遺族や故人の思いを大切にする葬儀のプロ東海林武人

遺族や故人の思いを大切にする葬儀のプロ

東海林武人

通夜や告別式に負担を感じる人に、火葬のみの「直葬」や葬儀のみの「一日葬」を用意

　「時代の流れとともにお見送りの形は多様化しています。『親しい人たちと心静かに』『身内だけでこぢんまりと』など、ご家族さまのご要望やお気持ちに寄り添い、故人さまとの最後の思い出づくりをお手伝いします」

　そう話すのは、「ユアメモリーパートナーズ」の代表・東海林武人さん。北海道帯広市で「あなたに寄り添うお葬式　家族葬式場メルシー」を営んでいます。

　「昨今は、火葬のみで故人をしのぶ『直葬』の需要が高まっています。身寄りが少ない方のほか、経済的に余裕がなく費用を抑えたいという方や、弔問客の接待や会食の準備などを負担に感じる方もいらっしゃいます。ご臨終された場合は、病院や施設など亡くなられた場所にお迎えにあがり、ご自宅、あるいは当式場でご遺体を安置し、出棺して荼毘（だび）に付します」

　東海林さんのもとでは、「直葬」以外に、通夜や葬儀・告別式を親族や友人らで行う「家族葬」、通夜を省いた「一日葬」といったプランも用意。別れのひとときをゆっくり過ごしてもらうため、いずれも利用は1日1組が原則。お葬式の内容も、遺族と話し合いながら流れを決めていきます。

　「私どもは『誰のために行う式なのか』を最優先に考えています。それぞれの事情や心情をくみ取りながら、故人さまへの思いも大切にできるセレモニーを執り行います」

　慣習にとらわれず、故人の意思を尊重したり、家族の意向を反映したり、細やかにプランニング。ホールの造りにも配慮し、高齢者や小さい子ども、つえや車いすユーザーに優しいバリアフリー設計を施しています。

十勝地方のさまざまな葬儀に携わり、低予算かつ明確な料金体系を掲げ起業

　東海林さんは学校を卒業後、石油関連の商社を経て帯広市内の葬儀社に就職。十勝エリアに六つの斎場を持つ地域でも有数の老舗企業で、主に大規模葬や社葬で経験を積みます。

　「異業種への転身でしたが、知人の紹介で、亡くなった方を弔う意義のある仕事だと感じて入社しました。その後町村の葬儀に対する考え方を学びたいと音更町にある葬儀会社にも勤めました」

　いったん職を辞し、2018年には、化石燃料から転換が進む太陽光発電所を管理する会社「合同会社ユアエコライフパートナーズ」を設立。夏場を中心に道内や青森県内の施設で草刈り、造成・整地などを手掛けますが、特に冬場は依頼が減るため事業の多角化を検討し始めます。

　「お葬式は人生の締めくくりとも言える大事な場面であり、十勝地方における、さまざまな形式の葬礼に携わる中で蓄えた知見を生かすためにも、自分は葬儀業界に再挑戦するべきだと判断しました。開業にあたり、業界特有のあいまいな料金体系を明確にし、低予算でも旅立ちを見守れるよう家族葬に力を入れることを決めました」

　東海林さんはエンディングに関する専門資格を取得して提案の幅を広げ、キャリア約20年のベテラン社員とともに、2023年に式場を開いて以来、二人三脚で数々のニーズに応えています。

　「地域の方々に必要とされる存在を目指し、適正価格で心がこもった手厚いサービスの提供に努めています。ご予算も含め、皆さまのご希望に添った式をかなえるため、柔軟な対応も心掛けています」

相続と同様に葬儀も生前の準備が大切。いざという時に判断を誤らないように

　かけがえのない人を亡くし、悲しみにくれる暇もなく、やるべきことの多さに途方にくれる人を支えたいと語る東海林さん。「何をすればいいのか分からない」という声に耳を傾けます。

　例えば対象者が病院、施設で亡くなった場合、どこに連絡して何を準備したらいいのか、また宗教者への対応、葬儀終了後に新聞などで知らせた方がいいのかなど。不安を和らげ、心配ごとを解消するため、「葬儀について不明点や疑問点があれば何でもお尋ねください」と呼び掛けます。

　「ご自身や家族が元気なうちに準備を進めるのが理想だと思います。というのも、病院や施設で逝去された場合、ご遺体はなるべく早く搬送する必要があり、じっくり式場を探す時間がないのが実情です。非常に慌ただしく気が焦りますので、ぜひ相続などと併せて生前の対策をご検討ください」

　加えて、東海林さんのもとではアフターフォローも充実させています。
「納骨に関することや、遺品整理、仏壇や位牌などの手配・設置についてもご相談をたまわります。故人をまつり、供養できる環境を整えることで、少しでも穏やかな日々を過ごしていただければと願っています」

　地域と交流を深め、遺品整理業者や相続関連の手続きを担う司法書士とも連携。また、その時が訪れても家族が落ち着いて行動できるよう、会員制度も用意。誰しもが迎える人生の締めくくりを親身にサポートしていきたいと力を込めます。

（取材年月：2024年6月）

火葬のみで故人を送りたい人、家族だけで別れの時を過ごしたい人のために

通夜や告別式に負担を感じる人に、火葬のみの「直葬」や葬儀のみの「一日葬」を用意

十勝地方のさまざまな葬儀に携わり、低予算かつ明確な料金体系を掲げ起業

相続と同様に葬儀も生前の準備が大切。いざという時に判断を誤らないように

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