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怪獣映画など数々の空撮を担当。技術力を生かし、次代を担うドローンの操縦士を育成

空撮やスクールの運営などを手掛けるドローンのプロ

福山武治

福山武治 ふくやまたけはる
福山武治 ふくやまたけはる

#chapter1

空撮、土地の測量、インフラ点検を手掛け、国家資格を取得するスクールも運営

 ドローンによる動画撮影、土地の測量やインフラ設備の点検の他、機体の販売やスクール事業も手掛ける「北海道スカイビュー」の代表・福山武治さん。近年は農薬散布や資材運搬などを請け負い、農業や物流における人材不足もフォローしています。

 「私どもの一番の強みは技術力で、アメリカの映画の祭典“アカデミー賞”で視覚効果賞に輝いた日本映画の空撮も担当しました。数々のCMやドラマにも携わっているので、皆さんの記憶にあるシーンも撮影しているかもしれませんね」

 世界的にドローンの活用が進む中、スクール運営を重視し、自社の知見を広く確実に伝えることが使命と考える福山さん。国土交通省が承認する登録講習機関として、国家資格である無人航空機操縦士の二等と一等を指導しています。

 「自動車の運転と同様に軽率な判断は事故につながるので、当方ではなかなか合格を出していません。容易に資格を取りたければ他校を勧めます(笑)。オペレーターとして活躍できる能力を養う上で厳しい基準を設けていますが、『あのスカイビューで取得したのか』と、周囲から一目置かれる存在になれることも期待してほしいものです」

 スクールでは、法規制を理解する座学と飛行パターンを習得する実技を実施。二等は初心者で5日間、経験者であれば最短1日で取得が可能で、一等は長くて15日間を要します。

 「受講生の多くは建設や土木会社の従業員です。自社の現場で役立つのはもとより、測量案件を受注するなど人員を増やさずとも業務の幅を広げ、作業の効率化も図れるため需要が伸びています」

#chapter2

20代から無線操作のヘリコプターを飛ばして操縦技術を磨き、空撮を事業化

 物心ついた頃から無線で操作するヘリコプターに憧れていた福山さん。“操縦”への思いが強く、学校卒業後は移動式クレーンのオペレーターになり、ビルの屋上から建材を持ち上げる業務などに従事。貯金して、念願のラジオコントロールのヘリを手に入れたのは20歳の時です。

 「機体の制御が難しく、浮上する前に傾いてプロペラが壊れることも多々あり、上手に飛ばせるまでに5年はかかりましたね。修理費の合計も車1台分に相当しますが、実践を重ねたからこそ確かな技術が身に付いたと自負しています。時に橋梁の下部などGPSに頼れない場所での作業も求められますが、難なく遂行できるのは当時の経験があるからです」

 愛好家仲間に「工事現場を撮影できないか」と相談されたことが起業の原点に。当初は愛機にビニールテープでカメラを固定し、数秒ごとにシャッターを切るよう設定。ルートと高度に見当をつけて飛ばしたと言います。連続写真の空撮は次第に注目を集め、会社を休んで仕事を引き受けるようになり、2010年に独立しました。

 「動画撮影にも挑みましたが機体のブレを抑えられず、苦戦していると中国のメーカーが世界初のドローンを発売しました。使ってみると精度も安定性も高く、『もはや自作している場合ではない』とカスタマイズをやめましたが、上空から現況を捉える分野でパイオニアになれたことには誇りを持っています」

 年齢を重ねた今も、飛行機や自動車のゲーム、バイクの運転で操縦を楽しんでいると語ります。

福山武治 ふくやまたけはる

#chapter3

ドローンによる作物の生育管理や、難所への荷物運搬など農業・物流にも貢献

 福山さんにとって印象深い依頼の一つが2015年に担当したゴルフトーナメント。当時はコースを紹介する際、ヘリコプターによる上空からの映像を流すのが主流でしたが、ドローンを用い“打球の視点”を再現して周囲を驚かせます。

 「機体を低空で飛行させて林の前で急上昇させるなどボールの軌道を表現しました。革新的な映像に皆さん大いに喜ばれましたね。空を駆け抜けるような疾走感や、景観を壮大に描き出すスケール感など、今後も空撮の質を追求しつつ、産業界への技術提供にも努めていきます」

 例えば北海道では、ロボットやAIを活用したスマート農業の研究が盛んです。ドローンに赤外線カメラを搭載してデータを収集し、広大な農地でも作物の全体的な生育状況を把握。成長が遅れていたり、病気が発生していたりする箇所に農薬を散布するなど、集中的にケアできます。

 「物流業界にも貢献したいと考えています。現時点で弊社のドローンの積載量は40kgですが、将来は200kgを運ぶ機体も登場し、特に離島への配送で重宝されるでしょう。すでに弊社でも山間部に計測装置などの部品を運搬しており、『今まではヘリをチャーターして1日に200万円ほどかけていた。コストが削減できて助かる』と感謝されます」

 企業の要望に応じた専用機も開発。正しい知識と優れた技術を備え、適切に運用できる人を増やすためにもスクール事業に力を入れる福山さん。「あますことなくノウハウを伝えるので、ぜひチャレンジしてください」と呼び掛けます。

(取材年月:2024年9月)

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福山武治

空撮やスクールの運営などを手掛けるドローンのプロ

福山武治プロ

ドローンサービスプロバイダー

合同会社北海道スカイビュー

日本映画の人気作品や話題のCMでドローンによる空撮を担当。第一線で活躍している操縦技術を基に土地の測量や建造物の点検などの依頼も受けている。国家資格の取得を目指すスクールも運営し、後進の育成にも尽力。

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