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元気で自信にあふれる子どもを育てるため、楽しく取り組める運動あそびを提案

運動あそびで子どもの体と心を育てるプロ

作田文子

作田文子 さくたふみこ

#chapter1

根拠ある運動だから「できた!」が増える。運動を通じて一生物の有能感を

 「人生100年時代を迎える今、健康的な生活を送る上で欠かせないのが運動です。毎日の習慣にすることが大切ですが、幼少期に『やらされている』という印象を持ってしまうとネガティブなイメージが植え付けられてしまいます。子どもには大人とは異なるアプローチが求められます」

 そう語るのは「子ども体づくり協会」の代表を務める作田文子さん。北海道全域で就学前の幼児から小学生を対象にした運動教室や体力向上のイベントを開催するほか、幼稚園や小学校の体育指導も行っています。迎え入れる子どもの人数は毎週400人にも上り、現場はいつも笑顔と笑い声で満ちています。

 「例えば跳び箱ができない子どもがいたとき、大人は『コツをつかむまで頑張ろう』と反復練習をさせてしまいがちです。しかし、できないことを繰り返しやるのは、子どもにとっては失敗体験を積み重ねているにすぎません。一度跳び箱から離れ、跳ぶために必要な筋力や体幹力を“運動あそび”の中で身に付けられるよう導きます」

 内容は、タオルを使った綱引きや、友達と手をつないで足の裏を合わせるV字バランス、両手と両足で飛び跳ねるカエルジャンプ、体を丸めたり伸ばしたりするビームごっこなど、ユニークな動きが盛りだくさん。

 「運動は、子どもにとって“あそび”と認識されているくらいがちょうどいいんです。理論に基づいたトレーニングであればしっかり力がつくので、総合的な運動能力の底上げにつながるでしょう。あそびのつもりでも、できるようになったことを大人が取りこぼさずに褒めることで達成感も得られます。運動の得意・不得意に関わらず『自分はできるんだ』という有能感を持って帰ってもらいたいですね」

#chapter2

幼少期の適切な運動が、将来あらゆるスポーツに生きる土台を育む

 作田さんが現在の活動を始めたのは、競技エアロビックのジュニアチームでコーチをしていた時に抱いた違和感がきっかけ。幼児クラスを受け持った際、正しい姿勢を維持できない子どもの多さに驚いたと言います。

 「自由に走り回れる場所がなかったり、親も仕事で忙しかったり、体を動かす機会が減ったことが原因の一つではないかと思いました。デジタルが普及し、家あそびが増えていることからも、どうにかしなければと危機感を覚えました」
 
 作田さんはスポーツ業界で得た豊富な知見を生かし、運動教室を開設。「走る」「跳ぶ」「転がる」など、幼少期に身に付けたい36種の基本動作をちりばめたオリジナルプログラムを展開するように。実践的な内容はクチコミで広がり、各方面からのニーズに対応するべく協会を設立しますが、一番の願いは、幼少期の適切な運動で子どもの可能性を広げることだと言います。

 「我が子の将来のためにスポーツを習わせるのは大変良いことですが、早期教育がケガを招き、発達に影響を与えることも。まずは正しい体の使い方を身に付け、どのスポーツにも生きる強い土台を育むという可能性の広げ方もあります」
 
 長年第一線で子どもの運動指導に携わっていたからこそ、ケガをしにくい体の重要性は痛いほどわかると語ります。現在は北翔大学の生涯スポーツ学部で非常勤講師を務め、教員志望の学生に学校体育授業の「体つくり運動」の指導法を教示するなど、指導者教育にも力を発揮しています。

#chapter3

指導者向け研修、保護者向け講演にも対応し、根拠ある運動について解説

 近年は活動の場を広げ保育士や幼稚園・小学校の教諭向け研修も実施。どの運動がどのような発達を促すのか、運動の意図について説明。理論的な視点から幼少期に身に付けたい動きと、その効果について解説しています。

 「多くの先生は運動の必要性を理解し、取り入れたいと考えています。ただ『姿勢が保てない』『転ぶときに手が出ない』などの具体的な課題に対して、どんな運動が適しているのかがわからない、そんな悩みをよく耳にします。研修では運動理論にも触れ、先生方が子どもに合わせたプログラムを作れるようになるまでサポートします。受講しやすい単発講座から用意しているので気軽にお声掛けください」

 同じように、子どもの発達に不安を持つ保護者向け講演の依頼も増えていると言います。子どもの適切な発達順序、家庭での効果的な運動あそびについて説明する他、心の育て方にもフォーカス。やる気の出る声掛けや上手な褒め方といったコーチング的視点も、子育てのあらゆる場面で生きるでしょう。

 社会の著しい変化を第一線で見てきたからこそ、現代の指導者や保護者の苦労がわかる作田さん。子どもに関わるすべての人にエールを送ります。

 「子どもの成長は早く、私たち大人が寄り添える時間はわずかです。せっかくなら苦しいことを100回やらせるより、楽しいことを100回やらせてあげたいですよね。共に元気で自信にあふれた子どもたちを育てましょう」

(取材年月:2023年6月)

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作田文子

運動あそびで子どもの体と心を育てるプロ

作田文子プロ

子どもの運動スペシャリスト

一般社団法人子ども体づくり協会

幼少期に身に付けたい動作を運動あそびに取り入れ、子どもがやりたくなるプログラムや声掛けで楽しい体づくりを提案。指導者研修や講演で運動あそびを広げる活動に注力。週に500人の幼少年に運動指導実施中。

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