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先代の父が愛した土地と霊園を継承。寄り添う心を大切にペットとの別れを見守る

家族それぞれの気持ちに寄り添うペット火葬・供養のプロ

紺野智也

紺野智也 こんのともなり
紺野智也 こんのともなり

#chapter1

豊かな自然が包み込む閑静なペット霊園。創業から40年、家族2代にわたる利用者も

 喜びや楽しみを与えてくれるかけがえのない存在として、ペットと暮らす人が増えています。しかし、必ず訪れるのが旅立ちの時。最期のセレモニーを行い、末永くまつってくれるのがペット霊園です。紺野智也さんが代表を務める「大正動物霊園」は、2022年で創業40年。年間約800件の用命があり、中には2代にわたって依頼する家族もいると言います。

 「子どもの頃にペットのお葬式やお参りでいらした方が、大人になって結婚し、新しく飼い始めた子が亡くなってしまったからと、ご連絡をいただくケースは多いですね。納骨堂に10頭以上のお骨を納めている方もいらっしゃいます。寝食を共にし、たくさんの思い出を育んでこられた愛犬や愛猫などを、安らかに眠らせてあげるのにふさわしい場所として、信頼してくださっているのでしょう」

 紺野さんが営む霊園があるのは帯広市。日本野鳥の会からミニサンクチュアリ(鳥の保護区域)に指定登録された、旧農家の跡地をそのまま利用しています。緑の木々が茂る園内には小川が流れ、小鳥のさえずりや四季折々に咲く花が彩りを添えます。静かで落ち着いた雰囲気の中で、供養することができます。

 「私どもでは、火葬・納骨を執り行っております。十勝管内であれば葬用自動車でご自宅まで伺い、納棺いたします。葬法については、個別か合同火葬からお選びいただけます。個別火葬の場合は、園内納骨堂、合同慰霊碑のほか、骨つぼに納め、慣れ親しんだお家に一緒に帰っていただくこともできます」

#chapter2

家族の気持ちに配慮しながら執り行うセレモニー。毎年8月13日には大供養祭も開催

 動物好きでもある紺野さんが何よりも大切にしているのは、家族の望む〝別れ〟に寄り添うこと。ペットへの接し方や考え方は十人十色であるため、「同じ対応になることはない」と話します。

 「お弔いをする中でこらえきれず泣いてしまわれる方もいれば、『今までありがとうね』と、笑顔で送り出す方もいらっしゃいます。また、お見送りするにあたって心の準備が整うまでの時間も人それぞれです。お花を供えたり、お焼香されたりするご様子などからお気持ちをくみ取り、丁重に進めていくことを心掛けています」

 毎年8月13日には僧侶を招いて大供養祭を開催。亡きペットの冥福を祈るため、時には約1000人もの参拝者が足を運ぶこともあります。多くの人から親しまれる同霊園の代表に紺野さんが就任したのは2022年。先代の父が2018年に亡くなり、一度は母が後継者となりました。
 「とはいえ、運営に関する実務を担ったことはなく、高齢でもあったことから、一人息子の私が事業継承を決意しました」

 高校卒業と同時に渡英し、大学に進学。20年間勤めていた会社を退職して帰国の途に就き、2021年から働き始めました。

 「父は、当霊園がある土地や自然を大事に慈しんできました。単にビジネスとして捉えれば、売却する選択肢もあったかもしれません。しかし私は、父が愛した場所を、愛したままの姿で残したかったんです。母と同じく霊園業は未経験でしたが、父の思いを確かに引き継ぐには、私がここを続ける以外に道はないと考えました」

紺野智也 こんのともなり

#chapter3

自宅に安置する家族のため骨つぼも各種用意。時代に合わせ、末永く愛されるペット霊園を目指す

 安定的に事業を伸ばしていくため、紺野さんは新たな道を模索。家族や時代のニーズを読み取り、柔軟に取り入れています。
 例えば、近年はお骨を自宅に安置する人が増えたことから、リビングなど住空間になじむ骨つぼを用意。犬や猫の足跡がデザインされたものや、ぬいぐるみタイプもそろえています。また園内には猫カフェもオープンします。

 「70代など年齢を重ね、身寄りのいない方だと『次の子を迎えたいけれど、自分が先立って一人にしてしまったらかわいそう』とあきらめる方が少なくないんです。でも、ペットがいることで生活にハリが出て、生きがいにもつながりますから。寂しさを抱えている方々が、気軽に集えるカフェになればと願っています」

 ゆくゆくは敷地内で犬を飼い、愛犬家のための触れ合いの場を設けることも検討しているそうです。さらには、長年生活したイギリスもペット大国で、自然と調和したガーデニングが盛んなことから「新規事業を立ち上げたい」と目標も掲げます。

 「今後も、みなさんに少しでも癒やしを感じてもらえるよう力を尽くしていきたいですね。それが、父の意志を守ることにもつながるでしょう」

 妻や子と離れ、単身で日本に戻ってきたという紺野さん。父から大正動物霊園というバトンを受け取り、日々の業務に励みます。
 「春は新緑が芽吹き、秋には赤や黄に紅葉し、池にはカモの親子も仲良く泳いでいます。ここであれば、ペットたちも心穏やかに過ごせるのではないかと思います」

(取材年月:2022年8月)

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紺野智也

家族それぞれの気持ちに寄り添うペット火葬・供養のプロ

紺野智也プロ

ペット霊園業

大正動物霊園有限会社

柔軟なサポートが強み。例えば通常引き取り、火葬は9:30~17:00のところ、仕事などの都合で間に合わない依頼者には時間外で対応することも。要望には可能な限り応える姿勢を大切にしている。

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