PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

心静かに集中し、表現力に富み、日本の美学を体感できる書道の魅力を世界へ

訪日外国人へ書道体験を通じて日本の魅力を伝えるプロ

三本絵里佳

三本絵里佳 みつもとえりか
三本絵里佳 みつもとえりか

#chapter1

自宅や企業、学校へ赴く出張教室や、インバウンド向けの体験プランを用意

 「書道は、白と黒の2色のみで空間の調和を図り、余白の美を生み出します。書き直しができず、一筆一筆に全身全霊で臨むことで雑念が消え、無我の境地に至ります。芸術性と精神性を追求する美学を体感してもらうため、姿勢を正し、心静かに集中する大切さもお伝えしています」

 そう語るのは、札幌市で「書道の家庭教師絵里佳」を主宰する三本絵里佳さん。個人宅へ赴くプライベートレッスンや、企業・学校などに出向く講習会を開催。書体を崩さない標準的な楷書、一筆書きのように流動的な行書など、要望に応じて指導しています。

 近年は漫画やアニメの影響で、日本語に興味を持つ外国人が多数。インバウンドに向け、氏名を漢字に変換して書写したり、ハガキをしたためて母国の家族や友人に送ったりするプランも用意しています。

 「企業のパーティーで、お名前を毛筆するサービスを提供した際は、行列ができるほど反響がありました。海外の方は書道をアートとして捉えているため、まるで絵画のように大事に持ち帰られる姿が印象的です」

 外国人労働者を受け入れる企業や、留学生らが通う日本語学校からも依頼が増加。日本文化への理解を深める一環として、出張教室を開いています。

 「参加者の多くは筆を持つのが初めてで、上から下、左から右といった書き順もご存じありません。筆の入れ方、はらい方では、指を添える位置や角度、力の抜き方を、手を添えながらレクチャーしています。動きや感覚をつかんでもらうことで、初心者でも作品を仕上げることができ、思い出の品やお土産として好評をいただいています」

#chapter2

外出が難しい高齢者や学校に行きづらい子どもの自宅、介護施設なども訪問

 6歳の頃から習字を始めた三本さん。水泳やエレクトーンなどに通う中で、唯一長く続いた習い事でした。

 「書に向き合っていると時がたつのを忘れてしまいます。無心になって没頭できる時間が好きなんです」

 大学を卒業後、札幌市を拠点に書道教室を展開する会社に就職。知識や技術を高め、講師として活動できる最高位資格の「師範」を取得します。子どもには親しみやすい雰囲気で、大人には落ち着いた物腰で、分かりやすく手ほどきしてきました。

 「生徒さんの癖や性格を見極め、ご本人に適した指導を行うことで、みるみる上達していく様子に大きなやりがいを覚えました。きれいな字を書く喜びを、たくさんの人と分かち合いたいという思いも強くなりました」

 結婚・出産を機に10年間勤めた会社を退職。一人一人に寄り添う「家庭教師」をコンセプトにレッスンをスタート。おしゃべりを楽しみながら親睦を深め、外出がままならない高齢者や、学校に行きづらい子どもの自宅、介護施設にも訪問するように。

 「外国人向けの教室を始めたのは、友人の知り合いと食事をした際、プレゼントとして名前を書いたカードを渡したところ想像以上に感激してくれたことがきっかけです。幼い頃から学んできた書道が、こんなにも感動を与えることができるのだと新鮮な驚きがありました」

 漢字と平仮名、カタカナを使い分ける、独創的な言語体系もしかり。三本さんは、心を穏やかに整えるなど、書道でしか味わえない体験を通じてゲストをもてなしています。

三本絵里佳 みつもとえりか

#chapter3

海外の人が継続的に学べる環境を整えるため、オンラインレッスンも構想

 「訪日者の中には日本語を勉強して、日本文学に精通している人も少なくありません。源氏物語に詳しかったり、俳句が好きで『お気に入りの句を書いてほしい』とリクエストされたり。いにしえの物語や、四季の移ろいをめでる情緒豊かな世界観に共鳴する声を耳にすると、日本に対するリスペクトを感じてうれしくなるとともに、皆さんの期待にお応えしたいと、身が引き締まります」

 外国人にとって、なじみのない文字を半紙に収めるのは容易ではありません。三本さんは、偏(へん)と旁(つくり)のバランスや、縦・横の線といった点画の長さ、強弱を丁寧に伝え、字形を整えていきます。

 お手本通りに書けるようになると、気持ちを込めて表現する練習にステップアップすることも。ハガキづくりでは、愛する人に向けてメッセージをつづることもでき、時にダイナミックに、時に繊細に、おのおのが個性を発揮しています。

 「今後は世界中の人を対象に、オンラインレッスンも視野に入れています。欧米で書道の人気が高まっており、来日時の体験でコツをつかんだ方が、帰国してからも継続して学べる環境を整備したいと考えています」

 作者の署名として押す落款印(らっかんいん)、筆・すずりなど書具の販売、数日間一心に打ち込む特別講座も構想。三本さんの夢は尽きません。

 「三十余年にわたり書とともに歩んできました。私にとってアイデンティティーのような書道の魅力を、一人でも多くの人に伝えることが使命だと思っています」

(取材年月:2026年2月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

三本絵里佳

訪日外国人へ書道体験を通じて日本の魅力を伝えるプロ

三本絵里佳プロ

書道講師

書道の家庭教師絵里佳

書道歴30年以上の師範が外国人向けの書道体験・研修や外出が困難な人の出張レッスンに柔軟に対応。生徒の個性に合わせた指導や、外国人にわかりやすい視覚的な指導で「字が上手くなる喜び」を提供します。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ北海道に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または北海道テレビ放送が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO