマごとに勉強会を開いたり、管理の適正化診断をしたり、スポット支援にも応えます。

 第三者として管理体制の維持に努め、付託を受けた場合には、理事長代行や外部管理者として運営そのものを担うことも可能。
 共有部分の使用方法や区分所有者の権利、義務などを定める管理規約の改定では、実情と合わなくなった内容を見直し、法的なガイドラインに合わせて整備します。

 「大規模修繕などの工事に関しても、管理会社や施工業者との間に立って、公平な視点で精査。現況を踏まえたうえで、技術面や費用面で適正かどうかなどを検討します」

#chapter2

資材や工事費が高騰する昨今。フラットな立ち位置で実態に即したアドバイスをすべく独立

 札幌市出身の宇野さんは道外の大学在学中に、宅地建物取引士の資格を取得。卒業後は地元に戻り、賃貸不動産管理会社に入社。その後転職したデベロッパー系管理会社では、分譲マンションの管理業務全般に携わってきました。

 「1990年代は札幌市内や近郊で宅地開発が進み、分譲マンションの販売も活況を帯びていました。受け持っていた複数の担当先は数年ごとに変わり、多岐にわたるサービスの提供で、多忙を極めましたね」

 宇野さんが着実に実績を積んでいくのと同じだけ建物も築年数を重ね、社会情勢や経済状況、人々のライフスタイルも大きく変容します。

 「当初の試算では十分だった修繕積立金も、資材や工事費の高騰により目算が狂いはじめました。滞りなく運営できていた管理組合も、住民の高齢化や世代交代で、住環境に対する意識の違いなどがじわじわと表面化してくるようでした」

 「工事や法律の専門知識がない」「住民の意思集約が難しい」「管理会社に委託しているが、提案内容が適正かどうか分からない」という声が聞かれ始めた頃、宇野さんは社内で指導的な役職にありました。

 「現場から遠ざかり、また、会社として画一的にフォローする中では、できることに限界があるとも実感。有効な解決策があっても手の差し伸べようもないことが、大きなジレンマとなっていました。住民の声にしっかりと耳を傾け、実態に即したアドバイスをするため、培った知見をフラットな立ち位置で発揮したいと、独立を決意しました」

#chapter3

建物管理と管理組合の運営を担う“マンション管理士”が、暮らしの場を守るキーマンに

 「必要な資金がない」という事情に加え、高経年マンションの管理組合で重荷となっていることの一つは、設備や建物のメンテナンス関係です。

 「当方ではスケジュールや資金計画の妥当性をチェックします。必要な工事かどうかの見極めを含め、難解な工事内容について住民の皆さんの理解を補う解説も行い、不安を軽減することを心掛けています。場合によっては、管理会社や施工業者との交渉にも、アドバイザーや代行者として立ち合います」

 大規模修繕委員会の設立や運営、設計監理会社の選定などもバックアップする宇野さん。「マンション管理士」という職種が、一般にはあまり知られていないことにも言及します。

 「例えば、理事会や総会の開催準備と議事進行、新規役員へのレクチャー、会計・経理、建物の点検といった大小さまざまな日常業務から、複数年度をまたぐ修繕計画などの遂行と、住民だけではハードルの高い業務が山積しています。建物管理の専門家であるだけでなく、管理会社と異なる立ち位置で、住民組織である管理組合の運営をも担える“マンション管理士”という存在があることを、もっと知ってもらいたいですね」

 宇野さん自身も、自宅マンションの管理組合で理事長の任に就いているとか。当事者の目配りで親身に寄り添い、“マンションの老い”という問題に向き合います。

 「5年後10年後も、暮らしの場であり大切な資産でもあるマンションを守り育てるために、今からできることをお手伝いします」

(取材年月:2025年2月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

宇野和博

人と建物の明日を支える高経年マンション管理のプロ

宇野和博プロ

マンション管理士

宇野マンション管理士事務所

20年以上マンション管理会社のフロント業務で培った専門的知見をもとに、高経年マンションの建物の維持管理と住民組織である管理組合の運営という両面から支え、将来にわたり心安らぐ住環境を整える

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ北海道に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または北海道テレビ放送が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO

Other Interview